防災管理点検を受けて証票を掲げたものの、その後の点検を怠って古い証票をそのまま貼り続けているビルを見かけることがあります。
証票は一度もらえば済むものだと考えてしまいがちですが、消防法は掲げてよい場合を厳密に区切っています。
点検に合格していないのに証票を掲げたり、紛らわしい表示を掲げたりする行為には、はっきりと罰則が定められています。
この記事では紛らわしい表示の禁止と、会社まで罰せられる仕組みを条文で確認します。
うちのビルの入口に、何年も前の点検済みの証票が貼ったままなんですが、これって大丈夫でしょうか。
その証票、紛らわしい表示として罰則の対象になることがあります。
順番に確認しましょう。
証票なんて掲げているだけなので、そこまで厳しい話になるとは思っていませんでした。
いいえ、条文に明記された禁止行為です。
まずは根拠となる条文から見ていきましょう。
- 防災管理点検の証票を、点検に合格していないのに掲げたり、紛らわしい表示を掲げたりすることは消防法で禁止されています
- 違反すると消防法第44条第3号により30万円以下の罰金又は拘留の対象になります
- 対象は単体の点検表示だけでなく、複合表示や特例認定の証票まで幅広く含まれます
- 消防長又は消防署長は表示の除去や消印を命じることができ、従わなければさらに別の罰則が科されます
- 紛らわしい表示の禁止違反は両罰規定の対象で、行為者だけでなく法人にも罰金刑が科されます
▼

目次
証票に紛らわしい表示をしたらどんな罰があるのか

その前提が崩れたときの扱いを条文で確認します。
消防法第36条第1項が第8条の2の2を読み替えて防災管理者にも準用しており、防災管理点検の証票にもこの禁止が及びます。
違反すると消防法第44条第3号により30万円以下の罰金又は拘留の対象になります。
「紛らわしい表示」には偽物を新しく掲げる場合だけでなく、条件を満たさなくなった証票を外さずに掲げ続ける場合も含まれると読めます。
では、この禁止はどこまで幅広い証票に及ぶのか、次に確認します。
点検に受かっていないと、そもそも証票を掲げてはいけないんですね。
はい、受かっていない証票を掲げる行為自体が禁止されています。
次は、どこまで広く対象になるか見てみましょう。
どの証票までこの禁止の対象になるのか

禁止の対象がどこまで及ぶのか、条文の括弧書きから確認します。
括弧書きをたどると、防災管理点検の単体表示(36条1項準用)・特例認定の単体表示(36条1項が準用する8条の2の3第8項経由)・防火対象物点検と防災管理点検の複合表示(36条4項・第6項)・複合の特例認定表示(36条5項・第6項)の4種類がすべて含まれます。
つまりこれまでのどの証票を掲げているビルであっても、紛らわしい表示の禁止は共通して適用される仕組みです。
建物にどの証票が掲げられているかにかかわらず、次に確認する消防署側の対応は同じ流れになります。
単体の点検だけでなく、複合の表示や特例認定の証票も入るんですか。
はい、証票のほぼすべてが対象です。
次は消防署側の対応を見ていきましょう。
紛らわしい表示を消防長等はどう扱うのか

除去命令の根拠を確認します。
この除去命令に従わない場合は、命令違反そのものが消防法第44条第17号によりさらに罰則の対象になります。
先に見た届出懈怠が命令を経ずに直接罰則の対象になるのとは異なり、紛らわしい表示はまず命令、それでも直さなければ罰則という二段構えです。
どちらの罰則も金額は同じ30万円以下の罰金又は拘留ですが、命令段階で気づいて直せば罰則までは至りません。
続いて、こうした違反があったとき会社そのものも罰せられるのかを確認します。
命令に従わなかったら、さらに罰則が重くなるということですか。
いいえ、金額は変わりませんが、別の号でもう一段の罰則が科されます。
次は会社の扱いを確認しましょう。
会社も罰せられるのはなぜか

紛らわしい表示はどう扱われるのか、両罰規定を見てみます。
前条=第44条のうち第3号(紛らわしい表示)と第11号(点検報告の懲怠・虚偽)は、この一覧に名前が挙がっています。
以前確認した届出懈怠(第8号)はこの一覧に含まれず個人だけが罰せられましたが、証票や点検報告に関する違反は法人にも罰金刑が科される点で扱いが異なります。
同じ第44条の中でも、号によって法人が処罰の対象になるかどうかが分かれている点を見落とさないようにしてください。
最後に、こうした事態を避けるための実務上の確認方法を見ていきます。
前に読んだ記事では、届出を怠っても会社は罰せられないと書いてありました。
はい、紛らわしい表示は届出懈怠とは違う扱いです。
最後に実務での確認方法を見てみましょう。
実務ではどう確認すればよいのか

特例認定の失効の条文から、確認すべきタイミングを見ていきます。
特例認定は3年経過または権原者の変更で効力を失うため、認定を受けた日と現在の権原者を定期的に確認する必要があります。
単体の点検表示についても、次の点検で不適合になれば同じように前提が崩れます。
効力を失った証票をそのまま外さずに掲げ続けると、本記事で見た紛らわしい表示の禁止に触れるおそれがあるため、気づいた時点で速やかに外すのが安全です。
複数の証票を掲げているビルほど、それぞれの根拠と期限を台帳で一覧管理しておくと確認漏れを防げます。
証票の有効期限まで、ちゃんと管理していませんでした。
いまのうちに証票の有効性を確認しておきましょう。
これで確認の手順は揃いました。
よくある質問
まとめ
証票を掲げ続けることにも、こんな責任があるとわかりました。
証票は掲げっぱなしにしないのが安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第8条の2の2
- 消防法第8条の2の3
- 消防法第36条第1項・第4項・第5項・第6項
- 消防法第44条第3号・第17号
- 消防法第45条第3号
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





