自衛消防組織は届出さえ済ませれば、それで手続きが終わる制度だと思われがちです。
しかし設置した後も、要員や統括管理者の変更のたびに同じ届出をやり直す必要があります。
しかも組織が置かれていないと消防機関に判断されると、命令や標識の掲示にまで発展します。
自衛消防組織の届出は、設置した時点で終わりではなく、変更のたびに繰り返す手続きだということです。
うちのビル、自衛消防組織を置いたんですけど、届出ってそのままでいいんでしょうか。
要員や組織が変わったときは、同じ届出をもう一度出す必要があります。
もし届出をせずに放置していたら、どうなるんでしょうか。
5つのポイントで順番に見ていきましょう。
- 大規模な防火対象物の管理権原者は自衛消防組織を置く義務があります
- 設置しただけでは終わらず遅滞なく消防機関へ届出をする義務があります
- 届出書には管理権原者や統括管理者など六つの事項を記載します
- 要員や統括管理者が変わったときも同じ届出をやり直す必要があります
- 未設置と判断されると設置命令と標識の掲示に発展します
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目次
自衛消防組織は届出をすれば手続きが終わるのか

では、設置さえすれば手続きはそれで完結するのでしょうか。
多数の者が出入りし大規模なものとして政令で定める防火対象物の管理権原者には、自衛消防組織を置く義務があります。
そして設置した後は、遅滞なく所轄の消防長又は消防署長へ届け出なければなりません。
届出は設置を報告する形式的な手続きではなく、消防機関に組織の実態を把握させるための仕組みです。
次の項で、届出書に具体的に何を書くのかを見ていきます。
組織を置いたら、それでもう完了だと思っていました。
いいえ、設置した後に届出をする義務があります。
届出書には具体的に何を記載するのか

消防法施行規則が、記載事項を六つ列挙しています。
管理権原者や対象物の概要に加えて、統括管理者の氏名及び住所や、自衛消防組織に備え付けた資機材まで書く決まりです。
三号の権原の範囲は、一棟の中に複数の管理権原者がいる建物で特に重要になります。
内部組織の編成や要員配置も記載事項に含まれるため、組織図をそのまま台帳として使えるようにしておくと書きやすくなります。
六つのうち一つでも欠けると、届出書として整っていないことになります。
六つも書くことがあるんですね、正直ちょっと多いです。
組織図と設備台帳があれば、実はそのまま転記できます。
設置した後に変わったときも届出は必要なのか

条文は、記載事項が変わったときの扱いもはっきり定めています。
要員の異動や統括管理者の交代など、届出書に書いた六つの事項のどれかが変われば、そのつど届け出る決まりです。
様式は設置時と同じ別記様式第一号の二の二の三の三で、変更専用の別の書式は用意されていません。
統括管理者が交代した場合は、新しい統括管理者の資格を証する書面をあわせて添える必要もあります。
組織の改編を検討する段階から、この届出が必要になることを前提に予定を立てておくと手戻りがありません。
統括管理者が変わるくらいで、また届出が要るんですか。
はい、六つの記載事項のどれかが変われば、そのつど必要です。
自衛消防組織が置かれていないと判断されたらどうなるのか

組織そのものが置かれていないと判断された場合の扱いを見てみましょう。
消防長又は消防署長は、自衛消防組織が置かれていないと認めれば、設置を命じることができます。
この命令には消防法第五条第三項・第四項が準用され、命令をした旨を標識の設置によって公示しなければならず、建物の所有者・管理者・占有者はその設置を拒み、または妨げてはならないとされています。
さらにこの命令に応じなければ、消防法第五条の二第一項第一号により建物の使用の禁止・停止又は制限を命じられるおそれもあります。
未設置は届出だけの問題ではなく、建物の使用そのものに関わる話だと理解しておく必要があります。
標識を勝手に建物へ付けられても、こちらで外していいんですよね。
いいえ、設置を拒んだり妨げたりすることはできません。
実務ではいつ届出を出せばよいのか

ポイントは「遅滞なく」という言葉をどう受け止めるかです。
要員の異動や統括管理者の交代が決まった時点で、速やかに届出書の準備を始めるのが実務の基本です。
六つの記載事項のうち何が変わったのかを洗い出し、統括管理者が交代した場合は資格を証する書面もあわせて揃えます。
届出をしていない状態が続くと、設置命令や標識の掲示にまで発展しかねないことは前の項で見たとおりです。
自分の建物が届出の対象に当たるか迷ったときは、書類を作り込む前に所轄の消防署へ確認しておくと手戻りを防げます。
変更があったら、とにかく早めに動けばいいんですね。
はい、変更が決まった時点で準備を始めてください。
よくある質問
まとめ
自衛消防組織の届出の仕組みがよく分かりました。
まずは記載事項の六つを確認して、変更点がないか洗い出してみます。
届出書の作成や自衛消防組織の運用でお困りの際は、㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第8条の2の5
- 消防法第5条・第5条の2
- 消防法施行規則第4条の2の15
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





