消防用設備等や避難施設の点検には、業者に依頼する点検のほかに、防火管理者等が自ら行う確認もあります。
この確認は「自主検査」と呼ばれ、消防計画に定めるべき事項として消防法施行規則に明記されています。
資格を持つ業者が行う法定点検とは、対象も進め方もはっきり分かれています。
自主検査を消防計画に書いたまま実施していない建物は、不備を早期に見つける機会を自ら手放していることになります。
うちの消防計画にも「自主検査」という欄があった気がします。
あれは何をすればいいんでしょうか。
自主検査は、防火管理者等が自ら行う確認のことです。
法定点検とは別に、消防計画で定めた内容を実施する仕組みです。
点検業者に任せている点検と、何が違うんでしょうか。
対象や資格の要否が違います。
順番に見ていきましょう。
- 自主検査は防火管理者等が自ら行う確認で、消防法施行規則第3条第1項第一号ロにより消防計画に定める事項です
- 対象は消防用設備等だけでなく避難施設や防火戸など建物全体の火災予防上の状況に及びます
- 業者が行う法定点検とは異なり、資格の有無を問わず防火管理者等自身が確認してよい点検です
- 実施の頻度や記録の方法に法令上の定めはなく、消防計画で自ら定めて運用する必要があります
- 自主検査を怠ると、法定点検までの間に生じた不備を誰も気づかないまま放置してしまうおそれがあります
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目次
消防計画の自主検査とは何を指すのか

その消防計画に定める事項の一つが「自主検査」です。
一 (略)
ロ 防火対象物についての火災予防上の自主検査に関すること。
消防法第8条第1項により防火管理者が作成する消防計画には、規則第3条第1項第一号ロで「防火対象物についての火災予防上の自主検査に関すること」を定めるとされています。
つまり自主検査とは、業者による点検とは別に、建物側が自分で決めて行う確認のことです。
何を確認するか、誰が担当するか、どれくらいの頻度で行うかは、消防計画の中で自分たちで具体的に定める必要があります。
まずは自分の建物の消防計画に、自主検査についてどう書かれているかを確認してください。
消防計画は届け出た記憶がありますが、中身まではよく見ていませんでした。
自主検査の項目に何を書いたか、一度見返してみてください。
自主検査はどこまでを対象にするのか

条文を見ると、対象は消防用設備等だけに限られません。
ニ 避難通路、避難口、安全区画、防煙区画その他の避難施設の維持管理及びその案内に関すること。
ホ 防火壁、内装その他の防火上の構造の維持管理に関すること。
規則第3条第1項第一号は、自主検査(ロ)のほかに、避難通路や避難口など避難施設の維持管理(ニ)、防火壁や内装など防火上の構造の維持管理(ホ)も、同じ消防計画の中の別項目として並べています。
実務では、これらは互いに重なり合う確認作業になることが多く、消防用設備・避難施設・防火構造をまとめて一巡する形で自主検査を組むのが合理的です。
特定の設備だけを見て「自主検査は済んだ」と判断すると、避難路をふさぐ物品や防火戸の不具合など、条文上は別項目に整理されている部分を見落とします。
自分の建物の自主検査が、設備だけでなく避難施設や防火構造まで一巡しているかを確認してください。
自主検査は設備の点検だけだと思っていました。
避難口や防火戸の維持管理も同じ消防計画の項目に並んでいます。
まとめて確認するのがおすすめです。
自主検査は法定点検とどう役割を分けるのか

条文を見比べると、資格の要否と対象の決め方がはっきり分かれています。
消防法第17条の3の3に基づく消防用設備等の点検は、対象規模により消防設備士等の資格者に行わせる場合と、防火対象物の関係者が自ら点検してよい場合とに分かれ、頻度や報告先も規則第31条の6で定められています。
一方、規則第3条第1項第一号ロの自主検査には、こうした資格・頻度・報告先の定めがなく、消防計画で自分たちが定めた内容を、防火管理者等が日常的に確認する仕組みです。
つまり法定点検は「決められた資格者が決められた周期で行う点検」、自主検査は「建物側が決めた内容を日常的に確認する仕組み」という役割分担になります。
次の法定点検の予定を確認するときに、その間を埋める自主検査の内容も一緒に見直してください。
法定点検さえ受けていれば十分だと思っていました。
法定点検は周期が決まった点検です。
その間を埋めるのが自主検査の役割です。
自主検査を怠るとどんな見落としが起こるのか

ただし、これを怠ったことは別の場面で表面化します。
規則第3条第1項第一号ロは自主検査を消防計画に定める事項として挙げているだけで、実施しなかった場合の罰則は定めていません。
しかし消防法第4条の立入検査では、避難通路をふさぐ物品や防火戸の閉鎖障害など、自主検査で確認していれば早期に直せたはずの不備がそのまま見つかることになります。
法定点検は設備そのものの機能を確認しますが、避難通路の物品や防火戸の閉鎖状態のような日常的な変化までは追いきれません。
自主検査を怠った期間が長いほど、立入検査で初めて不備に気づくことになりやすいので、法定点検の間の期間こそ自主検査で埋めてください。
自主検査をしなくても罰則が無いなら、後回しでもいいのでしょうか。
罰則はなくても、不備は立入検査でそのまま見つかります。
後回しにしないほうが安全です。
自主検査の体制はどう作ればよいのか

自主検査は消防計画に書いて終わりではなく、運用してはじめて意味を持ちます。
まず、消防用設備等・避難施設・防火構造のうち何を対象にするかを消防計画の記載に沿って一覧にします。
次に、対象ごとの担当者と確認する頻度を決め、記録を残せるチェック表を用意します。
自主検査は防火管理者等が自ら行ってよい確認なので、有資格者でない担当者に割り当てても構いません。
実施した記録は、法定点検の結果とあわせて突き合わせ、内容を変更したときは消防計画も届出をやり直してください。
自主検査、うちも一度チェック表を作ってみます。
対象・担当者・頻度を決めて、記録を残すところまで一緒に整えましょう。
よくある質問
まとめ
自主検査が何を指すのか、法定点検との違いも含めて整理できました。
対象・担当者・頻度を決めて、チェック表を作るところから始めてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第8条第1項
- 消防法施行規則第3条第1項第一号
- 消防法第17条の3の3
- 消防法施行規則第31条の6
- 消防法第4条第1項
- 東京消防庁「消防計画に定める事項について」
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。




