「収容人員30人以上で防火管理者が必要」と言われても、そもそも何人になるのかが分かりません…
収容人員の数え方は用途ごとに法令で決まっています。よく間違えるポイントも含めて整理しましょう。
- 収容人員の算定方法は消防法施行規則第1条の3で用途ごとに定められている
- 従業者(従業員)も必ず人数に含める——ここを忘れて過小に数える例が非常に多い
- 飲食店・事務所などは「床面積÷3㎡」で客用スペース分を加算する
- 雑居ビルはテナントごとに計算して合算する。建物全体を1つの式で計算するのではない
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目次
なぜ収容人員を数えるのか
防火管理者の選任が必要かどうかは、建物の「用途」と「収容人員」で決まります(消防法第8条第1項、消防法施行令第1条の2第3項第1号)。
| 用途の区分 | 選任が必要になる収容人員 |
|---|---|
| (6)項ロ等(自力避難が困難な方の入所施設) | 10人以上 |
| 特定用途(飲食店・物販店・ホテル・病院など) | 30人以上 |
| 非特定用途(事務所・共同住宅・工場・倉庫・学校など) | 50人以上 |
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つまり収容人員の数え方を間違えると、選任義務の有無そのものを間違えることになります。ここを正確に押さえることが出発点です。
用途別の数え方【一覧】
算定方法は消防法施行規則第1条の3に用途ごとに規定されています。実務でよく出てくるものを整理します。
| 用途 | 収容人員の数え方 |
|---|---|
| 劇場・映画館・演芸場・観覧場 公会堂・集会場((1)項) |
従業者の数 + 客席部分(固定式いす席=いす席数/立見席=床面積÷0.2㎡/その他=床面積÷0.5㎡) 長いす式は「正面幅÷0.4m」・端数切捨て |
| 遊技場((2)項の一部) | 従業者の数 + 遊技機械器具で遊技できる者の数 + 観覧・飲食・休憩用の固定式いす席数 |
| 飲食店・料理店・キャバレー・カラオケボックス等((2)(3)項) | 従業者の数 + 固定式いす席の数 + その他の客席部分の床面積÷3㎡ 長いす式は「正面幅÷0.5m」・端数切捨て |
| 物品販売店舗・展示場((4)項) | 従業者の数 + 飲食・休憩用部分の床面積÷3㎡ + その他の客用部分の床面積÷4㎡ |
| 旅館・ホテル((5)項イ) | 従業者の数 + 洋式はベッド数/和式は床面積÷6㎡(簡易宿所・団体客用は3㎡)+ 集会・飲食・休憩部分 |
| 共同住宅・寄宿舎・下宿((5)項ロ) | 居住者の数 |
| 病院・診療所・助産所((6)項イ) | 医師・歯科医師・助産師・薬剤師・看護師その他従業者の数 + 病室内の病床数 + 待合室の床面積÷3㎡ |
| 社会福祉施設((6)項ロ・ハ) | 従業者の数 + 要保護者の数(老人・乳児・幼児・身体障害者・知的障害者等) |
| 幼稚園・特別支援学校((6)項ニ) | 教職員の数 + 幼児・児童・生徒の数 |
| 学校((7)項) | 教職員の数 + 児童・生徒・学生の数 |
| 図書館・博物館・美術館((8)項) | 従業者の数 + 閲覧室・展示室・展覧室・会議室・休憩室の床面積÷3㎡ |
| 公衆浴場((9)項) | 従業者の数 + 浴場・脱衣場・マッサージ室・休憩用部分の床面積÷3㎡ |
| 停車場・工場・作業場・スタジオ 車庫・駐車場・格納庫・倉庫((10)(12)(13)(14)項) |
従業者の数のみ |
| 神社・寺院・教会((11)項) | 神職・僧侶・牧師その他従業者の数 + 礼拝・集会・休憩用部分の床面積÷3㎡ |
| 事務所等((15)項) | 従業者の数 + 主として従業者以外の者が使用する部分の床面積÷3㎡ |
| 文化財((17)項) | 床面積÷5㎡ |
間違えやすいポイント3つ
どの用途でも従業者の数が基礎になります。「席数だけ」「居住者だけ」で数えると過小になります。飲食店の例では、席数28席でも従業員が3人いれば合計31人となり、30人以上に達して防火管理者が必要になります。 「うちは小さいから関係ない」と思っていた店舗が、実は対象だったというケースは珍しくありません。
複合用途防火対象物((16)項)や地下街は、テナントごとに用途別の算定式を当てはめ、その合計が建物全体の収容人員になります(施行規則第1条の3第2項)。1階が飲食店、2階が事務所、3階以上が共同住宅——という建物なら、それぞれ別の式で計算して足すのが正解です。
事務所((15)項)の「主として従業者以外の者の使用に供する部分」がどこまでかは、条文に明確な線引きがありません。応接室・会議室・待合スペースなどが該当し得ますが、最終的には所轄消防署の判断が入ります。また床面積を割ったときの端数処理も条文に明記がなく(明記されているのは長いす式換算の切捨てのみ)、運用は消防本部によります。
具体例で計算してみる
特定用途で30人以上のため、防火管理者の選任が必要です。
非特定用途で50人以上のため、防火管理者の選任が必要です。
非特定用途の基準50人に満たないため、この時点では選任義務はありません。ただし入居状況が変われば超えるため、定期的な確認が必要です。
収容人員は「変わる」ことに注意
収容人員は一度計算して終わりではありません。席のレイアウト変更、増員、テナントの入替え、マンションの入居状況——こうした変化で基準を超えることがあります。
防火管理者の業務にも「収容人員の管理」が明記されています(消防法第8条第1項)。定員を守り、収容人員を適正に保つことも、防火管理の一部です。
よくある質問
まとめ
- 収容人員の算定方法は施行規則第1条の3で用途ごとに決まっている
- 従業者は必ず含める。席数や居住者だけで数えない
- 飲食店・事務所などは床面積÷3㎡で客用スペース分を加算
- 雑居ビルはテナントごとに計算して合算
- 端数処理や客用スペースの範囲は所轄消防署の判断が入る
- 収容人員は変わる。レイアウト変更や入替えのたびに確認を
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条/消防法施行令(昭和36年政令第37号)第1条の2/消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第1条の3 e-Gov法令検索
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※本記事は2026年7月時点の法令に基づいています。端数処理や客用部分の範囲など、運用が所轄消防本部によって異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または㈱防災屋までご確認ください。





