避難訓練は今年も実施した。記録も残した。
それで防災管理者の仕事は終わりなのかというと、消防法施行規則はもう一手順を求めています。
訓練の結果を踏まえて消防計画の内容を検証し、その結果に基づいて計画を見直すことまでが記載事項に入っているからです。
しかも同じ号は防火管理に係る消防計画の記載事項には見当たりません。
うちのビルでは避難訓練を毎年きちんとやっています。
ただ終わったあとに何をすればいいのかまでは、誰も教えてくれませんでした。
防災管理に係る消防計画には、訓練の結果を踏まえた検証と見直しを定める号があります。
訓練のあとにやることまで条文が書いているんです。
それは防火管理の消防計画にも書いてあることではないんですか。
どちらも同じ担当者が同じ建物のために作っているので区別がついていません。
そこが分かれ目で、防火管理側の記載事項にはこの号がありません。
同じ建物でも訓練後の運用まで書くことになるのは防災管理の計画だけです。
- 防災管理に係る消防計画には訓練の結果を踏まえた検証と見直しに関することを定めます
- 根拠は消防法施行規則第51条の8第1項第1号トで、訓練の実施を定めるホとは別の号です
- 検証の対象はホの訓練で、避難訓練は年1回以上の実施が義務づけられています
- 防火管理に係る消防計画の記載事項には同じ号が置かれていません
- 検証と見直しの状況は防災管理維持台帳に綴じ、点検票の項目としても確認されます
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目次
訓練の結果を踏まえた検証と見直しとは何を指すのか

ところが条文は、その先にもう一つ手順を置いています。
ホで訓練を定期的に実施することを定めさせ、トでその結果を踏まえて計画の内容を検証し、検証の結果に基づいて計画を見直すことまで定めさせています。
訓練そのものが目的ではなく、計画が実際に使えるかどうかを確かめる手段として位置づけられているわけです。
逆にいえば、訓練をして記録を残しただけではこの号を満たしたことになりません。
自分の建物の消防計画を開いて、トに当たる条を置いているかをまず確かめてください。
訓練を実施する号と、結果を検証する号が別々に立っているんですね。
ひとまとめの話だと思っていました。
別々に立っているので、片方だけでは記載事項をそろえたことになりません。
まずは計画の目次にトの見出しがあるかを見てください。
検証の対象になるのはどの訓練か

トは対象をホに掲げる訓練だと名指ししているので、ホと令の条文をたどれば範囲が決まります。
ホは「避難の訓練その他防災管理上必要な訓練」と書いているので、地震を想定した安否確認や救出救護の訓練も防災管理上必要な訓練であれば含まれます。
ただし法令が回数まで指定しているのは避難訓練だけで、施行規則第51条の8第3項が年1回以上と定めています。
消火訓練や通報訓練を年2回以上求めているのは防火管理側の規定なので、防災管理の検証で中心に据えるのは避難訓練になります。
年間の訓練計画を開いて、どの回の結果を検証に使うのかを先に決めておくと運用が止まりません。
うちは避難訓練と消火訓練を同じ日にまとめてやっています。
その場合はどちらの結果を検証すればいいんでしょうか。
同じ日でも、避難の部分の結果は防災管理の計画の検証材料になります。
記録の様式を分けておくと、あとで台帳に綴じるときに迷いません。
消防計画に検証と見直しをどう書けばよいのか

手がかりになるのは、消防本部が公表している消防計画の記入例です。
柱書の末尾が「変更するときも、同様とする」なので、検証の結果として計画を直したときは変更の届出が必要になります。
書きぶりの実例として、岩国地区消防組合が公表している防火・防災管理用の記入例は、消防計画の中に「消防計画を見直すための組織」という条を設け、防火・防災管理委員会とPDCA小委員会を置くと定めています。
そこでは委員会長が定期の会議を開く月を決め、社会的反響の大きい災害が発生したときなどは臨時に開くこと、小委員会は各種訓練の実施後に会議を開いて被害想定や対応行動が十分かを見直すことまで書き込まれています。
自分の計画に検証の担い手と開催時期が書かれていないなら、その二つを足すところから始めてください。
つまり検証する会議体まで計画に書いてしまえばいいということですね。
誰がいつ集まるかを決めておけば動かせそうです。
そのとおりで、担い手と時期が決まれば運用に落ちます。
直したあとの変更届出まで手順に入れておいてください。
防火管理の消防計画に同じ号が無いのはなぜか

記載事項を並べてみると、この号だけが片方にしかありません。
第3条第1項第1号はイからヲまでの12項目を並べていますが、訓練の結果を検証して計画を見直すことに当たる号はありません。
統括防火管理者が作る全体の消防計画(同規則第4条第1項)にも同じ号は無く、記載事項として検証と見直しの語が出てくるのは第51条の8第1項第1号トだけです。
なぜ防災管理側にだけ置かれたのか、その理由までは条文に書かれていませんが、防災管理が対象とする災害は消防法施行令第45条により地震と毒性物質等の発散による災害に限られており、火災とは想定の立て方が違う分野です。
両方を一冊にまとめている建物では、防災管理側の記載事項としてトに当たる条を落としていないかを確認してください。
防火管理の計画に検証の条を書いてはいけない、ということではないんですよね。
そこだけ確認させてください。
禁じる規定はありませんし、実際に一体で書いている記入例もあります。
足りないと言われるのは書き足りないときだけです。
検証と見直しの記録は明日からどう残せばよいのか

残す場所は施行規則が決めています。
防災管理点検の対象になる建物では、管理について権原を有する者が防災管理維持台帳に訓練の状況を記載した書類を編冊し、保存しなければなりません。
点検の基準を定めた施行規則第51条の14第3号は、消防計画に基づき消防庁長官が定める事項が適切に行われていることを求めており、制度の創設時に出された告示(平成20年消防庁告示第22号)はトと同じ内容を対象として掲げています。
実際に使われる点検票(平成20年消防庁告示第19号の別記様式第2)にも「訓練結果の検証及び消防計画の見直し」という点検項目が並んでいます。
明日からは、訓練の実施記録に「検証で出た課題」と「計画のどこを直したか」の2行を足して台帳に綴じるところから始めてください。
点検票にそのままの項目があるとは知りませんでした。
実施記録を出すだけでは足りないということですね。
検証の結果まで書いた記録があれば、点検のときに説明できます。
次の訓練から様式に2行足しておきましょう。
よくある質問
まとめ
訓練のあとにやることを、やっと条文で説明できるようになりました。
今年の訓練からは検証の会議まで年間予定に入れます。
その一歩で消防計画は生きた書類になります。
台帳の作りや点検の受け方で迷ったら、㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第36条第1項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第45条・第46条・第48条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条第1項第1号・第3条第10項・第4条第1項・第51条の8・第51条の12第1項・第51条の14
- 総務省消防庁「消防法施行規則の一部を改正する省令の公布に伴う関係告示の公布について」(平成20年9月24日 消防予第238号)別添の防災管理点検票および消防庁告示第22号
- 消防法施行規則第四条の二の四第三項の規定に基づく防災管理の点検の結果についての報告書の様式(平成20年消防庁告示第19号)
- 岩国地区消防組合「消防計画作成(変更)届出書(記入例 防災管理用)」
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





