大きなビルや地下街では、防災管理者を選ぶだけでは義務が終わりません。
消防法は、防災管理対象物の管理権原者に対して定期的な点検と報告まで義務づけています。
似た制度に防火対象物点検報告制度がありますが、根拠となる条文も対象になる建物も別に定められています。
どちらの点検が必要か、誰が点検し、いつ何を報告するのかを順番に見ていきます。
うちのビルは防火対象物点検の書類を毎年出していますが、これとは別に防災管理の点検もあるんですか。
はい、防災管理対象物にあたる建物では、防火対象物点検とは別に防災管理点検も義務になります。
対象になる建物かどうかから確認しましょう。
うちは高層階もあるので、対象になるかもしれません。
その場合は点検の頻度と資格者の条件も防火対象物点検とは別に決まっています。
順番に見ていきましょう。
- 防災管理定期点検報告制度は消防法第36条第1項が第8条の2の2第1項を読み替えて準用したものです
- 対象になるのは防災管理対象物のすべてで、防火対象物点検とは別の制度です
- 管理権原者は1年に1回、防災管理点検資格者に点検させ消防長又は消防署長に報告する義務を負います
- 点検結果は防災管理維持台帳に記録し保存しなければなりません
- 防火対象物点検と防災管理点検の両方が必要な建物は、両方の点検基準に適合しない限り消防法第36条第4項の表示はできません
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目次
防災管理定期点検報告制度とはどんな仕組みか

その状態が続いているかどうかを定期的に確認する仕組みが別に用意されています。
平成19年6月の消防法改正で、防災管理対象物にも点検と報告の義務が新たに設けられました。
防火対象物点検報告制度(第8条の2の2)と条文の作りは同じですが、対象になる建物も点検資格者の資格も別に定められています。
どちらの制度も、まとめ役を選べば終わりではなく、その後の運用を点検で確かめる仕組みだと理解してください。
まずは自分の建物がこの制度の対象になるかどうかを確認しましょう。
つまり防災管理者を選ぶだけでは終わらないということですね。
はい。選任のあとの運用まで、この制度で確認されます。
次は誰が点検するのかを見ていきましょう。
誰が点検しいつまでに報告しなければならないのか

どちらも防火対象物点検の仕組みを読み替えて使っています。
点検資格者になれるのは、3年以上の実務経験がある防災管理者や、市町村の消防職員・消防団員など、規則が列挙する条件を満たし講習を修了した者に限られます。
すでに防火対象物点検資格者として3年以上の実務経験がある人も対象に入っていますが、資格そのものは防災管理点検専用の講習を修了して初めて得られます。
報告書の書式は消防庁長官が定めており、防火対象物点検の報告書とは別の様式になります。
まず自分の建物で誰がこの資格を持っているかを確認することが最初の一歩です。
点検はうちの防災管理者にお願いすればいいんですか。
防災管理者というだけでは足りません。3年以上の実務経験など条件を満たし、講習を修了した人に限られます。
まずは資格を持つ人が社内にいるか確認しましょう。
点検基準では実際に何を確認するのか

防災管理維持台帳に何を綴じておくかを見れば、点検で確認される中身が分かります。
確認されるのは、避難施設の維持管理や収容人員の管理、防災管理上の教育、避難訓練の実施状況といった運用の実態です。
地震による被害を減らすための自主検査や資機材の点検・整備、家具等の転倒防止措置の実施状況まで含まれるのは、防災管理特有の確認項目です。
これらは防火対象物点検の維持台帳にはない項目なので、防火管理の点検に慣れているだけでは見落としやすいところです。
点検資格者に依頼する前に、これらの記録が消防計画どおりに残っているかを自分でも確認しておくと点検がスムーズになります。
点検では書類だけ見られるんでしょうか。
書類だけでは終わりません。消防計画どおりの訓練や地震対策が実際に行われているかまで確認されます。
日頃の記録が点検のしやすさを左右します。
防火対象物点検と両方必要な建物はどう扱われるのか

条文はこの場合の表示について、はっきりと条件を分けています。
防火対象物点検と防災管理点検の両方が義務になる建物では、消防法第36条第4項の表示を付けるために四つの要件をすべて満たす必要があります。
四つの要件は、防火対象物点検・防災管理点検それぞれの点検の実施と、それぞれの点検基準への適合を対にして求めています。
つまり、片方の点検だけ済ませて基準に適合していても、もう片方が済んでいなければ表示は掲げられません。
自分の建物がどちらの制度の対象なのか、まず所轄の消防署に確認してから点検を依頼する順番を決めましょう。
うちは防火対象物点検も受けているので、防災管理点検は不要ですよね。
いいえ、両方が別々に義務になっている建物もあります。
両方に適合してはじめて組み合わせの表示ができます。
明日からなにをすればよいのか

条件を満たす建物には、点検の負担を減らす仕組みも用意されています。
特例認定を受けるには、消防長又は消防署長の検査で、通常の点検基準と同じ内容に適合していると認められる必要があります。
認定を受けた建物は、その効力がある3年間、点検と報告の義務そのものが免除されます。
点検結果や届出書類の写しは防災管理維持台帳にまとめて保存する義務があるため、点検を依頼する前に台帳の状態も確認しておきましょう。
まずは所轄の消防署に、自分の建物が防災管理対象物にあたるかどうかを問い合わせることから始めてください。
点検を毎年受けるのは正直大変です。
条件を満たせば特例認定という道もあります。
まずは所轄の消防署に相談してみましょう。
よくある質問
まとめ
防災管理の点検と報告の仕組みがよく分かりました。
まずは自分の建物が対象になるか確認します。
点検資格者選びや点検基準の確認でお困りの際は、㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第36条
- 消防法第8条の2の2
- 消防法第8条の2の3
- 消防法施行規則第4条の2の4
- 消防法施行規則第51条の12
- 消防法施行規則第51条の14
- 消防法施行規則第51条の16
- 消防法施行規則第51条の18
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





