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誘導灯の前に看板や掲示物を置いてよいのか|視認性をさえぎる物と日常の維持管理を解説

誘導灯の前に掲示物を置くとなぜいけないのか

誘導灯は避難口の位置と避難の方向を示す緑色の灯火です。
基準どおりに取り付けても その前に掲示物やのぼりが置かれれば役に立ちません。
消防法施行規則は誘導灯の周囲に置いてはいけない物をはっきり列挙しています。
消防庁のガイドラインは設置時だけでなく日常時の維持管理が重要だと述べています

店舗の入れ替えで通路にのぼりや看板が増えました。
誘導灯の前をふさいでいる気がして落ち着きません。

その心配はそのまま規則に書かれている話です。
誘導灯の周囲に置いてはいけない物が決まっています。

工事のときに消防署の検査は通っているはずです。
あとから置いた物まで見られるものなのでしょうか。

ガイドラインは使用開始後にこそ物が置かれやすいと注意しています。
だから維持管理が防火管理者の仕事になります。

この記事の結論
  • 誘導灯の周囲には誘導灯とまぎらわしい又は誘導灯をさえぎる灯火と広告物と掲示物等を設けてはいけません
  • 根拠は消防法施行規則第28条の3第4項第8号で誘導標識については同条第5項第3号です
  • ガイドラインは使用開始後に物品が設けられる可能性が高いとして日常時の維持管理が重要だとしています
  • 点滅機能と音声誘導機能は最終避難口の避難口誘導灯にしか設けられません
  • 点滅や音声誘導や消灯を行うなら消防計画に防火管理体制と責任を書いておきます

誘導灯をさえぎる物をどけまぎらわしい灯火を避け点検と日常の確認を行い消防計画に書くまでを順に並べた図

誘導灯の見え方がガイドラインで念押しされたのはなぜか

廊下の出口の上にある誘導灯を見上げる担当者と机の上に置かれた基準の書類を描いた図
誘導灯の技術基準は平成11年に全面的に見直されました。
そのときに新しい基準の運用をまとめて示されたのがこのガイドラインです。
誘導灯及び誘導標識に係る設置・維持ガイドラインについて(平成11年9月21日 消防予第245号)記3
誘導灯及び誘導標識の設置に際しては、施工段階での状況の変化等により、設計段階における所期の視認性が得られないケースの生じることが懸念されることから、設置時の試験においては、避難上有効なものであることを十分確認する必要があること。
また、設置後においても、建築構造、内装、照明、広告・掲示等の状況の変化等により、設置時において確保されていた視認性が低下するケースの生じることが懸念されることから、法第17条の3の3の規定に基づく点検のほか、日常的に状況の確認を行うことが重要であること。
誘導灯は付けて終わりではありません
このガイドラインは平成11年3月に消防法施行令と消防法施行規則が改正され あわせて誘導灯及び誘導標識の基準を定める告示が全部改正されたことを受けて出されました。
改正の理由としてガイドラインは 機能の向上と新しい機能や性能等を有する誘導灯の開発 それに建築物の用途及び形態の多様化への対応を挙げています。
そのうえで 設計のときに見込んだ視認性が施工の段階や使い始めてからの模様替えで失われることを繰り返し警戒しています。
点検は法第17条の3の3に基づいて定期に行いますが それとは別に日常的な確認が要ると書かれているのがこの通知の特徴です。
つまり誘導灯の見え方を保つ役目は 工事業者ではなく建物を日々使っている側にあります。

点検のほかに日常的な確認まで書いてあるのですね。
そこまで求められているとは思っていませんでした。

模様替えや内装の変更があった直後がいちばん危ないところです。
工事のあとに廊下を一度歩いてみてください。

視認性が下がりやすいのはどんな場所の誘導灯か

天井から下がる広告板と照明にまぎれて売場の奥の誘導灯が見えにくくなっている様子を描いた図
見えにくくなりやすい建物には共通した特徴があります。
ガイドラインはその特徴を用途と周囲の物の両面から挙げています。
誘導灯及び誘導標識に係る設置・維持ガイドライン 第2の2(8)イ
設置場所の用途、使用状況等から、誘導灯の周囲にその視認性を低下させるおそれのある物品の存在が想定される場合には、あらかじめ視認性の高い誘導灯を選択するなど所要の対策を講ずる必要があること。
物が置かれる前提で選ぶという考え方です
ガイドラインは点滅機能又は音声誘導機能を有する誘導灯を設置することが望ましい部分として 百貨店 旅館 病院 地下街その他不特定多数の者が出入りする防火対象物で雑路や照明や看板等により誘導灯の視認性が低下するおそれのある部分を挙げています。
売場や宴会場のように物と光の量が多い空間では 誘導灯そのものが正しく付いていても背景に埋もれます。
そのほかにも 背景輝度の高い場所や光ノイズの多い場所 催し物の行われる大空間の場所についても同様の措置を講ずることが望ましいとされています。
自分の建物がこの並びに当てはまるなら 明るさの高い区分を選ぶといった対策を設計の段階で相談しておくほうが確実です。
どの区分を選べるかは令別表第一の項と階の床面積で決まるので 所轄消防署と設計者に早めに確かめてください。

うちは物販の売場なのでまさに当てはまります。
背景に埋もれるという言い方でようやく腑に落ちました。

売場のレイアウトを変える計画があるなら先に相談してください。
付け替えより先に決めておくほうが費用も抑えられます。

誘導灯と誘導標識の周りに置いてはいけないものはなにか

出口の上の誘導灯がよく見える壁とポスター板と垂れ幕でさえぎられた壁を並べて描いた図
ここは解釈の余地が少ない条文です。
置いてはいけない物が名指しで書かれています。
消防法施行規則第28条の3第4項第8号
誘導灯の周囲には、誘導灯とまぎらわしい又は誘導灯をさえぎる灯火、広告物、掲示物等を設けないこと。
同条第5項第3号
誘導標識の周囲には、誘導標識とまぎらわしい又は誘導標識をさえぎる広告物、掲示物等を設けないこと。
誘導灯及び誘導標識に係る設置・維持ガイドライン 第2の2(8)ア
誘導灯の視認性(見とおし、表示内容の認知、誘目性)を確保する観点から、誘導灯の周囲には、誘導灯とまぎらわしい又は誘導灯をさえぎる灯火、広告物、掲示物等を設けないこととされていること。特に、防火対象物の使用開始後において、このような物品が設けられる可能性が高いことから、設置時のみならず、日常時の維持管理が重要であること。
さえぎる物とまぎらわしい物の二種類が禁じられています
さえぎる物はのぼりやポスター板や垂れ幕のように誘導灯の表示面を物理的に隠す物です。
まぎらわしい物は緑色の広告や似た形の表示のように 誘導灯と見間違えたり注意をそらしたりする物を指します。
誘導灯の側にだけ灯火が挙がっている点に注意してください。
誘導標識の第5項第3号には灯火が書かれておらず 広告物と掲示物等だけが挙げられています。
ガイドラインは視認性の中身を見とおしと表示内容の認知と誘目性の三つに分けているので 完全に隠れていなくても気づきにくくなれば同じことです。
売場の販促物や季節の掲示は入れ替わりが早いので 置き場所を決めるときに誘導灯の正面を避ける決めごとを作っておくと違反が起きにくくなります。

つまり隠すだけでなく紛らわしい物も駄目なのですね。
緑色の販促物は特に気をつけることにします。

誘導灯の正面に立って見え方を確かめるのがいちばん早いです。
床に置かない範囲を印で示している建物もあります。

点滅機能や音声誘導はどの誘導灯にも付けてよいのか

屋外へ通じる出口の誘導灯にスピーカーが付いた壁と廊下の途中の出口に同じものを付けた壁を並べて描いた図
見えにくいなら目立たせればよいと考えたくなります。
ところが点滅機能と音声誘導機能は付けられる場所が限られています。
消防法施行規則第28条の3第4項第6号
誘導灯に設ける点滅機能又は音声誘導機能は、次のイからハまでに定めるところによること。
イ 前項第一号イ又はロに掲げる避難口に設置する避難口誘導灯以外の誘導灯には設けてはならないこと。
ロ 自動火災報知設備の感知器の作動と連動して起動すること。
ハ 避難口から避難する方向に設けられている自動火災報知設備の感知器が作動したときは、当該避難口に設けられた誘導灯の点滅及び音声誘導が停止すること。
付けられるのは建物の外へ出る出口と直通階段の出口だけです
同条第3項第一号イは屋内から直接地上へ通ずる出入口 ロは直通階段の出入口を指しています。
ガイドラインはこの機能の目的を 最終避難口の位置を更に明確に指示することだと説明しています。
廊下の途中の扉や通路誘導灯に付けてしまうと どこが最後の出口なのかがかえって分からなくなるためです。
また第6号ハは 避難口から避難する方向の感知器が作動したときには点滅と音声誘導が停止すると定めています。
火が回っている側へ人を呼び寄せないための決まりなので 機能を追加するときは自動火災報知設備との連動まで含めて設計してもらってください。

目立たせたいからと自由に付けてよいわけではないのですね。
止まる仕掛けまであるとは知りませんでした。

既にお使いなら停止の動きが生きているかも見どころです。
点検の立会いのときに実際の動作を見せてもらいましょう。

明日から誘導灯のなにを確認すればよいのか

点検票を持って廊下の誘導灯を確かめる担当者と机の上に開かれた消防計画の綴りを描いた図
確かめる場所は多くありません。
見え方と書きものの二つに分けると迷いません。
誘導灯及び誘導標識に係る設置・維持ガイドラインについて(平成11年9月21日 消防予第245号)記4
誘導灯の点滅若しくは音声誘導又は消灯を行う場合には、これらに係る技術基準に適合しているほか、当該防火対象物における消防計画において、これらの機能の起動・停止や消灯・点灯に係る防火管理体制及び責任を明らかにするとともに、誘導灯の消灯を行う場合にあつては、火災時のほか、停電時や地震等の災害時の対応について明らかにしておく必要があること。
見え方は歩いて確かめ決めごとは消防計画に書きます
まず廊下と通路を端から歩き 誘導灯と誘導標識の正面に立って表示面が隠れていないかを見ます。
誘導標識については 規則第28条の3第5項第2号が多数の者の目に触れやすく かつ採光が識別上十分である箇所に設けることを求めているので 一般照明を消した時間帯の見え方も確かめてください。
次に消防計画を開き 消灯や点滅を行う建物なら起動と停止の責任者が書かれているかを見ます。
消灯を行うなら火災時だけでなく停電時や地震等の災害時の対応まで書いておく必要があります。
防火管理者の業務には法第8条第1項が挙げる避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理が含まれるので この見回りはそのものずばり法定の仕事です。
気になる物が置かれていたら その日のうちにどけて 置き場所の決めごとを店舗や部署へ伝えてください。

歩いて見るだけならすぐに始められそうです。
消防計画のほうも今週中に開いて確かめます。

見回りの結果を日付とともに残しておくと立入検査のときに説明が早くなります。
写真を一枚撮っておくだけでも記録になります。

よくある質問

Q誘導灯の真横にポスターを貼るのも駄目なのですか?
A規則第28条の3第4項第8号が禁じているのは誘導灯とまぎらわしい又は誘導灯をさえぎる灯火と広告物と掲示物等です。ガイドラインは視認性を見とおしと表示内容の認知と誘目性の三つで捉えているので 表示面が隠れていなくても気づきにくくなる貼り方は避けてください。
Q誘導標識の周りには灯火を置いてもよいのですか?
A規則第28条の3第5項第3号が挙げているのは広告物と掲示物等で 誘導灯の第4項第8号にある灯火は書かれていません。ただし同条第5項第2号は採光が識別上十分である箇所に設けることを求めているので 標識が見分けられなくなるような光は置かないでください。
Q点滅する誘導灯を廊下の途中にも付けられますか?
Aできません。規則第28条の3第4項第6号イは 屋内から直接地上へ通ずる出入口と直通階段の出入口に設置する避難口誘導灯以外の誘導灯には設けてはならないとしています。ガイドラインはこの機能の目的が最終避難口の位置を更に明確に指示することだと述べています。
Q消灯できる建物では消防計画に何を書けばよいのですか?
A通知は消防計画において機能の起動と停止や消灯と点灯に係る防火管理体制及び責任を明らかにすることを求めています。消灯を行う場合は火災時のほか停電時や地震等の災害時の対応についても明らかにしておく必要があります。

まとめ

誘導灯の周囲には誘導灯とまぎらわしい又は誘導灯をさえぎる灯火と広告物と掲示物等を設けません
誘導標識の側は規則第28条の3第5項第3号で広告物と掲示物等が挙げられています
ガイドラインは使用開始後に物品が設けられやすいとして日常時の維持管理を求めています
視認性は見とおしと表示内容の認知と誘目性の三つで捉えます
点滅機能と音声誘導機能は最終避難口の避難口誘導灯だけに設けます
消灯や点滅を行うなら消防計画に起動と停止の体制と責任を書いておきます
見回りは法第8条第1項の維持管理に含まれる防火管理者の仕事です

置き場所の決めごとから作り直してみます。
まずは今日の閉店後に廊下を歩いてみます。

その一歩で避難のわかりやすさが変わります。
迷われたら㈱防災屋でもご相談を承っています。

防火管理はプロにお任せ下さい

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参考・出典

  • 誘導灯及び誘導標識に係る設置・維持ガイドラインについて(平成11年9月21日 消防予第245号 改正 平成13年3月 消防予第103号・消防危第53号 平成18年4月 消防予第158号)
  • 消防法第8条第1項(防火管理者の業務)・第17条の3の2(設置届及び検査)・第17条の3の3(点検及び報告)
  • 消防法施行令第26条(誘導灯及び誘導標識に関する基準)
  • 消防法施行規則第28条の2(誘導灯及び誘導標識を設置することを要しない防火対象物又はその部分)・第28条の3(誘導灯及び誘導標識に関する基準の細目)
  • 誘導灯及び誘導標識の基準(平成11年消防庁告示第2号)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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誘導灯の前に掲示物を置くとなぜいけないのか
誘導灯は避難口の位置と避難の方向を示す緑色の灯火です。 基準どおりに取り付けても その前に掲示物やのぼりが置かれれば役に立ちません。 消防法施行規則は誘導灯の周囲に置いてはいけない物をはっきり列挙しています。 消防庁のガ...