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【避難はしご】共同住宅やアパートにある避難器具の設置基準は消防法?

結論、共同住宅やアパートにある避難はしご等の避難器具は消防法および建築基準法の2パターンで設置義務が生じる可能性があります。

共同住宅やアパートの場合、消防法に基づく収容人員30名以上で避難はしご等の避難器具の設置義務が生じます。

建築基準法の二方向避難については、例えば屋外階段1本とエレベーターしかない共同住宅やアパートの場合、ベランダ(バルコニー)にハッチ式の金属製避難はしごを設けることで二方向避難を確保しています。

※ただし消防法上の用途毎に設置基準が異なる為、確認しましょう!

 

「ベランダのハッチ式金属製避難はしご」あなたは必要?
なぎさ
なぎさ
ははぁーん。収容人員というのが大事そうですね!
うちの店、1日にお客さん5人くらいしかけぇへんのですわ。っちゅうことで収容人員は5人でええなぁ?
建物関係者
建物関係者

 

収容人員の算定方法

「1日の平均来客数=収容人員」と認識している人は少ないとは思いますが、、、まずは収容人員について解説します!

“収容人員” は防火対象物を利用する人の数のことで、その算定方法は消防法施行規則第一条の三で詳しく定められています。

実務を行う上では使用開始届の2枚目に各階の収容人員を記載する欄がありますので、それを埋めるために計算します。

防火対象物の用途によって算出方法が異なる他、例えば避難器具等は算出結果の人数によって要·不要が分かれるため、収容人員の計算はコスト面にも影響を与える重大な業務です。

 

収容人員の算定基準
参考:川崎市

建物関係者
建物関係者
こんな細かく決まってんのかいな。えーっと、避難器具の設置義務を回避するには、、っと。
回避する方向じゃなく、まずは設置で考えてくださいね!
なぎさ
なぎさ

収容人員からみた設置基準

① 収容人員10人以上
・ 一階段のみの防火対象物で3階以上の階、ただし令別表第一(2)項キャバレー等、(3)項飲食店等は2階も対象(第5号)
令別表第一 (5)項ホテル等、(6)項病院等の地階・2階以上の階で下階に(1)~(4)項、(9)項、(12)項イ、(13)項イ、(14)項、(15)項がある階(第1号、第2号)

② 収容人員20人以上
令別表第一 (6)項病院・保育所等の地階・2階以上の階で、上記①以外のもの(第1号)

③ 収容人員30人以上
令別表第一 (5)項ホテル・共同住宅等の地階・2階以上の階で、上記①以外のもの(第2号)

④ 収容人員50人以上
令別表第一 (1)~(4)項、(7)~(11)項の地階・2階(耐火建築物の場合は3階)以上の階(第3号)

⑤ 収容人員100人以上
令別表第一 (12)項工場等、(15)項その他事務所等の地階・3階以上の無窓階(第4号)

⑥収容人員150人以上
令別表第一(12)項工場等、(15)項その他事務所等の3階以上の有窓階(第4号)

※  収容人員の定義については施行令第1条の2第3項第1号イに、具体的な算定方法については施行規則第1条の3を参照のこと。

設置すべき避難器具の種類と個数

避難器具であれば、どの避難器具をどの階に設置してもよいというわけではありません。避難器具の種類によっては設置することが認められていない階や用途があります。

また、収容人員に応じて、設置すべき避難器具の個数も定められている。それらの基準は令第25条第2項第1号に規定されています。

まず避難器具の種類については、表のかたちで規定されている。その表を避難器具ごとに整理しなおすと下記の通りです!

個数の設置基準

令第25条第2項第2号・第3号に、細目が消防法施行規則第27条にそれぞれ規定されています。
収容人員からみた設置基準(上記①~⑥)でまとめると、以下の通りとなります。

①~③ 収容人員100人以下は1個、以降100人を超えるごとに1個増 (第1号、第2号、第5号)
        収容人員200人以下は1個、以降200人を超えるごとに1個増 (第3号)
⑤~⑥ 収容人員300人以下は1個、以降300人を超えるごとに1個増 (第4号)

 

消防法の収容人員に基づく設置基準

収容人員20人以上の病院・福祉施設など

令別表第一(6)項イ 病院・(6)項ロ 老人ホームなど・(6)項ハ デイサービス及び(6)項二 幼稚園などの2階以上の階または地階で収容人員20人以上のものには、階ごとに下表の避難はしご等の避難器具を設けます。

地階

2階

3階

4階または5階

6階~10階

避難はしご

避難用タラップ

滑り台

避難はしご

救助袋

緩降機

避難橋

避難タラップ

滑り台

救助袋

緩降機

避難橋

滑り台

救助袋

緩降機

避難橋

滑り台

救助袋

避難橋

(6)項の防火対象物における避難はしご等の避難器具の設置基準で特筆すべきは、緩降機を設置できるのが5階までという所でしょうか。

最も、老人ホームなどでは緩降機による避難が現実的では無い為、例え2階であっても救助袋の設置が望ましいという指導をされる所轄消防署さんもあります。

そして下の階に同表(1)~(4)項まで、(9)項・(12)項イ・(13)項イ・(14)項または(15)項に掲げる防火対象物があるものにあっては、10人以上のものとなります。

 

収容人員30人以上の宿泊施設・共同住宅(アパート)など

令別表第一(5)項イ ホテル・旅館及び民泊など、(5)項ロ 共同住宅・寄宿舎などの2階以上の階または地階で収容人員30人以上のものには、階ごとに下表の避難はしご等の避難器具を設けます。

地階

2階

3階

4階または5階

6階~10階

避難はしご

避難用タラップ

滑り台

避難はしご

救助袋

緩降機

避難橋

滑り棒

避難ロープ

避難タラップ

滑り台

避難はしご

救助袋

緩降機

避難橋


避難タラップ

滑り台

避難はしご(ハッチ)

救助袋

緩降機

避難橋

滑り台

避難はしご(ハッチ)

救助袋

緩降機

避難橋

こちらも下の階に同表(1)~(4)項まで、(9)項・(12)項イ・(13)項イ・(14)項または(15)項に掲げる防火対象物があるものにあっては10人以上のものとなります。

避難はしごが設置できるのは3階まで、窓枠などに引掛けて展張する「吊下げ」避難はしごが設置できるのは3階までです。

参考:避難はしご(つり下げ式)

4階以上の避難はしごは「ハッチ」式になります。

参考:ハッチ式の避難はしご改修工事

収容人数50人以上の店舗・学校その他の施設

令別表第一(1)項イ 劇場など・(2)項 キャバレーなど・(3)項 飲食店など・(4)項 百貨店・(7)項 学校・(8)項 図書館・(9)項 浴場・(10)項 停車場など・(11)項 神社などの2階以上の階または地階で、収容人員50人以上のものには以下の避難はしご等の避難器具を設けます。

地階

2階

3階

4階または5階

6階~10階

避難はしご

避難用タラップ

滑り台

避難はしご

救助袋

緩降機

避難橋

滑り棒

避難ロープ

避難タラップ

滑り台

避難はしご

救助袋

緩降機

避難橋


避難タラップ

滑り台

避難はしご(ハッチ)

救助袋

緩降機

避難橋

滑り台

避難はしご(ハッチ)

救助袋

緩降機

避難橋

そして下の階に同表(1)~(4)項まで、(9)項・(12)項イ・(13)項イ・(14)項または(15)項に掲げる防火対象物があるものにあっては、10人以上のものとなります。

 

収容人数100人以上の工場・その他の事業所

令別表第一(12)項イ 工場・(12)項ロ スタジオなど、及び(15)項 その他の事業所においては3階以上の階または地階で、収容人員が、3階以上の無窓階または地階にあっては100人以上その他の階にあっては150人以上のものには以下の避難はしご等の避難器具を設けます。

地階

2階

3階

4階または5階

6階~10階

避難はしご

避難用タラップ

滑り台

避難はしご

救助袋

緩降機

避難橋

避難用タラップ

滑り台

避難はしご(ハッチ)

救助袋

緩降機

避難橋

滑り台

避難はしご(ハッチ)

救助袋

緩降機

避難橋

上記の用途を表にしてみてみると、2階部分には避難はしご等の避難器具の設置が必要ない事が分かります。

 

令別表第1で上記①~④以外に該当する防火対象物

令別表第一に掲げる防火対象物の3階以上の階(ただし、(2)項 キャバレー等・(3)項 飲食店等・及び(16)項イ 複合用途防火対象物で2階に(2)項 キャバレー等・(3)項 飲食店等があるものは2階)のうち、当該階から避難階または地上に直通する階段が2以上設けられていない階で、収容人員10人以上のものには以下の避難はしご等の避難器具を設けます。

地階

2階

3階

4階または5階

6階~10階

滑り台

避難はしご

救助袋

緩降機

避難橋

滑り棒

避難ロープ

避難タラップ

滑り台

避難はしご

救助袋

緩降機

避難橋

避難タラップ

滑り台

避難はしご(ハッチ)

救助袋

緩降機

避難橋

滑り台

避難はしご(ハッチ)

救助袋

緩降機

避難橋

また、当該階に総務省令で定める有効な開口部(消防法施行規則第4条の2の2)を有しない壁で区画されている部分がある場合にあっては、その区画された部分から避難階または地上に直通する階段が2つ以上ない階収容人数10人以上のものに避難はしご等の避難器具を設けることとなっています。

 

建築基準法に基づく設置基準

建築基準法に基づいた避難はしごの設置

冒頭にて防火対象物の “収容人員” と “用途” によって、避難はしご等の避難器具の設置義務が生じてくると述べさせて頂きました。

しかし、それは消防法上のお話でして、実はそれ以外にも建築基準法施行令第121〔二以上の直通階段を設ける場合〕に該当してくる建築物の直通階段の設置を緩和する為に、例えば各階のベランダにハッチ式の避難はしごが設置されている等というケースも往々にしてございます。

ですから例えば『ウチの収容人員って…、明らかに◯◯人いってないから避難はしご等の避難器具いらへんな…。よっしゃ撤去したろ!!』ってな事をされないようにご注意を!

 

まとめ

  • 消防法で生じる避難器具の設置基準はその建物の “収容人員” と “用途” によって異なる他、その階によっても設置できる避難はしご等の避難器具の種類が変わった。
  • 消防法施行令第25条〔避難器具に関する基準〕の条文にて避難器具の設置基準が謳われているほか、建築基準法施行令第121〔二以上の直通階段を設ける場合〕に該当してくる建築物の直通階段の設置を緩和する為に、例えば各階のベランダにハッチ式の避難はしごが設置されている等というケースもあった。

 

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(株)防災屋では法令遵守・消防検査をクリアするための避難器具の設計・施工およびメンテナンス一式を承っております。お困りの際はぜひお問い合わせください。

建物関係者
建物関係者
そうか! (株)防災屋さんに相談してみればいいのかっ!
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