建物オーナーの方々には日々の建物管理について、多大な努力が必要とされています。その中で特に”取っ付きにくい”けども、重要な事項が消防法に基づいた安全管理です。
きちんと管理しているつもりでも、消防署から立入検査の連絡が来ると身構えてしまいます。
安全は皆様の責任であり、私たち消防設備業者はそのサポートをするために存在します。今回の記事では、建物管理を行う上で発生する消防の「立入検査・行政指導・違反処理」についてわかりやすく解説していきます。
- 行政指導は「行政指導→警告→命令(公示)→告発」の順で段階的に強制力が増していく
- 警告までは法的な強制力はないが、命令に違反すると罰則の対象になる
- ハード面(設備)だけでなくソフト面(防火管理)も罰則の対象
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1.立入検査とは

立入検査とは、消防署職員が管轄区域内の防火対象物に立ち入って検査及び建物関係者に質問することです。管轄区域内を2〜4年程度で一周するように周っています。
- 消防設備の維持管理についての検査
- 防火管理、防災管理についての検査
- 火気の使用または取扱いに関する検査
立入検査の連絡は、主に建物の所有者宛に届きます。あるいは主たる用途となっている管理者宛に届く場合もあります。※事実上管理者のような立ち位置のテナント宛に連絡がくることもあります。
立入検査はその他多くの項目の検査を行いますが、その項目については総務省消防庁より公開されている立入検査マニュアルを元に実施されています。詳しくは消防立入検査の目的は?改善・改修等報告書や是正計画書はいつ提出?の記事をご一読ください。
2.行政指導とは

消防(行政機関)が行う行政指導とは、消防署が消防法に基づき建物の安全性を確保するために行う指導・勧告・助言等のことです。行政指導が行われたこと自体は処分には該当しません。
立入検査が行われると、後日『立入検査結果通知書』が届きます。不備・不適がある場合は、不備欠陥事項欄にその内容が記されています。この内容が行政指導の具体的内容になります。
消防法令違反を含む指導事項に対しては、「△△月△△日までに、〇〇を設置および▢▢の改善を行います」のように、改善措置の内容・方法について記載をして消防署に報告します。消防法令違反や火災予防上の危険に対して建物関係者の改善意思や進捗状況が確認できない場合には、次のように段階を追って強制力を増していきます。
| 段階 | 内容 | 法的強制力 |
|---|---|---|
| ①行政指導 | 指導・勧告・助言 | なし |
| ②警告 | 是正・改善の強い促し | なし(意思表示) |
| ③命令(公示) | 是正義務を課す・建物に貼り紙 | あり(罰則の対象) |
| ④告発 | 刑事告発 | あり(刑事罰) |

警告までは消防法令違反の是正や火災予防上の危険に対しての改善を促すものであるため、法的な強制力はありません。ただし警告に従わない場合は命令や告発などの法的措置をもって対処することとなるため、その前段階として行政側から意思表示がなされているということになります。
3.違反処理について
行政指導で消防法令違反が是正されない等の場合については行政処分を行うこととなり、命令以降が該当します。命令とは、具体的な火災発生の危険のある状況の改善や消防法令違反などの是正について義務を課すものです。法的措置をもって違反処理=罰則の対象となることから、間接的にその履行を強制するものです。
命令がなされた際には、公示や罰則の対象となります。

参考:とかち広域消防局
公示は、その建物等に火災予防上の危険があることや消防法令違反があることを周知することで、利用者や近隣の建物等の関係者等の第三者が、不測の損害を被ることを防ぐことを目的としています。命令違反、義務違反等により罰則が科される場合があります。命令違反については刑事罰が科される可能性があります。
ここで注目したいポイント!
ハード面(設備)の設置および維持管理についての罰則だけでなく、ソフト面(防火管理)の点検・管理についても罰則があるということです。
防火管理者の選任義務違反の罰則については防火管理者を選任しないと罰則は?拘禁刑・罰金と「命令」の仕組みを解説で詳しく解説しています。
よくある質問
まとめ
- 立入検査とは、消防署職員が管轄区域内の防火対象物について検査及び質問すること
- 行政指導とは、消防法令違反や火災予防上の危険に対して是正を求める指導・警告のこと
- 違反処理は「行政指導→警告→命令(公示)→告発」の順で段階的に強制力が増す
- ソフト面(防火管理業務)への指導および罰則までが定められている
参考・出典
- 消防法/消防法施行令 e-Gov法令検索
- 総務省消防庁「立入検査マニュアル」
- とかち広域消防局
※本記事は2026年7月時点の法令に基づいています。個別の判断は所轄消防署または㈱防災屋までご確認ください。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)




