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催しで火を使う器具を出すとき消火器の準備は義務なのか|対象になる催しと器具の範囲を解説

催しで火を使う器具を出すとき消火器は要るのか

建物の一角を貸して縁日や展示会を開くとき、出店する側がカセットコンロやホットプレートを持ち込むことがあります。
このとき火を使う器具のそばに消火器を置くことが条例で義務づけられている点は、あまり知られていません。
対象になるのは屋外の露店だけではなく、屋内の展示会で使う器具も同じように含まれます。
この記事では、催しで火を使う器具を出すときの消火器の準備義務がどの催しとどの器具に及び、どんな消火器を用意すればよいのかを解説します。

テナントの催しでカセットコンロを使いたいと言われたのですが、断るべきか迷っています。

断る前に確かめておきたい決まりがあります。
催しで火を使う器具を使うときは消火器の準備が求められます。

建物に置いてある消火器とは別の話ということですか。

まったく別の条文から出てくる義務です。
根拠になる条文から順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 祭礼や縁日や花火大会や展示会など多数の者が集合する催しで火を使う器具を使うときは、消火器の準備をした上で使うこととされています。(消防法施行令第5条の2第1項第六号)
  • 対象になるのは気体燃料・液体燃料・固体燃料を使う器具に加えて、電気を熱源とする器具も含まれます。
  • 集まる人の範囲が個人的なつながりに留まる催しは対象外とされています。(消防予第33号)
  • 準備する消火器から住宅用消火器は除かれ、周囲の可燃物の消火に適応するものを選びます。
  • 消火器は原則として器具を取り扱う者が準備しますが、共同して準備することも妨げられないとされています。

催しで火を使う器具を使うときの消火器の準備義務の要点をまとめた図解

催しで火を使う器具を出すときに何が義務づけられているのか

屋台の調理台のとなりに置かれた消火器
火を使う器具の取扱いは、消防法が市町村の条例に委ねている分野です。
その条例をどう作るかの基準が、政令の側に並べて置かれています。
消防法施行令第五条の二第一項(抜粋) 火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある器具であつて総務省令で定めるもの(以下(略)「対象火気器具等」という。)の取扱いに関し火災の予防のために必要な事項に係る条例制定基準は、次のとおりとする。(略)六 対象火気器具等を、祭礼、縁日、花火大会、展示会その他の多数の者の集合する催しに際して使用する場合にあつては、消火器の準備をした上で使用すること
消火器の準備は使う側の義務です。
建物に消火器が設置されているかどうかとは切り離して、器具を使う場面そのものに掛かる決まりになっています。
政令が示しているのはあくまで市町村が条例を作るときの基準で、実際に守るべき条文は自分の建物がある市町村の火災予防条例のほうです。
条例の側では「対象火気器具等の取扱い」を定めた条のなかに、この号に対応する規定が置かれています。
催しの相談を受けたら、まず自分の市町村の火災予防条例でこの規定を開いてみてください。

政令ではなく条例を見にいかないといけないのですね。

政令は市町村が条例を作るときの型紙です。
次はどんな催しがこの型紙に当たるのかを見ていきましょう。

どんな催しがこの義務の対象になるのか

大勢の人が行き交う屋台の列と庭先で開く小さな集まりの対比
条文は祭礼・縁日・花火大会・展示会という四つを例に挙げたうえで、その他の催しに広げています。
どこまでが「多数の者の集合する催し」なのかは、消防庁の通知が線を引いています。
改正火災予防条例(例)の運用について(平成26年2月7日 消防予第33号)(抜粋) 「祭礼、縁日、花火大会、展示会その他の多数の者の集合する催し」とは、一時的に一定の場所に人が集合することにより混雑が生じ、火災が発生した場合の危険性が高まる催しであって、例示されている祭礼、縁日、花火大会、展示会のように一定の社会的広がりを有するものを指すものであること。したがって、集合する者の範囲が個人的つながりに留まる場合(近親者によるバーベキュー、幼稚園で父母が主催するもちつき大会のように相互に面識がある者が参加する催しなど)は対象外であること。
境目は人数ではなく広がりです。
通知が示している物差しは一定の社会的広がりがあるかどうかで、何人以上という数字の基準は置かれていません。
相互に面識がある人だけが集まる催しは対象外とされている一方で、店舗の前で不特定の来店客に向けて開く催しは広がりのある側に入ります。
屋外に限る書きぶりにもなっていないので、屋内の展示会で調理の実演を行うような場面も同じように読めます。
自分の建物で予定されている催しが、面識のある人の集まりなのか外に開かれたものなのかを最初に切り分けてみてください。

社員だけの納涼会と、お客さんを呼ぶ催しでは扱いが変わるということですね。

その切り分けで考えていただければ大きく外れません。
次は対象になる器具の範囲を確認しましょう。

どんな器具までがこの決まりに含まれるのか

ガスボンベ付きのこんろと大きさの違う消火器と電気のホットプレート
条文が使っている「対象火気器具等」という言葉は、総務省令が中身を決めています。
そこには火を使わない器具まで並んでいます。
対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令第十八条 令第五条の二第一項の総務省令で定めるものは、次の各号に掲げる器具とする。 一 気体燃料を使用する器具 二 液体燃料を使用する器具 三 固体燃料を使用する器具 四 電気を熱源とする器具
電気の調理器具も同じ枠に入っています。
四つの号のうち三つは燃料を燃やす器具ですが、四号は電気を熱源とする器具を正面から挙げています。
ホットプレートや電気フライヤーは炎が出ないので見落とされやすいものの、条文の上では炭火のこんろと並びの扱いです。
逆に、燃料も熱源も使わない物品販売だけの出店であれば、この号の対象火気器具等には当たりません。
出店の一覧を作るときに、どの店がどの熱源を使うのかを欄に書き出しておくと判断が早くなります。

つまり電気だから安全という理由では外れないということですね。

条文は熱源の種類で線を引いていません。
次はどんな消火器を置けばよいのかを見ていきましょう。

準備する消火器はどんなものでよいのか

屋台のとなりに置かれた傷んだ消火器と手入れされた消火器の比較
条文は「消火器の準備」としか書いていません。
その中身は消防庁の通知が具体的に示しています。
改正火災予防条例(例)の運用について(平成26年2月7日 消防予第33号)(抜粋) ア 消火器は、初期消火を有効に行うために準備するものであることから、消火器の技術上の規格を定める省令第一条の二第一号に規定する消火器(同条第二号に規定する住宅用消火器を除く。)のうち、対象火気器具等の種別その他周囲の可燃物等の消火に適応とされるものを準備する必要があること。(略)イ 消火器は、原則として、対象火気器具等を取り扱う者が準備する必要があること。ただし、初期消火を有効に行いうる場合は、対象火気器具等の使用実態に応じ、複数の対象火気器具等に対して共同して消火器を準備することも妨げられないこと。
準備するのは出店する側です。
通知は原則として器具を取り扱う者が準備すると書いており、会場を貸す側が全部そろえる建て付けにはなっていません。
ただし初期消火を有効に行いうる場合には、複数の器具に対して共同で準備することも妨げられないとされています。
選ぶ消火器は規格省令に定める消火器のうち周囲の可燃物の消火に適応するものとされ、住宅用消火器は除かれます。
出店者に消火器を持参してもらうのか会場で共同のものを置くのかを、募集の段階で決めて伝えておくと当日に慌てません。

家庭用に買った小さな消火器を持ってこられたら、それでは足りないわけですね。

住宅用消火器は通知が明確に除いています。
次は現場で見落としやすいところを整理しましょう。

実務で見落としやすいのはどこか

会場図を前に出店の配置と消火器の位置を確かめる担当者
準備した消火器をどう扱うかについても、通知が一段書き足しています。
点検の義務と適切さの話が分かれている点が要注意です。
改正火災予防条例(例)の運用について(平成26年2月7日 消防予第33号)(抜粋) ウ 対象火気器具等を使用する際に準備する消火器については、消防法第十七条の三の三に規定する点検の義務はないが、腐食又は破損がある等不適切な消火器を準備していることが明らかになった場合には、適切な消火器を準備するよう指導を行う必要があること。
点検義務がないことと何でもよいことは別です。
催しのために持ち込む消火器は建物の消防用設備等ではないので、法第17条の3の3の点検報告の対象にはなりません。
その一方で、腐食や破損があるものを置いていることが分かれば適切なものに替えるよう指導されるとされています。
もうひとつ落としやすいのが、建物に設置してある消火器を露店のそばへ持ち出してしまう扱いで、これをすると本来の設置位置から消火器が欠けることになります。
催しの当日は、持ち込まれた消火器の外観と、建物側の消火器が定位置にあるかを両方見て回ってください。

館内の消火器を貸してしまうところでした。

よくある相談です。
次によくある質問を確認しましょう。

よくある質問

Q館内に設置してある消火器を催しのあいだだけ動かして使ってもよいですか?
A消防予第33号は消火器を原則として器具を取り扱う者が準備するとしています。館内の消火器は消防法第17条第1項に基づいて所定の位置に置かれているものなので、そこから持ち出す前提で計画を組むのは避けてください。
Q電気のホットプレートしか使わない出店でも消火器は要りますか?
A対象火気器具等には電気を熱源とする器具が含まれています。多数の者が集合する催しで使うのであれば、炎が出ない器具でも消火器の準備が求められる読み方になります。
Q出店が10店あるときは10本そろえなければなりませんか?
A原則は取り扱う者ごとの準備ですが、初期消火を有効に行いうる場合には使用実態に応じて共同して準備することも妨げられないとされています。配置の間隔や通路の状況を所轄消防署に相談したうえで決めるのが確実です。
Q催しのために準備した消火器も点検して報告する必要がありますか?
A消防予第33号は法第17条の3の3に規定する点検の義務はないとしています。ただし腐食や破損があるものを準備していることが明らかになった場合は、適切なものを準備するよう指導が行われるとされています。

まとめ

多数の者が集合する催しで火を使う器具を使うときは、消火器の準備をした上で使うこととされています。
政令の根拠は消防法施行令第5条の2第1項第六号で、実際に守る条文は市町村の火災予防条例です。
対象になる催しは一定の社会的広がりを有するもので、面識のある人だけが集まる催しは対象外とされています。
対象火気器具等には気体・液体・固体の燃料を使う器具のほか電気を熱源とする器具も入ります。
準備する消火器から住宅用消火器は除かれ、周囲の可燃物の消火に適応するものを選びます。
準備するのは原則として器具を取り扱う者ですが、共同して準備することも妨げられないとされています。
点検報告の義務はない一方で、腐食や破損のある消火器は取り替えるよう指導されるとされています。

出店の募集要項に消火器のことを書き足しておきます。

それがいちばん確実な手当てです。
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参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第9条・第17条第1項・第17条の3の3
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条の2
  • 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第2条・第18条
  • 消火器の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第27号)第1条の2
  • 総務省消防庁「改正火災予防条例(例)の運用について」(平成26年2月7日 消防予第33号)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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