消防検査とは、消防用設備等を設置した後の4日以内に提出する「設置届(どのように消防用設備等が設置されたかを記載した書類)」の内容が正しいかどうか、消防士が実際に現地を確認するものです。
よく消防検査は「立入検査」や「消防点検」と間違えられる場合があるので、下表にて違いを補足しておきます。
名称 | 費用 | 実施者 | 省略方法 | |
① | 消防検査 | 無料 | 消防士 | あり |
② | 立入検査 | 無料 | 消防士 | なし |
③ | 消防点検 | 有料 | 消防設備士 | なし |
※消防用設備等の設置完了検査である「①消防検査」は行政サービスなので無料ですが、消防署の指導内容について専門家しか分からない点が多いことから一般的に設備を設置した消防設備士が立ち会います。
※消防設備士や消防設備点検資格者が実施する「③消防点検」の報告書には “防火管理者” および “立会者” の記入欄があるので建物関係者が立会いすることが望ましいです。(義務ではありません)
【補足】弊社の防火管理者代行サービスには「②立入検査」の立会いを含むプランもございます、お気軽にお問い合わせください。
目次
消防検査の費用
設置完了検査である「消防検査」は消防士によって実施される行政サービスであり、税金が財源となっているので無料です。
ただし一般的に、消防検査には設備を設置した消防設備士が立ち会いをします。
その理由として、建物関係者では消防士の専門的な指導内容が分からないことや、設備を設置した当事者である消防設備士しか分からないことがあるからです。
消防検査を円滑に進めて、消防検査済証を発行してもらうためにも消防検査の立会いを依頼すべきであると言えるでしょう。
消防検査の立会い費用
消防検査の立会いを業者(消防設備士)に依頼する場合にかかる費用の目安ですが、おおよそ¥25,000くらいが相場です。
※規模によって消防検査の立会い費用¥25,000は前後します。
例えば誘導灯1~2台の消防検査であれば、すぐに終わるので¥3,000くらいで済むかもしれません。
以前、大規模な工場の自動火災報知設備をフルリニューアルした際は、丸一日ずっと消防検査だったので、そういった場合は間違いなく¥25,000以上の料金となるでしょう。
消防検査が不要な建物
設置届および消防検査が必要な防火対象物(消防用設備等の設置義務が生じる建物)は、以下の4つに大別されています。
- 延べ面積に関わらず自動火災報知設備の設置義務が生じる用途
- 特定防火対象物で、かつ延べ面積300㎡以上
- 非特定防火対象物で延べ面積300㎡以上かつ消防長または消防署長が指定したもの
- 特定一階段等防火対象物
よって上記に該当しない建物であれば消防法上、設置届の提出や消防検査を受けなくてもいいのです。
しかし多くの消防署では内部規定や通知に従って、ほとんどの防火対象物について設置届の提出および消防検査をする運用がされています。
消防検査を省略できる場合
消防検査は原則、「設置届(どのように消防用設備等が設置されたかを記載した書類)」が提出された場合に実施されるので省略できません。
ただし、軽微な工事(工事10日前に甲種消防設備士が提出する「着工届」を省略できる工事)に該当するものであったり、現地を見なくても写真等で設置状況が分かる場合は消防検査を省略できることがあります。
例外的に以前、大阪市内で特区民泊の特需によって大量の消防検査が発生していた際は、通常であれば消防検査を実施するような防火対象物でも写真や動画による消防検査の省略がされていたことがありました。
デジタル化が進んでいる昨今、人員削減されている消防署側も現地確認にかかる手間を省略したい意向があるので、もし写真や動画で消防検査を省略できそうな案件であれば担当の消防士と協議してみましょう。
逆に田舎の消防署ほど効率化が進んでおらず余剰人員をかかえていたり、時間が余っているので現地を確認して丁寧な消防検査をする場合もあります。
建築設備は消防検査対象外
消防検査の確認対象は消防用設備等に該当するもののみであり、建築基準法にて設置義務が生じているものは検査対象外です。
具体的には‥‥‥
建築設備定期検査の対象である「非常照明」や「排煙設備」は消防検査の対象外です。
防火設備定期検査の対象である「防火戸」や「防火シャッター」は消防検査の対象外です。
ここで注意されるべきは、同じ設備でも消防法に基づいて設置されているのか、それとも建築基準法に基づいて設置されているのかが分かれることです。
例:階段通路誘導灯と非常照明
例えば「階段通路誘導灯」と「非常照明」の場合が挙げられます。
「常時点灯」していれば「階段通路誘導灯」として消防法が適用されるので消防検査の対象になります。
「非常時点灯」であれば「非常照明」として建築基準法が適用されるので消防検査の対象外になります。
同じ器具でも配線のつなぎ方で消防検査の対象になるかどうかが変わります。
例:金属製避難はしご
また「避難器具」も消防法上の収容人員を基準に設置されているものと、建築基準法における二方向避難を確保するために設置されているものがあります。
例えばバルコニーの床に設置されている四角い「ハッチ式の金属製避難はしご」は建築基準法に則って設置されていれば消防検査の対象にはなりませんが、それにもかかわらず消防検査時に確認されていることもあります。
当然ですが消防士も人間なので、もちろん間違った指導がされる場合もあります。
消防士と建物関係者の間に入って、消防検査の円滑な進行をサポートできるのが消防設備士です。
消防検査時には少し費用をかけてでも業者に立会いを依頼することをおすすめします。
消防検査の立会いを含む、消防用設備等の設計・施工およびメンテナンスは一式、実績豊富な㈱防災屋にお任せください。