大きな地震のあとに電車が止まり、従業員が帰れなくなったらどうするか。
水や毛布を置いておくのは会社の善意なのか、それとも法令で決まった義務なのか。
実は防災管理の消防計画には、地震に備えた設備と資機材について定める欄がはじめから用意されています。
この記事では消防法施行規則が求める記載事項と、自治体の条例が上乗せしている備蓄の考え方を整理します。
地震のあとに従業員が会社に泊まることになったら、水や毛布は誰が用意するんでしょうか。
うちの消防計画には何も書いていない気がします。
防災管理の消防計画には、地震対策として設備及び資機材の点検並びに整備を定める項目があります。
備えそのものと、その点検の手順まで書く場所が決まっているんです。
決まった場所があったんですね。
てっきり任意の取り組みだと思っていました。
消防法施行規則が記載事項として並べています。
そのうえで東京都のように条例で備蓄まで求めている地域もあります。
- 地震による被害の軽減のために必要な設備及び資機材の点検並びに整備は、防災管理の消防計画に定める記載事項です
- 根拠は消防法施行規則第51条の8第1項第2号ハで、被害の想定や自主検査と同じ号に並んでいます
- 対象になるのは防災管理対象物で、階数と延べ面積の組み合わせで決まります
- 従業員を施設内にとどめる備えは消防法令ではなく自治体の条例が上乗せしています
- 実施した状況は防災管理維持台帳に記録して保存し、点検で確認されます
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目次
地震対策として点検整備する設備と資機材とは何を指すのか

その中に設備と資機材そのものを扱う号があります。
規則が求めているのは物をそろえることではなく、点検並びに整備を消防計画に定めることです。
対象は消火器や自動火災報知設備のような消防用設備等ではなく、地震による被害の軽減のために必要な設備と資機材です。
規則は品目を限定していないので、救出や救護に使う道具、非常用の照明や電源、飲料水や毛布といった物資まで幅広く入りうる書き方になっています。
まずは自社の消防計画を開いて、地震対策の欄に点検の担当者と時期まで書かれているかを確かめてください。
消火器の点検とはまったく別の話なんですね。
同じ点検という言葉なので混ざりそうです。
消防用設備等の点検は別の条文が受け持っています。
消防計画の欄を分けて書くと、あとで点検を受けるときに説明しやすくなりますよ。
この記載事項はどの建物の消防計画に必要なのか

防災管理者を置かなければならない建物に限られます。
防災管理の対象は防災管理対象物で、その範囲は自衛消防組織の設置を要する防火対象物と同じです。
階数が高いほど小さな面積で対象になり、低い建物ほど大きな面積が必要になるという組み合わせで決まります。
複合用途の建物は対象用途に供される部分の床面積で判定し、地下街は階数の基準がなく延べ面積1,000平方メートル以上で対象になります。
自分の建物がこの規模に届かないなら、地震対策を消防計画に書く法令上の義務はありませんが、防火管理の消防計画に自主的に盛り込むことは妨げられていません。
うちは10階建てなので、延べ面積を数えてみないと分かりませんね。
テナントごとに床面積を足し忘れそうです。
延べ面積は建物全体で数えるので、確認申請の図面を見るのが早いです。
判定に迷ったら所轄消防署に建物の概要を持ち込んで相談してください。
従業員を施設内にとどめる備えはどこまで求められるのか

そこを具体化しているのが自治体の条例です。
東京都は条例で一斉帰宅の抑制を求め、その待機を維持するための備蓄を努力義務として定めています。
条例の文言は努めなければならないという書き方なので、量を満たさなければただちに違反になるという性質のものではありません。
一方で消防法施行規則が求める設備及び資機材の点検並びに整備は記載事項そのものなので、消防計画に何も書かないという選択はできません。
条例のある地域では、条例が示す考え方をそのまま消防計画の地震対策の欄に落とし込むと二重に書かずに済みます。
つまり消防法は書けと言い、条例が何をどれだけかを示しているわけですね。
役割が分かれていると納得できます。
そのとおりです。
条例は都道府県や市町村ごとに違うので、建物のある自治体のものを確認してください。
備えたつもりで抜けやすいのはどこか

実際に確認されるのは、そのあとの記録です。
規則は消防計画に基づいて実施した状況を書類にして、防災管理維持台帳に編冊するよう求めています。
点検を担当するのは総務や施設管理の部署でも、書類が台帳に届いていなければ実施していないのと同じ扱いになりかねません。
もうひとつ抜けやすいのが、飲料水や食糧のように期限がある物資で、入れ替えの時期を消防計画に書いていないと更新が止まります。
点検の記録用紙に品目と数量と期限の欄をあらかじめ作っておくと、台帳に綴じるだけで済むようになります。
棚に置いてあるだけでは確認のしようがないですね。
期限が切れていたことに気づいた記憶があります。
期限の管理は記録の型で決まります。
点検用紙の様式を先に作ってしまうのが近道ですよ。
明日からなにを確認すればよいのか

現物を数えるのはそのあとで足ります。
地震対策の欄に設備及び資機材の点検並びに整備の項目があるかを見て、無ければ変更の届出まで含めて計画を直します。
次に、点検の担当と頻度と記録の様式を決め、実施した書類が防災管理維持台帳に綴じられる流れを作ります。
そのうえで自治体の条例を確認し、一斉帰宅の抑制や備蓄の考え方が求められている地域なら、その内容を同じ欄に反映させます。
判断に迷う点は、消防計画の変更届を出す前に所轄消防署へ相談しておくと差し戻しを防げます。
まず計画を読み直して、足りない欄を作ればいいわけですね。
今週中にやってみます。
変更したときも届出が要る点だけ忘れないでください。
届出の写しも台帳に編冊する書類のひとつです。
よくある質問
まとめ
備えを買うことより、計画に書いて記録を残すことが本体だったんですね。
順番が分かってすっきりしました。
そこが分かれば消防計画の見直しは進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第36条第1項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第45条・第46条・第48条・第4条の2の4
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第51条の8第1項第2号・第51条の12第1項第6号・第51条の14
- 東京都震災対策条例(平成12年東京都条例第202号)第10条
- 東京都震災対策条例に基づく事業所防災計画に関する告示(平成13年4月6日 消防庁告示第2号)
- 東京都帰宅困難者対策条例(平成24年東京都条例第17号)第7条
- 東京消防庁「消防計画に定める事項について」
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





