共同住宅の一室を認知症高齢者グループホーム等として使う建物が増えていますが、住宅部分にもスプリンクラー設備が必要になるのかご存じでしょうか。
平成25年・26年の消防法施行令改正で小規模な社会福祉施設等は原則として延べ面積にかかわらずスプリンクラー設備の設置が義務化され、複合建物では建物全体が対象になる場合があります。
しかし個々の建物の状況によっては、住宅部分にまでスプリンクラー設備の設置を要しないと考えられるケースがあり、平成27年に消防庁がその考え方を通知でまとめました。
この記事では、住宅部分にスプリンクラー設備の設置を要しないとされる4つの条件と、実務で見落としやすい点をわかりやすく解説します。
うちのアパートの一室を高齢者グループホームに改装する予定なんですが、住宅の部分にもスプリンクラーを付けないといけないんですか。
一定の要件を満たせば、住宅部分にはスプリンクラー設備の設置を要しないと考えられる場合があります。
まずは、なぜこの通知が出されたのかを見てみましょう。
面積じゃなくて、建物の使い方で決まるんですね。
はい、決まった条件があります。
通知の中身を順番に確認していきましょう。
- 平成25年政令第368号・平成26年政令第333号による消防法施行令改正で、令別表第一(6)項イ(1)及び(2)並びにロに掲げる施設は原則として延べ面積にかかわらずスプリンクラー設備の設置が義務付けられ、住宅部分を含む複合建物の取扱いを整理したのが平成27年消防予第349号です。
- 対象になるのは、令第12条第1項第1号に掲げる防火対象物のうち、一部に住宅部分が存するものです。
- 住宅部分にスプリンクラー設備の設置を要しないと考えられるのは、主要構造部が準耐火構造であることなど、次の(1)から(4)までのすべての条件に該当する場合です。
- (4)の条件に当てはまらなくても、準耐火構造の壁及び床で区画し防火設備を設けるなど有効な防火措置が講じられていれば、例外的に認められる場合があります。
- この考え方は令第32条の特例基準を適用する際の参考であり、実際の適用は所轄消防署が個々の建物の状況を確認して判断します。
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目次
なぜ住宅部分にもスプリンクラーの通知が出されたのか

その基準が、住宅部分を含む建物にどう及ぶのかを確認しましょう。
消防法施行令の改正により、グループホームなど令別表第一(6)項ロに当たる施設は、原則として延べ面積を問わずスプリンクラー設備の設置が義務付けられました。
共同住宅の一室をこうした施設に転用すると、住宅部分を含む建物全体が令別表対象物として扱われ、住宅部分にまで設置義務が及ぶ可能性があります。
しかし個々の建物の状況によっては、住宅部分にまで一律に設置を求める必要はないとも考えられることから、消防庁が今回の通知でその考え方を整理しました。
まずは、どんな建物のどの部分が対象になるのかを見ていきましょう。
なんでグループホームだけ、面積に関係なくスプリンクラーが必要になったんですか。
介助が必要な入居者の避難の難しさを踏まえて、基準が強化されてきた経緯があります。
次は対象になる範囲を確認しましょう。
どの建物のどの部分が対象になるのか

対象になる範囲を、通知の記載で確認しましょう。
具体的には令別表第一(6)項イ(1)及び(2)並びにロに掲げる施設で、平成25年・26年の政令改正により原則として延べ面積にかかわらずスプリンクラー設備の設置が義務付けられました。
共同住宅の一部をこうした施設に転用し、建物の中に一般住宅の用途に供する住宅部分が残っている場合が、この通知の対象になります。
逆に、住宅部分が存在しない単独の施設や、令別表対象物の床面積が住宅部分より小さい建物は、そもそもこの整理の対象にはなりません。
次は、住宅部分にスプリンクラー設備を要しないとされる4つの条件を確認しましょう。
うちは古いアパートの1階を小さなグループホームに改装しようとしています。
それも対象になりますか。
はい、住宅部分が残っていれば対象になり得ます。
次は具体的な4つの条件を見ていきましょう。
通知は住宅部分に何を求めているのか

通知が示す(1)から(4)までの条件を確認しましょう。
まず主要構造部が準耐火構造であることが前提で、そのうえで消火器・自動火災報知設備・火災通報設備を基準どおりに設置し、住宅部分の居室には煙感知器を設けます。
最後の条件は、住宅部分と非住宅部分が同じ階や上下の階に同居していないことですが、準耐火構造の壁及び床で区画し防火設備を設けることで、同一階の同居も認められる場合があります。
(1)から(4)までのすべてに該当してはじめて、住宅部分はスプリンクラー設備の設置を要しないと考えられます。
次は、この条件を確認するときに実務で見落としやすい点を見ていきましょう。
消火器や自動火災報知設備はもう付けています。
でも住宅部分に煙感知器まで必要とは知りませんでした。
はい、そこが見落とされやすいポイントです。
次に整理しましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

特に見落としやすい2つを確認しましょう。
住宅部分と非住宅部分が同じ階にあると単純に「対象外」と判断してしまいがちですが、準耐火構造の壁及び床で区画し、自動閉鎖装置付きの防火設備を設ければ例外的に認められる場合があります。
逆に、(1)から(4)までのどれか一つでも満たさないと決めつけて確認を止めてしまうのも早計です。
条件に該当しなくても、他の防火措置により同等の防火安全性能が認められれば、住宅部分の設置を要しないと判断されることも考えられるとされています。
ただし、この通知はあくまで令第32条の特例基準を適用する際の参考であり、最終的な判断は所轄消防署が個別に行います。
うちの建物は住宅部分とグループホームが同じ階にあるので、もう無理だと思っていました。
区画と防火設備の条件を満たせば認められる場合があります。
最後に、確認する手順を整理しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

順番に見ていきましょう。
該当する場合は、主要構造部・消火器や自動火災報知設備の設置状況・住宅部分の煙感知器・住宅部分と非住宅部分の階の配置という4つの条件を、図面と現地の両方で確認します。
条件に完全には当てはまらない場合も、区画や防火設備で同等の防火安全性能を示せないか検討する余地があります。
本通知はあくまで助言であり、最終的な適用は所轄消防署の判断によるため、改修や用途変更を検討する段階で早めに相談することが確実です。
共同住宅の一部を福祉施設に転用する計画があるなら、この機会に住宅部分の扱いを確認しておきましょう。
今度、うちの建物の図面を確認して、住宅部分の扱いを整理してみます。
それが確実な第一歩です。
これでよくある質問を確認しましょう。
よくある質問
まとめ
住宅部分の扱いにこんな条件があるとは知りませんでした。
今度、うちの建物の図面を確認したうえで、消防署に相談してみます。
はい。
住宅部分の扱いや設備基準の確認でお困りのことがあれば、㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 住宅部分が存する防火対象物におけるスプリンクラー設備の技術上の基準の特例の適用について(平成27年9月4日 消防予第349号 消防庁予防課長)
- 消防法施行令第12条第1項第1号・第32条
- 「令別表第1に掲げる防火対象物の取り扱いについて」(昭和50年4月15日付け消防予第41号・消防安第41号)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





