BLOG

防火ダンパーはどんな仕組みで火や煙を止めるのか|ダクトが防火区画を貫通する部分の維持管理を解説

天井裏でダクトの防火ダンパーを点検する担当者を表すイメージ

天井裏や機械室を走るダクトは、空調や換気のために建物のあちこちを通っています。
そのダクトが防火区画の壁を貫通する場所には、火や煙を止める専用の設備が要ります。
これが防火ダンパーで、防火戸や防火シャッターと違って目に見えにくいため、点検の対象から漏れやすい設備です。
ダンパーの前に荷物を置くだけで、閉まらなくなることがあります

天井裏にダクトがいくつも通っているんですが、あれは全部同じ扱いでいいんですかね。

ダクトが防火区画の壁を貫通する場所には、防火ダンパーという設備が要ります。
それ以外のただの通り道とは扱いが違います

防火戸や防火シャッターとは別のものなんですか。

仕組みも点検の入り口も別です。
順番に確認していきましょう。

この記事の結論
  • 防火ダンパーはダクトが防火区画を貫通する場所に設ける特定防火設備です
  • 換気・暖房・冷房の風道が準耐火構造の防火区画を貫通する場合に設置義務があります(建築基準法施行令第112条第21項)
  • 煙を感知するか温度が急激に上昇したときに自動的に閉鎖することが要件です
  • 天井裏や機械室に物を置いて閉鎖を妨げると設備が機能しなくなります
  • 設置根拠は建築基準法で、消防法の点検体系とは別枠になっています

防火ダンパーは煙や急激な温度上昇を感知して自動的に閉鎖し延焼と煙の拡大を防ぐ仕組みであることを示した図解

防火ダンパーとは何のために設けられているのか

ダクトが防火区画の壁を貫通する部分に防火ダンパーが設けられている様子を示したイメージ
建物の防火区画は、壁や床だけでなく空調のダクトが通る場所でも途切れさせないようにする必要があります。
そこに設ける特定防火設備が防火ダンパーです。
建築基準法第8条第1項 建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない
防火ダンパーは、ダクトのための防火区画の穴埋めです
壁や床は準耐火構造や耐火構造で防火区画をつくれますが、空調用のダクトだけはどうしても穴を開けて通す必要があります。
その穴をふさぎ、火災時には火や煙を止める役目を持つのが防火ダンパーです。
建築基準法第8条は、建築設備を含めた維持管理を建物の所有者・管理者・占有者の努力義務として定めており、ダクトの防火設備もこの対象に含まれます。
防火戸や防火シャッターと同じ「特定防火設備」の一種ですが、対象がダクトである点で扱いが異なります。

ダクトに穴を開けたままにはできないんですね。

はい。穴をふさぐ設備として防火ダンパーを設けます。
次はどんな風道が対象かを見ていきましょう。

どんな風道に設置義務があるのか

屋上の空調機からのダクトが建物の各階の床を貫通して伸びていく様子を示したイメージ
すべてのダクトが対象になるわけではありません。
条文が対象にしているのは、防火区画を貫通する風道だけです。
建築基準法施行令第112条第21項 換気、暖房又は冷房の設備の風道が準耐火構造の防火区画を貫通する場合(国土交通大臣が防火上支障がないと認めて指定する場合を除く。)においては、当該風道の準耐火構造の防火区画を貫通する部分又はこれに近接する部分に、特定防火設備(略)であつて、次に掲げる要件を満たすものを(略)設けなければならない
対象は換気・暖房・冷房の風道が、準耐火構造の防火区画を貫通する場合です
屋上の空調機から各階へ伸びるダクトのように、床や壁の防火区画を何度も突き抜ける風道は、貫通する箇所ごとにこの設置義務がかかります。
逆に、防火区画をまったく貫通しないダクトや、国土交通大臣が防火上支障がないと指定した場合は対象から外れます。
自分の建物のどのダクトが防火区画を貫通しているかは、設計図書の防火区画線とダクトルートを重ねて確認するとわかります。

うちのダクトが対象かどうかは、見た目では判断できませんね。

防火区画線とダクトルートを図面で重ねて確認しましょう。
貫通点ごとに設置の有無を洗い出せます。

どんな仕組みで自動的に閉じるのか

ダクト内の羽根が煙感知器と連動して半分閉じかけている様子を示したイメージ
防火ダンパーは、人が操作しなくても火災時に自分で閉じる仕組みを持っています。
条文はその要件を二つ定めています。
建築基準法施行令第112条第21項第一号・第二号 一 火災により煙が発生した場合又は火災により温度が急激に上昇した場合に自動的に閉鎖するものであること。 二 閉鎖した場合に防火上支障のない遮煙性能を有するものであること
感知の方法は煙と温度の二種類です
煙感知器と連動するタイプは煙を感知した瞬間に、温度ヒューズを使うタイプは熱で金属部品が溶けた瞬間に、羽根が閉じます。
ただ閉じるだけでなく、閉じた状態で遮煙性能を持つことも同時に求められており、隙間から煙が漏れる設備では要件を満たしません。
温度ヒューズ式は一度溶けると自動では元に戻らないため、作動後は必ず部品を交換してから復旧させます。

閉まりさえすれば、それで十分だと思っていました。

遮煙性能も同時に必要です。
作動後は部品交換で復旧させてください。

実務で見落としやすいのはどこか

天井裏でダンパーの前に段ボール箱が積まれて閉鎖を妨げている様子を示したイメージ
防火ダンパーは天井裏や機械室の奥にあり、日常の視界に入りません。
そのため、二つの見落としが起こりやすくなります。
建築基準法第12条第1項(抜粋) (略)これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第3項の検査(略)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
一つ目は、点検の体系そのものが防火戸と分かれていることです
防火ダンパーの設置根拠は建築基準法にあり、消防法の消防用設備等点検(消防法第17条の3の3)の対象とは別枠です。
建築基準法第12条第1項が定める「防火戸その他の政令で定める防火設備」に含まれる場合、建築設備等の定期検査の対象になり得ますが、これは消防法上の点検票には出てきません。
二つ目は、物理的な閉鎖障害です。天井裏やダクトスペースは物置代わりに使われやすく、羽根の可動範囲に段ボール箱や配線が置かれていると、感知しても閉じきらないことがあります。
「見えない場所にある」という一点が、この二つの見落としをどちらも生んでいます。

消防用設備等点検で防火戸を確認しているので、それで足りると思っていました。

防火ダンパーは別の点検体系です。
対象に入っているかを個別に確認してください。

明日からなにを確認すればよいのか

点検担当者がクリップボードを持って天井の点検口を開けている様子を示したイメージ
見えない設備だからこそ、確認の手順を先に決めておくことが大切です。
建築基準法第8条第2項 次の各号のいずれかに該当する建築物の所有者又は管理者は、(略)必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない
確認は位置の把握・点検対象の確認・障害物の除去の三段階で進めます
まず、新築時の設計図書や設備図で、天井裏やダクトスペースにある防火ダンパーの位置を洗い出します。
次に、その建物が建築基準法第12条の定期検査の対象になっているかを、所有者または管理者が確認します。
最後に、点検口の周囲やダクトスペースの中に、羽根の可動を妨げる荷物や配線が置かれていないかを目視で確認します。
建築基準法第8条第2項が求める維持保全の計画に、この三段階を組み込んでおくと、点検のたびに同じ確認を繰り返せます。

天井裏に何があるかなんて、これまで気にしたことがなかったです。

まずは位置の把握から始めてください。
設計図書がなければ検査員に相談しましょう。

よくある質問

Q防火ダンパーは消防用設備等点検の点検票に出てきますか?
A出てきません。防火ダンパーの設置根拠は建築基準法にあり、消防法第17条の3の3に基づく消防用設備等点検とは別の体系です。
Qすべてのダクトに防火ダンパーが必要ですか?
A換気・暖房・冷房の風道が準耐火構造の防火区画を貫通する場合に限られます。国土交通大臣が防火上支障がないと指定した場合は対象外です。
Q防火ダンパーと防火戸は同じ設備として扱ってよいですか?
A建築基準法上はいずれも特定防火設備の一種ですが、防火ダンパーはダクトの貫通部という点で対象が異なり、天井裏に隠れているため個別に確認が必要です。
Q天井裏の防火ダンパーの位置が分からないときはどうすればよいですか?
A新築時の設計図書や設備図で確認できます。図面が見当たらないときは、設計者や建築設備等検査員に相談してください。

まとめ

防火ダンパーはダクトが防火区画を貫通する場所に設ける特定防火設備です
対象は換気・暖房・冷房の風道が準耐火構造の防火区画を貫通する場合です
煙の感知または急激な温度上昇で自動的に閉鎖する仕組みです
閉鎖した状態で遮煙性能を持つことも同時に必要です
天井裏の物置きなどで閉鎖を妨げると設備が機能しなくなります
設置根拠は建築基準法で、消防法の点検体系とは別枠になっています
位置が分からないときは設計図書や検査員に確認するのが手順です

天井裏の設備にも、点検を分けて考える必要があることが分かりました。

まずは位置の把握と周囲の障害物の確認から始めてください
㈱防災屋でもご相談を承っています。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

参考・出典

  • 建築基準法第8条
  • 建築基準法第12条
  • 建築基準法施行令第112条
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または建築主事にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
天井裏でダクトの防火ダンパーを点検する担当者を表すイメージ
天井裏や機械室を走るダクトは、空調や換気のために建物のあちこちを通っています。 そのダクトが防火区画の壁を貫通する場所には、火や煙を止める専用の設備が要ります。 これが防火ダンパーで、防火戸や防火シャッターと違って目に見...