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防災管理業務を外部委託したら消防計画に何を書くか|受託者の氏名住所と業務範囲の記載義務を解説

管理会社と防災管理者が消防計画を確認しながら打ち合わせる様子を表すイメージ

防災管理者を選任していても、実際の業務は建物の外の管理会社や専門業者に任せている、という建物は少なくありません。
この場合、防災管理に係る消防計画には受託者に関する情報を書く義務が条文で定められています。
どこまで書けばよいのか、委託契約書を結んでいるだけでは足りないのか、迷う場面です。
この記事では防災管理業務を委託した場合に消防計画へ記載すべき事項と、見落としやすい落とし穴までを条文で確認します

うちは防災管理業務の一部を管理会社に頼んでいるんですが、消防計画にはそのことを書かなくていいんでしょうか。

いいえ、条文で受託者の情報を消防計画に書く義務が定められています。
順番に確認しましょう。

委託しているなら、防災管理者を選ばなくてもいいんじゃないですか。

いいえ、委託しても選任義務は消えません。
まずは委託の位置づけから見ていきましょう。

この記事の結論
  • 防災管理上必要な業務の一部を外部の第三者に委託している場合、消防計画に受託者の情報を書く義務が生じます
  • 書くべき事項は受託者の氏名及び住所業務の範囲及び方法の二点です
  • 委託しても防災管理者を選任し届け出る義務そのものは消えません
  • 委託契約書を保管しているだけでは足りず、消防計画そのものへの明記が必要です
  • 委託先が変わったときは消防計画を書き直して再び届け出る必要があります

防災管理業務を委託した場合に消防計画へ記載する事項を示した図解

防災管理業務は外部の業者に委託できるのか

管理会社の担当者が防災管理業務の一部を引き受ける様子を表したイメージ
防災管理業務は建物の外の業者に任せてよいと条文が認めています。
まずはその仕組みの根っこを確認します。
消防法施行規則第51条の8第2項 第三条第二項から第九項までの規定は、防災管理に係る消防計画の作成又は変更に準用する。(略)読み替えるものとする。
防災管理業務は建物の外の業者に任せてよいと条文が認めています
消防法施行規則第51条の8第2項は、防火管理側の消防計画作成手続き(同規則第3条第2項から第9項まで)を読み替えて防災管理側にも準用しています。
つまり防災管理者自身がすべての業務を一人で行う必要はなく、点検業者や設備管理会社に一部の実務を任せることは条文上想定されています。
ただしこの規定が働くのは、消防計画そのものを作成する義務は変わらないという前提のうえでのことです。
どんな場合にこの記載義務が生じるのか、次に条件を見ていきます。

業務を委託しているのは、うちだけじゃないですよね。

はい、よくあるケースです。
次はどんな場合に記載義務が生じるかを見てみましょう。

どんな場合に消防計画への記載義務が生じるのか

建物の関係者ではない受託者が業務を任される場面を示したイメージ
記載義務が生じるかどうかは、誰が業務を行っているかで決まります。
条文が示す条件を確認します。
消防法施行規則第三条第2項(第51条の8第2項による読み替え後) 防災管理上必要な業務の一部が当該建築物その他の工作物の関係者及び関係者に雇用されている者(当該建築物その他の工作物で勤務している者に限る。)以外の者に委託されている建築物その他の工作物にあつては(略)。
記載義務が生じるのは建物の中の人だけで業務を回していない場合です
消防法施行規則第三条第2項は、業務の一部を建物の関係者及びその従業者以外の者に委託している場合に限って記載を義務付けています。
逆にいえば、管理権原者が雇用する従業員だけで防災管理業務を行っている建物には、この記載義務はそもそも生じません。
建物の規模や用途で区別されるわけではなく、誰が業務を行っているかだけで判定される点が実務上のポイントです。
条件に当たる場合、消防計画には具体的に何を書けばよいのか、次に確認します。

うちは自社の社員だけで業務をしています。
それでも書かなくてはいけませんか。

その場合は記載義務は生じません
委託している場合の書き方を見てみましょう。

消防計画には具体的に何を書けばよいのか

消防計画に受託者の氏名住所と業務の範囲を書き込む様子を表したイメージ
条件に当たる場合、書く事項は二つに絞られます。
どちらも欠かさず書く必要があります。
同項(続き) 当該建築物その他の工作物の防災管理者は、消防計画に、当該防災管理上必要な業務の受託者の氏名及び住所(法人にあつては、名称及び主たる事務所の所在地)並びに当該受託者の行う防災管理上必要な業務の範囲及び方法を定めなければならない。
書くべき事項は受託者の氏名住所と業務の範囲及び方法の二点です
消防法施行規則第三条第2項(第51条の8第2項による読み替え後)は、受託者の氏名及び住所(法人であれば名称及び主たる事務所の所在地)を消防計画に定めるよう求めています。
これに加えて、当該受託者が実際に行う防災管理上必要な業務の範囲及び方法も併せて記載しなければなりません。
委託契約書に同じ内容が書かれていたとしても、条文が求めているのは消防計画そのものへの明記であって、契約書の保管だけでは要件を満たしません。
この記載を怠ると、消防計画自体が条文の要件を満たしていない状態になります。

委託契約書を消防計画に添付しておけば、それで足りますか。

いいえ、消防計画そのものへの明記が必要です。
次はよくある誤解を確認しましょう。

委託すれば防災管理者を選ばなくてもよいのか

防災管理者の選任と委託契約書が並んで置かれている様子を示したイメージ
業務を委託しても、建物側の義務がすべて消えるわけではありません。
選任そのものに関わる条文を確認します。
消防法第八条第2項(法第36条第1項において読み替えて準用) 前項の権原を有する者は、同項の規定により防災管理者を定めたときは、遅滞なくその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。
委託しても防災管理者を選ぶ義務そのものは消えません
消防法第36条第1項において読み替えて準用する法第8条第2項は、権原を有する者に防災管理者を定め、届け出る義務を課しています。
業務の一部を外部の業者に委託することと、防災管理者という地位そのものを外部に置くことは別の話です。
受託者はあくまで業務の実施を担う立場であり、消防計画の作成や届出の責任は建物側が選任した防災管理者に残ります。
「委託しているから防災管理者は不要」という理解は誤りなので、選任と委託の記載は両方とも欠かさず確認してください。

管理会社に丸ごと任せているので、防災管理者は選ばなくてもいいと思っていました。

それは誤解です。選任と委託は別の手続きです。
最後に変更があったときの対応を見てみましょう。

委託先が変わったときはどう対応すればよいのか

委託先が変わり消防計画を書き直して届け出る様子を表したイメージ
委託先や委託の範囲が変わったときも、対応すべき手続きがあります。
最後に確認しておく手順です。
消防法施行規則第51条の12第1項第2号 防災管理維持台帳に編冊するものとして、第五十一条の八第一項(略)の届出に係る書類の写しを挙げる。
委託先が変わったら消防計画も書き直して届け出ます
消防法施行規則第51条の8第1項後段は、防災管理に係る消防計画を変更するときも同様に届け出るよう定めています。
委託先の業者が変わったり、委託する業務の範囲が変わったりしたときは、消防計画の受託者に関する記載を書き直す必要があります。
書き直した消防計画は所轄消防長又は消防署長に再び届け出て、その写しは同規則第51条の12第1項に基づき防災管理維持台帳に保存します。
契約更新のタイミングで消防計画の記載も見直す、という手順を実務に組み込んでおくと漏れを防げます。

契約を更新するたびに、消防計画も見直したほうがいいんですね。

そうです。契約更新と消防計画の見直しを合わせて確認してください。
これで確認の手順は揃いました。

よくある質問

Q防災管理業務を外部委託していない建物でも、この記載義務は生じますか?
Aいいえ。建物の関係者及びその従業者だけで防災管理業務を行っている場合はこの記載義務は生じません。消防法施行規則第3条第2項(第51条の8第2項による読み替え後)は、関係者及びその従業者以外の者に委託している場合に限って記載を義務付けています。
Q委託先の業者を防災管理者として届け出ればよいですか?
Aいいえ。委託は業務の一部を任せる仕組みで、防災管理者の選任義務そのものに代わるものではありません。消防法第36条第1項において読み替えて準用する法第8条第2項に基づき、建物側は依然として防災管理者を定めて届け出る必要があります。
Q委託先が変わったときはどうすればよいですか?
A消防計画の受託者に関する記載を書き直し、あらためて所轄消防長又は消防署長に届け出る必要があります。消防法施行規則第51条の8第1項後段は、計画を変更するときも同様に届け出るよう定めています。
Q委託契約書を保管していれば消防計画への記載は不要ですか?
A不要にはなりません。契約書は委託の事実を証する書面にすぎず、条文が求めるのは消防計画そのものに受託者の氏名及び住所と業務の範囲及び方法を明記することです。

まとめ

防災管理上必要な業務の一部を外部の第三者に委託している場合は消防計画への記載義務が生じます
記載義務が生じるのは関係者及びその従業者以外の者に委託している場合に限られます
書くべき事項は受託者の氏名及び住所(法人なら名称及び主たる事務所の所在地)です
併せて受託者が行う業務の範囲及び方法も消防計画に明記しなければなりません
委託しても防災管理者を選任し届け出る義務そのものは消えません
委託先や業務範囲が変わったときは消防計画を書き直して再び届け出る必要があります
委託契約書を保管しているだけでは足りず、消防計画そのものへの明記が条文上の要件です

委託した場合の記載事項と、選任義務は消えないという点まで整理できました。

受託者の記載と選任の届出の両方を確認していただければ安心です。
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参考・出典

  • 消防法第36条第1項
  • 消防法第8条第2項
  • 消防法施行規則第51条の8
  • 消防法施行規則第3条
  • 消防法施行規則第51条の12
  • e-Gov 法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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