高層のオフィスビルや大きな工場には、従業員だけで初期消火や避難誘導を行う自主的な組織の設置が義務付けられていることがあります。
「自衛消防組織」と呼ばれるこの組織は、すべての建物に必要なわけではなく、消防法施行令に置くべき建物の規模基準が定められています。
用途と階数と延べ面積の組み合わせで対象かどうかが決まり、複合用途の建物では判定の仕方も変わります。
自分の建物が対象になるかどうかは、条文の号に当てはめて確認するしかありません。
うちのビルにも自衛消防組織を置かないといけないのか、正直よくわかっていません。
それは建物の用途と規模で決まります。
すべての建物が対象になるわけではありません。
うちは複合用途のビルなので、どう判定すればいいのかも気になります。
複合用途は判定の仕組みが別です。
順番に見ていきましょう。
- 自衛消防組織は消防法第8条の2の5により大規模な防火対象物の管理権原者に設置が義務付けられる自主的な組織です
- 単独用途の建物は階数が高いほど必要な延べ面積は小さくなります(11階以上は1万平方メートル、5〜10階は2万平方メートル、4階以下は5万平方メートル)
- 複合用途(16)項の建物は、対象用途に供される部分の床面積だけで規模を判定します
- 地下街(16の2)項は延べ面積千平方メートル以上であれば階数を問わず対象になります
- 設置義務を負うのは対象用途部分の管理権原者に限られ、複数いる場合は共同して設置します
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目次
自衛消防組織はどんな建物に置く必要があるのか

すべての建物に必要なわけではなく、対象になる建物は法律で絞られています。
条文はこの「大規模なもの」の具体的な内容を政令(消防法施行令)に委ねています。
つまり、自分の建物が対象かどうかは、消防法施行令第4条の2の4の号に実際に当てはめてみるまで分かりません。
ここから、単独用途の建物と複合用途の建物、それぞれの判定基準を見ていきます。
自衛消防組織って、結局どれくらい大きい建物から必要になるんでしょうか。
用途と階数と延べ面積の三つで決まります。
次の基準で確認しましょう。
どの用途とどの規模から設置の対象になるのか

用途の絞り込みと、階数に応じた延べ面積の基準の二段構えです。
対象になる用途は劇場等・百貨店等・病院・学校・工場など別表第一の限られた項に絞られており、共同住宅((5)項ロ)や倉庫((14)項)は単独用途ではこの列挙に含まれていません。
規模の基準は三段階です。地階を除く階数が11階以上なら延べ面積1万平方メートル以上、5〜10階なら2万平方メートル以上、4階以下なら5万平方メートル以上で対象になります。
高い建物ほど、少ない面積で対象になるという組み立てだと理解してください。
まずは自分の建物の用途が列挙された項に当たるかを確認し、当たれば階数と延べ面積を照合してください。
うちは10階建てで延べ面積1万5千平方メートルなので、対象にならないんですね。
その規模ならロの2万平方メートル以上に届きません。
単独用途であれば対象外です。
複合用途の建物ではどう規模を判定するのか

建物全体の延べ面積ではなく、対象用途の部分だけを見ます。
建物全体が10階建てで延べ面積2万5千平方メートルあっても、そのうち対象用途の部分が数百平方メートルしかないなら基準に届かないことがあります。
考え方は単独用途と同じ三段階(11階以上・5〜10階・4階以下)ですが、判定に使う面積が「建物全体」ではなく「対象用途部分」に変わる点が異なります。
さらに地下街((16の2)項)は別枠で、延べ面積が千平方メートル以上であれば階数を問わず対象になります。
複合用途の建物では、まず対象用途がどの階にどれだけあるかを図面で切り出してから面積を合計してください。
建物全体の延べ面積で判定するものだと思っていました。
複合用途は対象部分だけの面積で見ます。
図面で切り分けて確認しましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

どちらも条文の読み方に関わる落とし穴です。
複合用途の建物で対象用途がオフィス部分だけなら、共同住宅部分の管理権原者には設置義務が及びません。
もう一つの落とし穴は、単独用途の用途リストです。倉庫((14)項)や共同住宅((5)項ロ)は、規模がどれだけ大きくても単独用途である限り第一号の列挙に入っていないため対象になりません。
一方で、対象用途部分の権原者が複数いる場合は、条文どおり共同して自衛消防組織を置く必要があります。
「大きい建物だから対象」と規模だけで判断せず、用途リストと権原者の範囲の両方を条文で確認してください。
うちは大きな倉庫だけの建物なので、規模的には心配していました。
倉庫だけの単独用途なら対象外です。
ただし他用途が混在すれば話が変わります。
明日から何を確認すればよいのか

対象と分かったら、設置して終わりではなく届出まで必要です。
まず、自分の建物の用途が消防法施行令第4条の2の4第一号の列挙に当たるかを確認します。
単独用途なら階数と延べ面積を三段階の基準に照合し、複合用途(16)項なら対象用途部分だけの床面積を合計して判定し、地下街(16の2)項なら延べ面積千平方メートル以上かどうかだけを見ます。
対象になったら、対象用途部分の管理権原者(複数なら共同で)が自衛消防組織を置き、消防法第8条の2の5第2項に基づいて所轄消防長又は消防署長へ届け出てください。
規模の判定だけで終わらせず、権原者の範囲の確認と届出までを一連の作業として進めてください。
規模の基準を満たすかどうかだけ見ればいいと思っていました。
権原者の範囲の確認と届出まで一連の作業です。
まとめて進めてください。
よくある質問
まとめ
自衛消防組織が必要な建物かどうか、確認の仕方が分かりました。
用途と規模を確認し、対象なら権原者の範囲を整理して届出まで進めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第8条の2の5
- 消防法施行令第4条の2の4
- 消防法施行令第4条の2の5
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





