既存の建物の屋内消火栓を、消火栓箱ごと取り替えずに使いやすいタイプへ改修できる方法があることをご存じでしょうか。
消防庁は平成11年、既設の消火栓箱や配管を活かしたまま易操作性1号消火栓に改修できる製品が登場したことを受け、その工事条件と留意事項を通知にまとめました。
改修さえすれば必ず性能が確保されるわけではなく、既設設備の仕様確認や工事後の試験を怠ると、放水性能が損なわれるおそれがあります。
この記事では、改修易操作性1号消火栓の中身と、工事を検討する際に確認すべき点をわかりやすく解説します。
うちの建物、古い消火栓のままなんですが、消火栓箱を丸ごと交換しなくても使いやすいタイプに変えられるって聞きました。
本当でしょうか
はい、既設の消火栓箱や配管を活かしたまま易操作性1号消火栓に改修する方法があります。
まずは、この改修がなぜ通知されたのかを見てみましょう。
改修すれば、それだけで使いやすくなるってことですよね。
特に注意することはあるんでしょうか
改修には確認すべき条件がいくつかあります。
通知の中身を順番に確認していきましょう。
- 既設の消火栓箱や配管を活かしたまま易操作性1号消火栓に改修できる製品が開発されたことを受けて、平成11年に通知が出されました。
- 改修の対象は、消防法施行令第11条第3項第1号に規定する1号消火栓です。
- 改修前には既設消火栓の位置・構造・寸法などを十分に勘案し、改修が可能であることをあらかじめ確認する必要があります。
- 改修工事には甲種第1類消防設備士による着工届と工事の実施が必要です。
- 設置後の試験で圧力損失を考慮した放水圧力の確保を確認し、改修した旨の表示を消火栓箱の扉に貼付することが求められています。
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目次
改修易操作性1号消火栓はなぜ通知されたのか

この改修方法がなぜ通知でまとめられたのかを確認しましょう。
易操作性1号消火栓はもともと新設時に設置するものですが、防火対象物の増改築やホースの交換といった機会に、既設の屋内消火栓箱や配管をそのまま新設同様の製品に置き換える方法が開発されました。
消防庁はこれを「改修易操作性1号消火栓」と呼び、既存の建物でも導入しやすくなったことを踏まえ、工事や表示に関する留意事項をこの通知にまとめました。
まずは、この改修がどんな消火栓を対象にしているのかを見ていきましょう。
うちの建物、古い1号消火栓のままなんですが、丸ごと交換しなくても改修できるなら助かります。
改修できるかどうかは建物ごとに条件があります。
次は対象を確認しましょう。
改修の対象になるのはどんな消火栓なのか

易操作性1号消火栓との違いを条文で確認しましょう。
1号消火栓は、ノズルの先端で放水圧力0.17メガパスカル以上・放水量130リットル毎分以上の性能を持つ、従来からある太いホースの消火栓です。
易操作性1号消火栓は同じ放水性能を保ちながらホースの構造を一人で操作できる基準に適合させたもので、消防法施行令第11条第3項第2号ロに区分されています。
改修は、この既設の1号消火栓の消火栓箱や配管をそのまま使い、内部のホースやノズルなどを易操作性タイプの部品に入れ替える工事を指します。
自分の建物の消火栓がどちらのタイプかは、点検報告書や消火栓箱の表示で確認できます。
うちの消火栓、点検業者から「25メートル基準の1号消火栓」と言われたことがあります。
これも改修の対象になりますか
その基準に当てはまるなら、今回の改修の対象になる可能性が高いです。
次は改修工事に求められる内容を見てみましょう。
改修工事にはなにが求められるのか

通知が求める内容を確認しましょう。
変更工事は甲種第1類消防設備士が着工届を提出したうえで実施することとされており、誰でも自由に部品を交換できるわけではありません。
設置後には所期の性能や操作性が確保されているかを確認する試験が必要で、特に改修によって生じる圧力損失を考慮して、規定の放水圧力が確保できるかを確かめます。
改修が終わったら、一人でも操作できるようになったことを示す表示を消火栓箱の扉の見やすい部分に貼付することも求められています。
次は、この改修で見落としやすい点を確認しましょう。
表示シールを貼るだけじゃなくて、試験までちゃんとやらないといけないんですね。
はい。
特に圧力損失の確認を省略すると、放水性能が足りなくなることがあります。次は見落としやすい点を見てみましょう。
改修で見落としやすいのはどこか

見落としやすい落とし穴を確認しましょう。
既設の1号消火栓は位置・構造・寸法や消火栓設備全体の仕様、システム構成がさまざまで、改修用の部品がすべての既設箱に収まるとは限りません。
通知は、改修が可能かどうかをあらかじめ確認することを明示しており、寸法や構造を勘案せずに部品だけを取り替えることは想定していません。
また、改修後の操作性等の評価は平成8年消防予第254号別添の評価基準に準じて行われ、その旨の表示が付されることとされているため、評価を経ていない改修は通知が求める水準を満たしません。
建物の消火栓が改修に適合するかどうかは、工事業者や所轄消防署への確認が欠かせません。
うちの消火栓箱、かなり古い形だから、改修部品が収まるかどうか心配になってきました。
事前確認を飛ばさないことが大切です。
最後に、改修を検討する前の手順を整理しましょう。
改修を検討する前にまず確認すべきことはなにか

順番に見ていきましょう。
改修が可能と判断されたら、甲種第1類消防設備士による着工届を経て工事を実施し、設置後の試験で圧力損失を考慮した放水圧力が確保されているかを確認します。
工事が完了したら、消火栓箱の扉の見やすい部分に改修した旨の表示が貼付されていることも確認してください。
既存の建物で丸ごと交換が難しい場合でも、この改修方法なら検討の余地があります。
迷ったときは、点検業者や所轄消防署に相談してください。
うちの建物も、まずは点検業者に消火栓箱の寸法を確認してもらうところから始めてみます。
それが確実な進め方です。
これでよくある質問を確認しましょう。
よくある質問
まとめ
消火栓箱を丸ごと交換しなくても改修できる方法があるなんて、知らなかったです。
今度の点検のときに、うちの消火栓が改修できるかも聞いてみます
はい。
改修の可否や工事の進め方でお困りのことがあれば、㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 改修易操作性1号消火栓について(平成11年8月25日 消防予第216号 消防庁予防課長)
- 消防法施行令第11条第3項第1号・第2号ロ
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





