カラオケボックスが消防法令で特別に扱われていることは知られています。
ところが同じ枠には机も椅子も置いてあるだけに見えるネットカフェや漫画喫茶も入っています。
ここに入ると延べ面積に関係なく自動火災報知設備が必要になります。
この記事では消防法施行令別表第一(2)項ニに当たる店舗の範囲とそこで加わる義務を解説します。
うちは小さな漫画喫茶なのですが消防署から自動火災報知設備が要ると言われました。
個室で漫画を読ませているなら(2)項ニです。
この区分は広さで線を引かず一律に設置を求めています。
カラオケ屋と同じ扱いになるということですか。
同じ枠に並びます。
閉じた個室に客がこもるという構造が同じだからです。
- (2)項ニは個室で遊興のための設備や物品を客に利用させる店舗を指します。(消防法施行令別表第一(2)項ニ)
- 個室でインターネットを利用させる店舗と漫画を閲覧させる店舗も省令でここに含められています。(消防法施行規則第5条第2項第1号)
- 自動火災報知設備は延べ面積に関係なく全ての(2)項ニに必要です。(消防法施行令第21条第1項第1号イ)
- ヘッドホンを使わせる個室では警報音が確実に聞き取れる措置まで求められます。(消防法施行規則第25条の2第2項第1号イ)
- 収容人員が30人以上になれば防火管理者の選任も必要になります。(消防法施行令第1条の2第3項第1号ロ)
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目次
(2)項ニとはどんな店舗を指すのか

(2)項にはイからニまでの四つの枝があり その最後がここです。
ニ カラオケボックスその他遊興のための設備又は物品を個室(これに類する施設を含む。)において客に利用させる役務を提供する業務を営む店舗で総務省令で定めるもの
条文が挙げている要素は遊興のための設備または物品があること 個室で客に利用させること 役務の提供を業として営む店舗であることの3つです。
同じ(2)項でもイのキャバレーやロの遊技場は広間で客を受け入れる形なので この枝には入りません。
括弧書きにこれに類する施設を含むと書かれているとおり 個室そのものでなくても同じように客がこもる区画であれば含めて考えることになります。
看板に何と書いてあるかではなく 客が仕切られた区画で過ごすかどうかを先に見てください。
うちは上が開いたブース型なのですがそれでも個室になりますか。
条文がこれに類する施設まで含めているので判断が要る場面です。
店の平面図を持って所轄消防署で確認しておきましょう。
ネットカフェや漫画喫茶がここに含まれるのはなぜか

その省令が範囲をはっきり書いています。
一 個室(これに類する施設を含む。)において、インターネットを利用させ、又は漫画を閲覧させる役務を提供する業務を営む店舗
二 風営法第2条第9項に規定する店舗型電話異性紹介営業を営む店舗
三 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(昭和59年政令第319号)第2条第1号に規定する興行場(客の性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の映像を見せる興行の用に供するものに限る。)
第1号がインターネットと漫画を並べているので ネットカフェも漫画喫茶も複合カフェも同じ枠に入ります。
喫茶という名前が付いていても 個室でネットや漫画を利用させているならこの号に当たります。
逆に個室を設けず 見通しのきくフロアに席を並べているだけの店なら第1号の要件を満たしません。
判断の分かれ目は飲食を出しているかどうかではなく 個室を設けているかどうかです。
飲食店のつもりで届けていたのですが区分が変わるということでしょうか。
消防法令上の用途は営業の許可とは別に判定されます。
個室を作った時点で用途変更として見られることがあるので早めに相談してください。
自動火災報知設備は延べ面積に関係なく必要なのか

面積の下限がそもそも書かれていません。
一 次に掲げる防火対象物
イ 別表第一(2)項ニ、(5)項イ、(6)項イ(1)から(3)まで及びロ、(13)項ロ並びに(17)項に掲げる防火対象物
第1号は面積を書かずに用途だけを並べた号で 旅館や入院設備のある病院と同じ列に(2)項ニが置かれています。
数坪の店であっても自動火災報知設備は要るという意味です。
消火器具も同じで 別表第一(2)項は面積に関わりなく設置対象とされています(消防法施行令第10条第1項第1号イ)。
テナントとして(16)項イの雑居ビルに入っている場合も その部分について同じ規定が置かれているので 建物全体の面積だけを見て判断しないでください。
つまり小さいから免除という話にはならないのですね。
なりません。
まず受信機が付いているかと感知器が個室の中にも入っているかを見てください。
ヘッドホンをつけた客に警報は届いているか

(2)項ニには音が届くところまで求める条文があります。
(ロ) 非常ベル又は自動式サイレンの音響装置を、ダンスホール、カラオケボックスその他これらに類するもので、室内又は室外の音響が聞き取りにくい場所に設ける場合にあつては、当該場所において他の警報音又は騒音と明らかに区別して聞き取ることができるように措置されていること。
(ハ) 令別表第一(2)項ニ、(16)項イ、(16の2)項及び(16の3)項に掲げる防火対象物のうち、遊興のためにヘッドホン、イヤホンその他これに類する物品を客に利用させる役務の用に供する個室があるものにあつては、当該役務を提供している間においても、当該個室において警報音を確実に聞き取ることができるように措置されていること。
イヤホンで音を聞いている客に警報が届かないという事態を条文が正面から想定しています。
音が届きにくい場所では他の警報音や騒音と明らかに区別して聞き取れることまで求められます。
受信機の側にも条件があり (2)項ニの部分がある建物で地区音響停止スイッチを設けているものは 止めた状態のまま火災信号を受けても一定時間内に自動で鳴動する状態へ戻る必要があります(消防法施行規則第24条第2号ハ)。
誤報が続くからと音響を切って運用していないか 今日のうちに確かめてください。
誤報が続いたときに音を切ったままにしていたことがあります。
その状態がいちばん危ないので条文が自動復帰を求めています。
切りたくなる理由のほうを点検で潰しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

順に並べると次のようになります。
ロ 別表第一(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項イ、ハ及びニ、(9)項イ、(16)項イ並びに(16の2)項に掲げる防火対象物(略)で、収容人員が30人以上のもの
(2)項ニは(1)項から(4)項までに含まれるので 収容人員が30人に達すれば防火管理者を選任することになります。
収容人員は従業者の数と客席の部分の数を合算して求め 固定式のいす席がない部分は床面積を3平方メートルで割ります(消防法施行規則第1条の3)。
カーテンやじゅうたんを防炎物品にする義務も同時に掛かります(消防法施行令第4条の3第1項)。
そのうえで収容人員が300人以上になるか 避難階以外の階に店があって直通階段が一つしかなければ 防火対象物点検の対象にもなります(消防法施行令第4条の2の2)。
個室を増やしたら収容人員も上がるということですね。
そのとおりです。
ブースを増やす前に収容人員を計算し直してから工事にかかってください。
よくある質問
まとめ
個室があるかどうかで見ればよいとわかりました。
まず店の平面図と受信機の位置を確かめます。
個室を作るという判断が消防法令上の用途を動かします。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法施行令別表第一(2)項
- 消防法施行令第1条の2(防火管理者を定めなければならない防火対象物等)
- 消防法施行令第4条の2の2(火災の予防上必要な事項等について点検を要する防火対象物)
- 消防法施行令第4条の3(防炎防火対象物の指定等)
- 消防法施行令第10条(消火器具に関する基準)
- 消防法施行令第21条(自動火災報知設備に関する基準)
- 消防法施行規則第1条の3(収容人員の算定方法)
- 消防法施行規則第5条第2項(防火対象物の用途の指定)
- 消防法施行規則第24条(自動火災報知設備に関する基準の細目)
- 消防法施行規則第25条の2(非常警報設備に関する基準)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





