立入検査でよく指摘されるのが、廊下や階段に置かれた荷物や商品です
「後で片付けるつもりだった」「少しの間だけ」という言い訳が通じないのには理由があります
実はこの管理は防火管理者だけでなく、建物の管理権原者に課された明確な法律上の義務です
この記事では根拠条文と、違反したときにどうなるかを確認します。
うちのビルの廊下、テナントさんの荷物がいつも少し置いてあるんです。
これくらいなら大丈夫ですよね。
実は消防法で、廊下や避難口に物を置くことははっきり禁止されているんです。
立入検査でも必ず確認される点ですよ。
えっ、少しの間だけでも駄目なんですか。
そもそも誰の責任になるんでしょうか。
はい、一時的なつもりでも対象になり得ます。
まずはこの義務の中身から確認していきましょう。
- 廊下・階段・避難口などの避難施設に物を置くことは消防法第8条の2の4で禁止されています
- 防火戸の前に物を置き閉鎖の妨げになることも、同じ条文で禁止されています
- 対象になるのはほぼすべての防火対象物で、特別な用途の建物に限られません
- 一時的なつもりで置いた場合でも「みだりに存置」として違反になり得ます
- 従わない場合は消防法第5条の3に基づき物件の除去などを命じられることがあります
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目次
そもそも避難施設の管理とはなにを指すのか

まずはこの管理義務が定められている条文そのものを確認します
条文が対象にしているのは廊下・階段・避難口といった避難のために使う施設と、火災の延焼を防ぐ防火戸の両方です
義務を負うのは「管理について権原を有する者」で、必ずしも防火管理者本人とは限らず、所有者やテナントなど実際にその場所を管理する立場の人が対象になります
つまり廊下に自分の荷物を置いていない人でも、その場所の管理権原を持っていれば責任を問われる可能性があります
次の章で、具体的にどんな建物が対象になるのかを確認します。
防火管理者の私だけでなく、オーナーにも関係あるということですか。
そのとおりです。
次はどんな建物が対象になるのかを見ていきましょう。
どんな建物のどの部分が対象になるのか

消防法施行令が、この管理義務の対象となる防火対象物の範囲を定めています
除外されるのは令別表第一のうち、アーケードや地下街に類する特殊な工作物を指す(18)項から(20)項までで、それ以外はすべて対象になります
つまり事務所・共同住宅・店舗・旅館・工場など、日常的に使われている建物のほとんどが対象です
建物の一部だけがこの用途というケースでも、その部分の廊下や避難口は同じように管理しなければなりません
次の章で、具体的に何を守らなければならないのかを確認します。
うちは普通の賃貸マンションですけど、それでも対象になるんですね。
はい、共同住宅も対象です。
次は具体的に何を守るべきかを確認しましょう。
具体的になにを守らなければならないのか

それぞれ何を指すのか、具体的な物品の例とあわせて確認します
東京消防庁が示す違反の具体例には、売店・自動販売機・看板・商品・机・いす・棚などが挙げられています
これらは業務のために置かれることが多いものばかりで、防火のためだけに用意された特別な物品ではありません
防火戸についても同様で、段ボール箱や什器を扉の可動範囲に置くと、火災時に扉が完全に閉まらず煙や炎の拡大を防げなくなります
次の章で、実務でとくに誤解されやすい点を確認します。
自動販売機や看板まで含まれるんですか。うちの廊下にも自販機を置いています。
幅を大きく狭めていなければ直ちに違反とは限りませんが、置き方によっては対象になります。
次は実務でよくある誤解を見ていきましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

代表的なものを確認しておきます
- 「一時的に置いただけ」は言い訳になりません。条文は「放置」だけでなく「みだりに存置」も禁止しており、一時的な置き方でも対象になり得ます
- 従わない場合、消防法第5条の3に基づき物件の除去などの措置を命じられることがあります。所有者や管理者が分からない場合は、消防が費用を持ち主の負担で物件を保管したうえで除去することもできます
- 義務を負うのは管理について権原を有する者であり、置いた本人だけの問題ではありません。テナントが荷物を置いた場合でも、建物全体の管理権原者が責任を問われることがあります
共用部分の廊下に他のテナントや住民が置いた物であっても、その部分の管理権原を持つ人が是正する責任を負います
賃貸マンションであれば管理組合や管理会社、貸しビルであればオーナーや管理会社がこれにあたります
「後で片付ける」という認識のまま放置が続くと、立入検査での指摘だけでなく、正式な措置命令に発展する可能性もあります
次の章で、日常的にどう管理すればよいかを確認します。
入居者さんが勝手に置いた自転車でも、うちの管理組合の責任になるんですか。
そのとおりです。管理権原者として是正する立場になります。
次は明日からできる確認方法をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

特別な設備投資は不要で、運用の見直しだけで対応できます
- 廊下・階段・避難口・防火戸の周辺に「物を置かない」区画をはっきり決め、テナントや従業員に周知する
- 一時保管のつもりで置かれがちな物品を洗い出しておく
- 防火管理者の巡視ルートに、避難施設と防火戸周辺の確認を組み込み、消防計画にも記録する
- 共用部に私物を置いているテナントや住民がいれば、早めに声をかけて片付けてもらう
立入検査のときだけ片付けるのではなく、日頃から「置かない」状態を保つことが本来の管理です
とくに繁忙期やイベント時は一時的に物が増えやすいため、その時期こそ意識して確認することが重要です
迷った場合は、管轄の消防署に日頃の管理方法を相談しておくと安心です。
なるほど、日頃のチェック項目に加えておけばいいんですね。
さっそく確認してみます。
それが一番確実です。
気になる置き方があれば、いつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
ただの片付けの問題だと思っていたので、条文があると知れてよかったです。
日頃の巡視に組み込んでいただくのが一番です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第8条の2の4
- 消防法施行令第4条の2の3
- 消防法第5条の3
- 東京消防庁「消防関係法(消防法及び火災予防条例)の違反に対する解説」
- 岩見沢地区消防事務組合「避難経路の維持管理」
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





