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自分の建物が避難場所に指定されていたら消防計画はどうするのか|地域防災計画との整合を確かめる仕組みを解説

広場から見上げた大きな公共建築の外観

市町村の地域防災計画には、防災上重要な施設の管理者が処理すべき事務の大綱が並びます。
自分の建物が避難のための場所や地域の拠点として位置づけられていることもあります。
そこに書かれた役割と、自分が作った消防計画の中身が食い違っていると、災害の当日に動けません。
その突き合わせを消防計画の側で受け止めているのが関係機関との連絡の号です

うちの建物が市の避難の場所になっていると総務から聞きました。
消防計画には何も書いていません。

そこが地域防災計画との調整と呼ばれている場面です。
まず市町村の計画に自分の建物がどう載っているかを見てください。

消防法の条文で避難場所という言葉を探しましたが見つかりませんでした。
それでも消防計画に書く話になるのでしょうか。

消防法令にその言葉はありません。
受け皿は防災管理の消防計画にある関係機関との連絡とその他必要な事項の号です。

この記事の結論
  • 地域防災計画との調整は防災管理の消防計画で受け止める事項です
  • 受け皿は消防法施行規則第51条の8第1項第一号ヘの関係機関との連絡と同号チのその他必要な事項です
  • 消防法にも施行令にも施行規則にも地域防災計画という言葉はありません
  • 市町村が指定する指定緊急避難場所は管理者の同意を得なければ指定できません
  • 市町村の計画は毎年検討されるので消防計画も定期に突き合わせます

地域防災計画との調整として指定の有無を確かめ役割の大綱を照らし消防計画に書き定期に見直す四つの手順を並べた図解

地域防災計画との調整とは何を確かめることなのか

二つの計画書を机に開いて虫眼鏡で見比べるイラスト
防災管理の消防計画には、基本的な事項として書く項目が並んでいます。
その中に、建物の外側とやり取りするための号があります。
消防法施行規則第51条の8第1項 防災管理者は、令第48条第1項の規定により、(略)おおむね次に掲げる事項について、当該建築物その他の工作物の管理について権原を有する者の指示を受けて防災管理に係る消防計画を作成し、別記様式第一号の二の届出書によりその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。(略)  一 防災管理に関する基本的な事項として次に掲げる事項  (略)  ヘ 防災管理についての関係機関との連絡に関すること。  ト ホに掲げる訓練の結果を踏まえた防災管理に係る消防計画の内容の検証及び当該検証の結果に基づく当該消防計画の見直しに関すること。  チ イからトまでに掲げるもののほか、建築物その他の工作物における防災管理に関し必要な事項
確かめるのは役割の食い違いです
市町村の地域防災計画に自分の建物の役割が書かれているなら、その役割と消防計画の中身が同じ方向を向いていなければなりません。
消防法施行規則には地域防災計画という言葉そのものは出てきませんが、関係機関との連絡に関することという号があり、市町村はその関係機関に当たります。
総務省消防庁の「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」も、地震に特有の内容の一つとして地域防災計画との調整を挙げ、整理と調整のための組織体制と考え方を消防計画に書くよう求めています。
まずは自分の建物が市町村の計画に載っているかどうかを調べるところから始めてください。

調整と言われても何と何を比べるのかが分かりませんでした。

市町村の計画に書かれた自分の役割と、自分の消防計画の中身の二つです。
先に市町村の計画のほうを取り寄せてください。

自分の建物はどんな形で地域防災計画に載るのか

避難場所の看板が立つ広場と高いビルと診療所が並ぶイラスト
載り方は一つではありません。
災害対策基本法の条文をたどると、二つの入口が見えます。
災害対策基本法第42条第2項 市町村地域防災計画は、おおむね次に掲げる事項について定めるものとする。  一 当該市町村の地域に係る防災に関し、当該市町村及び当該市町村の区域内の公共的団体その他防災上重要な施設の管理者(略)の処理すべき事務又は業務の大綱  (略) 同法第49条の4第1項 市町村長は、(略)政令で定める基準に適合する施設又は場所を、洪水、津波その他の政令で定める異常な現象の種類ごとに、指定緊急避難場所として指定しなければならない。  2 市町村長は、前項の規定により指定緊急避難場所を指定しようとするときは、当該指定緊急避難場所の管理者(当該市町村を除く。)の同意を得なければならない。
入口は大綱と指定の二つです
一つ目は、防災上重要な施設の管理者として処理すべき事務又は業務の大綱に自分が並ぶ形です。
二つ目は、施設そのものが指定緊急避難場所や指定避難所として指定される形で、指定緊急避難場所は災害の種類ごとに指定され、指定避難所は同法第49条の7で指定されます。
指定避難所については同法第49条の7第2項が第49条の4第2項を準用しているので、管理者の同意はどちらにも要ります。
自分の建物がどちらの形で載っているのかが分かると、消防計画に書くべき相手方と中身が決まります。

同意が要るということは、知らないうちに指定されることは無いのですね。

条文はそう読めます。
同意した当時の文書が社内のどこに残っているかを探してみてください。

消防計画にはどこまで書いておけばよいのか

書棚の横の机で消防計画のバインダーに書き込むイラスト
書くのは役割の中身そのものではありません。
消防庁のガイドラインは、確かめる仕組みのほうを書かせています。
総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)本編第2 2予防的事項 (3)地震に特有の内容 ウ 地域防災計画との調整  ○ 消防計画の作成・見直しの際の、火災に関する消防計画、地域防災計画、その他災害時の業務計画等との関係の整理・調整のための組織体制、整理・調整の考え方を記載する。  (例)当該建物が広域避難場所、災害医療拠点となっていたり、指定公共機関としての活動等を行う場合、当該活動についての地域防災計画・防災業務計画等における活動内容と消防計画の内容が整合しているかどうか消防計画作成時に確認し、定期に見直しを行う
書くのは体制と考え方と時期です
誰が突き合わせるのかという組織体制、どういう考え方でそろえるのかという方針、いつ確かめるのかという時期の三つが並びます。
比べる相手は市町村の地域防災計画だけではなく、火災に関する消防計画や、その他災害時の業務計画等も含まれています。
指定公共機関は災害対策基本法第2条第五号で内閣総理大臣が指定する法人と定められており、そこに当たる事業者は防災業務計画を持っているので、その中身とも突き合わせることになります。
自分の建物に当てはまるものだけを選んで、担当と時期を一行ずつ書いておいてください。

つまり役割を書き写すのではなく、確かめる段取りを書くのですね。

そのとおりです。
役割は先方の計画が動けば変わるので、確かめる段取りのほうが長持ちします。

実務で見落としやすいのはどこか

矢印の向きが食い違う二枚の板と向きがそろった二枚の板を並べたイラスト
一度そろえたら終わりだと考えてしまう点です。
市町村の側の計画は毎年動きます。
災害対策基本法第42条第1項 市町村防災会議(略)は、防災基本計画に基づき、当該市町村の地域に係る市町村地域防災計画を作成し、及び毎年市町村地域防災計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。この場合において、当該市町村地域防災計画は、防災業務計画又は当該市町村を包括する都道府県の都道府県地域防災計画に抵触するものであつてはならない。
相手の計画は毎年見直されます
条文は毎年検討を加えることを市町村防災会議に義務づけているので、去年そろえた前提が今年も同じとは限りません。
呼び名の取り違えも起きやすく、ガイドラインが例に挙げる広域避難場所という言い方は災害対策基本法の条文には無く、法令の上では指定緊急避難場所と指定避難所に分かれ、同法第49条の8は両者を相互に兼ねることができるとしています。
逃げ込む先として指定されたのか、避難生活を送る場として指定されたのかで、建物側が用意するものは変わります。
消防計画に書くときは、市町村が使っている呼び名だけでなく、どちらの指定なのかまで確かめて書いてください。

看板の文字だけを見て避難場所だと思い込んでいました。

よくあるところです。
市町村の担当課に指定の種類を聞けばその場で分かります。

明日からなにを確認すればよいのか

窓口のカウンター越しに書類を受け渡すイラスト
やることは資料を集めるところからです。
消防計画は届け出るものなので、直したら出し直します。
消防法施行令第48条第1項 防災管理者は、総務省令で定めるところにより、当該防災管理対象物についての防災管理に係る消防計画を作成し、所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。
三つの順で進めます
第一に、市町村が公表している地域防災計画を取り寄せ、自分の建物の名称と施設の管理者としての記載を探します。
第二に、指定の種類と同意したときの文書を社内で探し、指定緊急避難場所と指定避難所のどちらなのかを確定させます。
第三に、突き合わせる担当と時期を消防計画に書き、規則第51条の8第1項第一号トの訓練の結果を踏まえた検証の場でも毎年見るようにします。
消防計画を変更したときは同項の柱書のとおり届け出るので、直した内容を届出の写しとあわせて残しておいてください。

取り寄せて探して書いて届け出る、という流れですね。

その順でうまくいきます。
取り寄せは市町村の防災担当課の窓口かホームページで足ります。

よくある質問

Q地域防災計画に自分の建物が載っていない場合も何か書くのですか?
Aガイドラインの例は当該建物が広域避難場所や災害医療拠点になっていたり指定公共機関としての活動を行う場合を挙げているので、載っていなければその例には当たりません。ただし整理と調整の組織体制と考え方を記載するという本文のほうは例に限られていないので、確かめた結果として該当が無かったことを残しておく書き方が考えられます。
Q火災の消防計画と防災管理の消防計画のどちらに書けばよいのですか?
Aガイドラインがこの項目を置いているのは地震に特有の内容の中なので、書く先は防災管理に係る消防計画です。しかも比べる相手として火災に関する消防計画そのものが挙げられているので、両方を並べて食い違いが無いかを見ることになります。
Q指定を断ることはできるのですか?
A災害対策基本法第49条の4第2項は市町村長が指定しようとするときは管理者の同意を得なければならないと定めています。同意を求められる立場だという点までが条文から読み取れる範囲で、応じるかどうかの判断そのものは建物の実情によるので、市町村の担当課とご相談ください。
Q都道府県の地域防災計画も見なければいけませんか?
A災害対策基本法第40条第2項第一号は都道府県地域防災計画にも防災上重要な施設の管理者の事務又は業務の大綱を定めるとしており、同法第42条第1項は市町村の計画が都道府県の計画に抵触してはならないとしています。まずは市町村の計画を見て、そこで自分の役割が見つかったときに上位の計画までさかのぼる進め方で足ります。

まとめ

地域防災計画との調整は防災管理の消防計画で受け止めます
受け皿は施行規則第51条の8第1項第一号ヘと同号チです
載り方は事務の大綱に並ぶ形と施設が指定される形の二つです
指定緊急避難場所も指定避難所も管理者の同意を得て指定されます
消防計画に書くのは役割そのものではなく体制と考え方と時期です
市町村の計画は毎年検討され必要があれば修正されます
突き合わせは訓練の結果を踏まえた検証の場でも毎年行います

市の計画を取り寄せるところから始めます。
指定の種類も担当課に聞いてみます。

それが分かれば書く中身は決まります。
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参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第36条第1項
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第45条・第46条・第48条第1項
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第51条の8第1項第一号ヘ・ト・チ
  • 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第2条第五号・第40条第2項・第42条第1項・第2項・第49条の4・第49条の7・第49条の8
  • 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)本編第2「2予防的事項(3)地震に特有の内容ウ地域防災計画との調整」
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※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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