市民会館や公民館や貸ホールは、映画館やコンサートホールと同じ扱いになるのか迷いやすい建物です。
消防法施行令別表第一は、劇場や映画館を(1)項イに、公会堂や集会場を(1)項ロに掲げています。
同じ(1)項でも設備によって基準がそろう部分と分かれる部分があり、そこを取り違えると必要な設備が抜けます。
イとロで何が同じで何が違うのかを条文から確認します。
うちは町内会の集会場なのですが、劇場と同じ消防用設備等が必要になるのでしょうか。
集会場は劇場と同じ(1)項に掲げられています。
ただし消火器具だけは劇場と基準が分かれますよ。
舞台のあるホールだと何か変わるところはありますか。
大きく変わります。
スプリンクラー設備は延べ面積ではなく舞台部の床面積で決まります。
- 劇場や映画館は(1)項イに、公会堂や集会場は(1)項ロに掲げられています
- どちらも特定防火対象物なので消防用設備等の基準は遡って適用されます
- 防火管理者は収容人員が30人以上になった時点で選任義務が生じます
- 消火器具はイなら面積を問わず必要で、ロは延べ面積150平方メートル以上から必要です
- スプリンクラー設備は延べ面積ではなく舞台部の床面積で判定されます
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目次
市民会館や貸ホールは消防法上どんな防火対象物になるのか

市民会館や貸ホールがどの区分に入るかは、消防法施行令の別表第一を見れば分かります。
イ 劇場、映画館、演芸場又は観覧場
ロ 公会堂又は集会場
市民会館や公民館や貸ホールは、名称ではなく実際の使われ方で判定されるので、まずは所轄消防署が交付した書類でどの項に区分されているかを確かめてください。
そして(1)項は、消防法第17条の2の5第2項第4号と消防法施行令第34条の4第2項によって特定防火対象物に含まれています。
特定防火対象物になると、法令が改正されたときに従前の基準のままでよいという扱いが認められません。
つまり既存の建物でも新しい基準にそろえる必要があるということです。
古い建物なので昔の基準のままでよいと思っていました。
特定防火対象物はその扱いから外れています。
まず自分の建物がどの項なのかを書類で確かめましょう。
防火管理者は何人から選任しなければならないのか

(1)項に当たる建物の基準は消防法施行令第1条の2に書かれています。
問題はその30人をどう数えるかで、(1)項には専用の算定方法が用意されています。
消防法施行規則第1条の3は、(1)項について従業者の数と客席部分の人数を合算すると定めています。
客席部分は、固定式のいす席ならその席の数、長いす式のいす席なら正面幅を0.4メートルで除した数、立見席なら床面積を0.2平方メートルで除した数、その他の部分なら床面積を0.5平方メートルで除した数です。
長いす式を席数ではなく正面幅で数える点は見落としやすいので、客席図と巻尺を持って一度数え直してください。
長いすは実際に座れる人数で数えるものだと思っていました。
規則が幅で割ると決めているので数え方は選べません。
椅子を並べ替えたら人数も変わるので都度見直しましょう。
消火器具と屋内消火栓設備はどの規模から必要になるのか

消火器具の設置基準は消防法施行令第10条に置かれています。
同第2号イ 別表第一(1)項ロ、(4)項、(5)項、(6)項イ(4)、ハ及びニ、(9)項並びに(12)項から(14)項までに掲げる防火対象物(延べ面積が150平方メートル以上のもの)
劇場や映画館は第1号に掲げられているので、どんなに小さくても消火器具を置かなければなりません。
一方で公会堂や集会場は第2号なので、延べ面積150平方メートルに届いて初めて義務になります。
これに対して屋内消火栓設備は消防法施行令第11条第1項第1号が(1)項をひとまとめに掲げ、延べ面積500平方メートル以上としています。
(2)項から(10)項までは700平方メートル以上なので、(1)項はイもロも他の用途より早い段階で義務がかかると覚えてください。
つまり消火器具だけイとロで線が違うということですね。
そのとおりです。
屋内消火栓設備や自動火災報知設備は(1)項としてまとめて扱われます。
舞台があるとスプリンクラー設備の基準はどう変わるのか

ところが(1)項には、延べ面積とはまったく別の物差しが用意されています。
建物がどれだけ大きくても、舞台部がこの面積に届かなければこの号によるスプリンクラー設備の義務は生じません。
見落としやすいのは、条文が舞台部に大道具室及び小道具室を含めている点です。
舞台の袖に接続した倉庫を舞台と別に数えていると、実際には基準を超えているのに気づけません。
あわせて消防法施行令第4条の3第3項が、どん帳その他舞台において使用する幕と舞台において使用する大道具用の合板を防炎物品としているので、幕や大道具の防炎表示も同時に確かめてください。
舞台の横の倉庫まで舞台部に入るとは知りませんでした。
条文が定義として書き込んでいる部分です。
図面で舞台と接続している室に色を付けて合算してみてください。
明日からなにを確認すればよいのか

延べ面積で効くものと収容人員で効くものを分けて押さえておくと確認が早くなります。
同令第24条第3項第4号 別表第一(1)項から(4)項まで(略)に掲げる防火対象物で収容人員が300人以上のもの(非常ベル及び放送設備等)
同令第26条第1項第3号 別表第一(1)項に掲げる防火対象物(略)(客席誘導灯)
同令第4条の2の2第1号 収容人員が300人以上のもの(防火対象物点検)
延べ面積が300平方メートルに届けば自動火災報知設備が、収容人員が300人に届けば放送設備と防火対象物点検が加わります。
客席誘導灯は(1)項だけに課された設備で、他の用途の建物には出てきません。
明日やることは三つで、まず届出書類で自分の建物の項を確かめ、次に客席図から収容人員を数え直し、最後に舞台部の面積を図面で合算することです。
数字が境目に近いときは、図面を持って所轄消防署の予防担当に相談するのが確実です。
面積と人数を分けて確かめればよいのですね。
その二つで大半の判定がつきます。
残りは舞台部の面積だけです。
よくある質問
まとめ
イとロで何が違うのかがはっきりしました。
まずは客席図から人数を数え直してみます。
収容人員の数え直しが出発点になります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第8条第1項/第8条の2の2第1項/第17条の2の5第2項第4号
- 消防法施行令第1条の2第3項/第4条の2の2/第4条の3第3項
- 消防法施行令第10条第1項/第11条第1項/第12条第1項/第21条第1項
- 消防法施行令第24条第3項/第26条第1項/第34条の4第2項
- 消防法施行令別表第一
- 消防法施行規則第1条の3
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





