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屋外に置いた物はなぜ片づけるよう言われるのか|消防法第3条の措置命令と持ち主が不明なときの処理を解説

屋外に置いた物はなぜ片づけるよう言われるのか

建物の裏手や外階段の下に、いつからか段ボールや古紙が積まれたままになっていませんか。
令和5年中の火災では、放火と放火の疑いを合わせた件数が全火災の10.6%を占めています。
消防法は屋外に置かれた物について、消防吏員が除去などを命じられる仕組みを第3条に置いています。
しかも持ち主がわからないときに消防が自分で動ける道まで用意されています。

建物の外に置いてある物まで消防が口を出すものなのでしょうか。

屋外だけを相手にした措置命令の条文があります。
まずはその第3条から見ていきましょう。

うちの敷地に誰が置いたのかわからない物があるのですが、これも同じ話になりますか。

そこがこの条文のいちばん面白いところです。
確知できないときの手順が別に書かれています。

この記事の結論
  • 屋外に置かれた物については、消防法第3条第1項により消防長と消防署長その他の消防吏員が必要な措置を命じられる
  • 命令を受けるのは物件の所有者や管理者や占有者のうち権原を有する者で、置いた場所の持ち主とは限らない
  • 燃えるおそれのある物件は第3号、それ以外の放置された物件は第4号と号が分かれている
  • 権原を有する者を確知できないときは、その者の負担で消防職員が除去でき除去したら保管する義務が生じる
  • 保管を公示した日から6か月たっても返せないときは、所有権が市町村に移る

屋外に放置された物件が消防法第3条の措置命令の対象になり持ち主を確知できないときは除去して保管し公示から6か月で市町村のものになるまでを示した図解

屋外に置かれた物はどの条文で片づけるよう言われるのか

建物の外壁沿いの通路に段ボールと木材が置かれ消防吏員が見ている様子
防火管理の話は建物の中のことばかりだと思われがちですが、屋外だけを相手にした条文があります。
消防法の第1章に置かれた第3条です。
消防法第三条第一項 消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。第六章及び第三十五条の三の二を除き、以下同じ。)、消防署長その他の消防吏員は、屋外において火災の予防に危険であると認める行為者又は火災の予防に危険であると認める物件若しくは消火、避難その他の消防の活動に支障になると認める物件の所有者、管理者若しくは占有者で権原を有する者に対して、次に掲げる必要な措置をとるべきことを命ずることができる
舞台は屋外です。
命令を出せるのは消防長と消防署長だけでなく、その他の消防吏員も含まれます。
立入検査に来た消防隊員がその場で口頭により求めてくることがあるのは、この書き方が理由です。
そして命令の相手は、物件の所有者や管理者や占有者のうち権原を有する者と定められています。
自分の敷地に置かれた物でも、置いた本人が別にいるならその人が相手になり得るという読み方になります。

敷地の持ち主ではなく、その物の持ち主が相手になるのですね。

条文はそう書き分けています。
次はどんな物が対象になるのかを見ていきましょう。

どんな物件が命令の対象になるのか

屋外に並ぶポリタンクと段ボールと古紙とごみ袋と倒れた自転車
第3条第1項は、命じられる措置を4つの号に分けて並べています。
物に関わるのは第3号と第4号です。
消防法第三条第一項第三号 危険物又は放置され、若しくはみだりに存置された燃焼のおそれのある物件の除去その他の処理
同項第四号 放置され、又はみだりに存置された物件(前号の物件を除く。)の整理又は除去
燃えるかどうかで号が分かれます。
第3号にあるのは危険物と、放置されたりみだりに置かれたりした燃焼のおそれのある物件です。
段ボールや古紙の束や木材やごみ袋、灯油の入ったポリタンクなどが素直に当てはまります。
第4号はそこから漏れた物、つまり燃えないけれど放置され又はみだりに存置された物件で、措置の内容も整理又は除去と書かれています。
第1号は火遊びやたき火などの行為の禁止、第2号は残火や取灰や火粉の始末なので、この2つは物ではなく行為が相手です。
建物の周りを見て回るときは、燃える物と通行を妨げる物の両方を数えておくと話が早くなります。

燃えない物でも放置されていれば対象になるのですね。

消防の活動に支障になると認められれば第4号の側で拾われます。
次は持ち主がわからない場合の話です。

持ち主がわからない物件はどう処理されるのか

放置された箱を消防職員が台車で運び倉庫の棚に保管して掲示板に公示する様子
放置された物でいちばん困るのは、誰の物かわからないので命令の相手がいないという場面です。
第3条はその行き止まりに、第2項と第3項で道をつけています。
消防法第三条第二項 消防長又は消防署長は、火災の予防に危険であると認める物件又は消火、避難その他の消防の活動に支障になると認める物件の所有者、管理者又は占有者で権原を有するものを確知することができないため、これらの者に対し、前項の規定による必要な措置をとるべきことを命ずることができないときは、それらの者の負担において、当該消防職員に、当該物件について前項第三号又は第四号に掲げる措置をとらせることができる。この場合において、物件を除去させたときは、消防長又は消防署長は、当該物件を保管しなければならない
命令を飛ばして消防が動けます。
条件は「権原を有するものを確知することができない」ため命じられないときで、費用はそれらの者の負担と書かれています。
そして除去させた場合は、消防長又は消防署長に保管する義務が生じます。
その保管の先は第3項が災害対策基本法第64条第3項から第6項までを準用しており、返還のための公示、滅失や破損のおそれがあるときの売却、費用の負担者までが決められています。
公示の日から六月を経過しても返還できないときは、その物の所有権は市町村に移ります。
勝手に捨てられるわけではなく、置きっぱなしにした側の負担で手続が進むという建て付けです。

撤去して終わりではなく、そのあと保管や公示まで続くのですね。

手間も費用も置いた側に返ってくる仕組みです。
次は間違えやすいところを整理します。

実務で見落としやすいのはどこか

囲いのないごみ集積場所と扉のある収納型のごみ置き場を並べた比較
同じように物を片づける話でも、屋外と建物の中では条文が別に用意されています。
そして手続の書き方も同じではありません。
消防法第五条の三第二項 (略)それらの者の負担において、当該消防職員に、当該物件について第三条第一項第三号又は第四号に掲げる措置をとらせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、当該消防職員がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。ただし、緊急の必要があると認めるときはこの限りでない。
建物の中には公告の一手間があります。
防火対象物において同じことをする条文が第5条の3で、こちらの第2項には期限を定めた事前の公告が置かれています。
一方で屋外を扱う第3条第2項には、その公告の定めがありません。
片づけの相談を持ち込むときに、屋外の話なのか建物の中の話なのかを取り違えると、手続の説明がかみ合わなくなります。
また命令を受けた側が履行しないときは、第3条第4項により行政代執行法の定めに従って消防職員や第三者が措置をとることができます。
命令に従わなかった者への罰則は消防法第44条第1号にあり、30万円以下の罰金又は拘留と定められています。

屋外か建物の中かで、条文も手続も変わってしまうのですね。

相談の前にどちらの話かを決めておいてください。
最後に明日からの確認先をまとめます。

明日からなにを確認すればよいのか

建物の外周部を巡回する人と点検記録をとじたバインダーの置かれた机
命令を受ける前に自分で片づけてしまえば、この条文の出番はありません。
条文が名指ししている物と場所から、見て回る順番を組み立てます。
  • 建物の外周部と外階段の下に、燃焼のおそれのある物件(第3条第1項第3号)が置かれていないかを見る
  • ごみの集積場所に、放置され又はみだりに存置された物件(同項第4号)が積み上がっていないかを見る
  • 消火活動の妨げになる位置に物が寄せられていないかを、消防車が入る側から見る
  • 敷地内の物のうち、置いた者が別にいる物を洗い出して権原を有する者を控えておく
  • 片づけた日付と場所を記録に残し、次の立入検査で示せるようにしておく
順番は外周部からです。
第3条が名指ししているのは屋外なので、確認も建物の中ではなく敷地の外周から始めます。
放置物は誰かが一度置くと積み増されていくため、片づけた状態を写真で残しておくと次の判断が楽になります。
置いた者が別にいる物については、その相手を控えておくと権原を有する者の確知に手間取りません。
まずは今日の帰りに、建物の裏手とごみ置き場をひと回りしてみてください。

つまり外周部とごみ置き場を見ておけばよいということですね。

そこが条文の名指ししている場所です。
片づけた記録も一緒に残しておいてください。

よくある質問

Q隣の敷地に積まれた物でうちの建物が危ないときも第3条の対象になりますか?
A第3条第1項が見ているのは敷地の境界ではなく、屋外において火災の予防に危険であると認める物件かどうかです。命令の相手はその物件について権原を有する者になります。実際に危険と認めるかどうかの判断は消防長や消防署長が行いますので、所轄消防署にご相談ください。
Q消防が除去した物はそのまま処分されてしまうのですか?
A第3条第2項後段は除去させたときに保管しなければならないと定めています。同条第3項が準用する災害対策基本法第64条第3項により返還のための公示が行われ、滅失や破損のおそれがあるときや保管に不相当な費用を要するときは同条第4項により売却してその代金を保管することができます。
Q除去や保管にかかった費用は誰が負担するのですか?
A第3条第2項は措置を「それらの者の負担において」とらせると書いています。保管や売却や公示に要した費用も災害対策基本法第64条第5項により返還を受けるべき占有者等の負担とされ、その徴収には行政代執行法第5条と第6条が準用されます。
Q命令を受けたのに片づけなかった場合はどうなりますか?
A第3条第4項により、履行しないときや履行しても十分でないときは行政代執行法の定めるところに従い消防職員や第三者に措置をとらせることができます。あわせて消防法第44条第1号が第3条第1項の命令に従わなかった者を30万円以下の罰金又は拘留と定めています。

まとめ

消防法第3条第1項は屋外だけを相手にした措置命令の条文で、消防長と消防署長のほかその他の消防吏員も命令を出せる
命令の相手は物件の所有者や管理者や占有者のうち権原を有する者で、置かれた土地の持ち主とは限らない
燃焼のおそれのある物件は第1項第3号、それ以外の放置された物件は第4号で整理又は除去の対象になる
権原を有する者を確知できないときはそれらの者の負担で消防職員が第3号または第4号の措置をとることができる
除去させたときは保管義務が生じ、災害対策基本法第64条第3項から第6項までの準用で公示から六月で所有権が市町村に移る
建物の中の物件は第5条の3が受け持ち、そちらの第2項には期限を定めた事前の公告という一手間が置かれている
命令に従わない場合は行政代執行法による代執行に加え、消防法第44条第1号により30万円以下の罰金又は拘留となる

屋外の放置物にもきちんと条文があるとわかって、見回る場所がはっきりしました。

まずは建物の裏手をひと回りするところから始めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防法第3条
  • 消防法第5条の3
  • 消防法第44条第1号
  • 災害対策基本法第64条第3項から第6項まで
  • 行政代執行法第2条・第5条・第6条
  • 令和6年版消防白書(総務省消防庁)第1章第1節

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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