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火気使用設備は壁からどれだけ離せばよいのか|離隔距離の決まり方と距離を要しない場合を解説

厨房のレンジと壁面を写した写真に記事のタイトルを重ねたアイキャッチ画像

厨房のレンジやストーブを壁ぎわに寄せて置いてよいのか迷ったことはありませんか。
消防法令は火を使う設備と建物や燃えるものとの間に一定の空きを保つことを求めています。
この空きは離隔距離と呼ばれ 設備の種類ごとに向きまで決められています。
この記事では離隔距離がどこで決まりどんなときに保たなくてよいのかを解説します。

厨房が狭いので レンジを壁いっぱいまで寄せて据えてしまいました。

火を使う設備は建物や燃えるものとの間に火災予防上安全な距離を保つ位置に設けることになっています。
寄せてよいかどうかは壁の作りで変わります。

その距離は どこを見れば書いてあるのでしょうか。

数字が並んでいるのは総務省令の別表です。
設備の種別と入力ごとに向きの違う距離が示されています。

この記事の結論
  • 火を使う設備は建築物等と可燃物との間に火災予防上安全な距離を保つ位置に設けます。(消防法施行令第5条第1項第1号)
  • 距離の中身を決めているのは平成14年総務省令第24号です。(同省令第5条)
  • 別表は上方と側方と前方と後方の四つの向きごとに距離を示しています。(同省令別表第一)
  • 相手の面が不燃材料かどうかで保つべき距離が変わります。(同省令別表第二備考)
  • 間柱や下地まで不燃であれば距離を保つことを要しない場合があります。(同省令第4条)

火気使用設備の離隔距離を対象の確認から四方向の計測と仕上げの確認まで順に示した図解

火気使用設備の離隔距離とはなにを指すのか

調理台のこんろと壁面との間の空きを矢印で示した図
出発点は消防法施行令の条例制定基準です。
そこには距離の数字ではなく 距離を保つという考え方が書かれています。
消防法施行令第5条第1項第1号
対象火気設備等は、防火上支障がないものとして総務省令で定める場合を除くほか、建築物その他の土地に定着する工作物及び可燃物までの間に、対象火気設備等の種類ごとに総務省令で定める火災予防上安全な距離を保つ位置に設けること
設備と燃えるものとの空きのことです。
条文が距離をとる相手として挙げているのは建築物等と可燃物で 壁も天井も床も 近くに積んだ物品も含まれます。
気をつけたいのは これが設備そのものの性能の話ではなく設備を置く場所の話だという点です。
同じ型式の機器でも 置き場所を変えれば守るべき距離の判断はやり直しになります。
厨房の模様替えや棚の増設を計画するときは 機器を動かす前にこの条文へ立ち返ってください。

機器を買い替えていないので 見直さなくてよいと思っていました。

相手は建築物等と可燃物なので 機器が同じでも周りが変われば結論が変わります。
棚を足したときこそ測り直してください。

どの設備や器具に離隔距離が求められるのか

ボイラーと給湯設備とレンジと電子レンジが並んだ図
対象は何でもよいわけではありません。
総務省令が種類を限って挙げています。
対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令第3条
令第5条第1項各号列記以外の部分の総務省令で定めるものは、第1号から第13号までに掲げる設備から配管設備等を除いたもの及び第14号から第21号までに掲げる設備とする。(略)一 炉 二 ふろがま 三 温風暖房機 四 厨房設備 五 ボイラー 六 ストーブ(移動式のものを除く。)(略)
設備は21種類に限られています。
炉やふろがま 温風暖房機 厨房設備 ボイラー ストーブのほか 乾燥設備やサウナ設備 湯沸設備 燃料電池発電設備 ヒートポンプ冷暖房機まで21種類が並んでいます。
持ち運べる機器のほうは同省令第18条が気体燃料 液体燃料 固体燃料 電気を熱源とするものの四つに分けて対象火気器具等として定めています。
条文が第6号のストーブに移動式のものを除くと書いているのは この設備と器具の線引きのためです。
まず自分の建物にある機器が設備と器具のどちらに当たるかを書き出すところから始めてください。

据え付けてあるか 持ち運べるかで分かれるということですね。

そのとおりで 設備は消防法施行令第5条 器具は第5条の2が受け持ちます。
備品の一覧に区分の欄を足しておくと後の点検が楽になります。

離隔距離は何センチと決められているのか

機器の上方と側方と前方と後方に向けて距離を示した図
ここでようやく数字が出てきます。
数字は条文の本文ではなく別表に置かれています。
同省令第5条
令第5条第1項第1号の総務省令で定める火災予防上安全な距離は、次の各号に掲げる距離のうち、消防長又は消防署長が認める距離以上の距離とする。(略)一 別表第一の左欄に掲げる対象火気設備等の種別に応じ、それぞれ同表の右欄に定める離隔距離 二 電気を熱源とする対象火気設備等のうち、別表第二に掲げるもの(略) 三 対象火気設備等の種類ごとに、それぞれ消防庁長官が定めるところにより得られる距離
別表に向きごとの数字が並んでいます。
別表第一と別表第二はどちらも上方 側方 前方 後方の四つの欄を持ち 種別と入力に応じた距離をセンチメートルで示しています。
たとえば別表第二の電子レンジは電熱装置を有するもので入力2キロワット以下の場合 不燃以外の面に対して上方10センチメートル 側方と前方と後方は4.5センチメートルです。
気体燃料の厨房設備で開放式の据置型レンジ 入力21キロワット以下であれば 不燃以外の面に対して上方100センチメートル 側方と前方と後方は15センチメートルとされています。
別表に載っていない種類や入力のものは第3号の消防庁長官が定めるところにより得られる距離によることになるので 銘板の数値を先に押さえてください。

上方だけ大きく取ってある種別が多いのはなぜでしょうか。

別表は向きごとに別々の数字を置いていて 上方の欄が大きい種別が多く並んでいます。
天井の吊り棚や換気フードの位置も一緒に確認してください。

距離を保たなくてよいのはどんなときか

板張りの壁に接した機器と不燃の壁に防熱板を立てた機器を並べた図
条文には距離を保つことを要しない場合が用意されています。
ただし条件はかなり細かく書かれています。
同省令第4条
令第5条第1項第1号の防火上支障がないものとして総務省令で定める場合は、不燃材料で有効に仕上げをした建築物等の部分の構造が耐火構造であって、間柱、下地その他主要な部分を準不燃材料で造ったものである場合又は当該建築物等の部分の構造が耐火構造以外の構造であって、間柱、下地その他主要な部分を不燃材料で造ったもの(有効に遮熱できるものに限る。)である場合とする。
壁の中身まで不燃であることが条件です。
表面を不燃材料で仕上げただけでは足りず間柱や下地といった主要な部分まで準不燃材料か不燃材料で造られていることが求められます。
別表の不燃の欄も同じ考え方で 不燃材料で有効に仕上げをした部分または防熱板までの距離を示していると備考に書かれています。
器具についても同省令第19条が同じ内容の規定を置いているので 設備と器具で扱いが割れることはありません。
一方で変電設備や蓄電池設備 急速充電設備などは同省令第17条により令第5条第1項第1号が適用されず それぞれの個別の基準によります。
壁紙を張り替えただけで距離を詰めてよいと考えず 下地の材料まで図面で確かめてください。

見た目が不燃でも 下地が木なら足りないということですね。

条文が間柱や下地まで名指ししているので 表面だけでは判断できません。
内装工事の仕様書を保管しておくと説明が早く済みます。

明日からなにを確認すればよいのか

機器と壁の間を測る担当者と記録の書類
やることは測って記録することです。
条文は距離のほかに周囲の状態まで求めています。
消防法施行令第5条第1項第11号
対象火気設備等については、必要な点検及び整備を行い、その周囲の整理及び清掃に努める等適切な管理を行うこと
測るのは四つの向きすべてです。
はじめに機器の銘板で種別と燃料と入力を確認し 別表のどの行に当たるのかを押さえます。
次に上方 側方 前方 後方を実際に測り 相手の面が不燃材料で有効に仕上げをした部分かどうかも合わせて記録します。
条文は距離だけでなく周囲の整理と清掃まで求めているので 段ボールや布を機器のそばに置かない運用も管理の一部です。
判断に迷うときは機器の種別と入力と壁の仕様を控えて所轄消防署に確認してください。

測った数字を写真と一緒に残しておけばよいでしょうか。

銘板と設置状況の写真に測った数字を添えておくと説明がそのまま通ります。
模様替えのたびに更新してください。

よくある質問

Q別表に載っていない大きな設備はどう考えればよいですか?
A同省令第5条第3号が対象火気設備等の種類ごとに消防庁長官が定めるところにより得られる距離を挙げています。総務省消防庁は対象火気設備等及び対象火気器具等の離隔距離に関する基準(平成14年消防庁告示第1号)を公表しており、別表の入力を超えるものはこの告示によることになります。
Q壁を不燃材料にすれば距離はいらなくなりますか?
A別表の不燃の欄には距離を0センチメートルと示している種別もありますが、すべての向きがそうなるわけではありません。距離そのものを要しないと言えるのは同省令第4条の要件を満たす場合で、間柱や下地まで含めた構造が条件になります。
Q移動式のストーブにも同じ基準がかかりますか?
A同省令第3条第6号のストーブは移動式のものを除くと書かれています。移動式のストーブは対象火気器具等として同省令第18条の区分で扱われ、消防法施行令第5条の2が定める取扱いの基準のほうがかかります。
Q離隔距離が足りないとどこで指摘されるのですか?
A火を使用する設備の位置と構造と管理に関し必要な事項は、消防法第9条により政令で定める基準に従って市町村条例で定められています。立入検査ではその条例に照らして確認されるので、指摘を受ける前に自分で測って記録を残しておくことが役に立ちます。

まとめ

火を使う設備は建築物等と可燃物との間に火災予防上安全な距離を保つ位置に設けます
距離の中身を決めているのは平成14年総務省令第24号です
設備は21種類に限られ器具は燃料等で四つに分かれます
別表の距離は上方と側方と前方と後方で別々に定められています
相手の面が不燃材料で有効に仕上げをした部分かどうかで距離が変わります
間柱や下地まで不燃であれば距離を保つことを要しない場合があります
迷ったら機器の種別と入力と壁の仕様を控えて所轄消防署に確認します

別表の行を見つけて四方向を測ればよいとわかりました。
今日のうちに厨房から測ってみます。

離隔距離は機器の種別と入力と相手の面で決まります
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参考・出典

  • 消防法第9条(火を使用する設備等に対する規制)
  • 消防法施行令第5条(対象火気設備等の位置、構造及び管理に関する条例の基準)
  • 消防法施行令第5条の2(対象火気器具等の取扱いに関する条例の基準)
  • 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第4条・第5条・第17条・第18条・第19条・第20条
  • 同省令別表第一・別表第二
  • 総務省消防庁「対象火気設備等及び対象火気器具等の離隔距離に関する基準(平成14年消防庁告示第1号)」

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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