誘導灯を取り替えようとカタログを開くと、A級・B級・C級という区分が並んでいます。
同じ緑色の灯火なのにどれを選べばよいのか分からない、という相談を受けることがあります。
条文はこの区分を表示面の縦寸法で分けたうえで、届く範囲まで書き分けています。
この記事では誘導灯の等級がなにを決めていて建物によってどこまで限られるのかを解説します。
切れた誘導灯を同じ場所に付け替えたいのですが等級の選び方が分かりません。
等級は表示面の縦寸法で決まっています。
その大きさで届く範囲まで変わります。
位置が同じなら小さいものに替えてもかまわないでしょうか。
小さくすると有効範囲が縮んで足りなくなることがあります。
まず等級がなにを表しているのかから見ていきましょう。
- 誘導灯の等級は表示面の縦寸法と表示面の明るさで決まります。(消防法施行規則第28条の3第1項)
- A級は縦0.4メートル以上、B級は0.2メートル以上0.4メートル未満、C級は0.1メートル以上0.2メートル未満です。(同項の表)
- 等級ごとに誘導灯の有効範囲が歩行距離で定められています。(同条第2項第1号)
- 地下街や(10)項の建物と床面積が1,000平方メートル以上の階では、等級がA級かB級に限られます。(同条第4項第3号)
- 容易に見とおせない場合や識別できない場合は、等級にかかわらず有効範囲が10メートル以下になります。(同条第2項ただし書)
▼

目次
誘導灯に等級があるのはなぜか

その区分がA級・B級・C級で、器具を選ぶときの出発点になります。
第28条の3第1項の表は、避難口誘導灯と通路誘導灯のそれぞれについてA級・B級・C級の三つを表示面の縦寸法で分けています。
A級は0.4メートル以上、B級は0.2メートル以上0.4メートル未満、C級は0.1メートル以上0.2メートル未満です。
同じ表の下欄には表示面の明るさも定められていて、避難口誘導灯のA級は50カンデラ以上、通路誘導灯のA級は60カンデラ以上とされています。
つまり等級はメーカーが付けた呼び名ではなく、大きさと明るさの下限を条文がまとめた区分だと考えると分かりやすくなります。
大きさと明るさをまとめて呼んでいる区分だったのですね。
寸法を測れば区分はご自分でも確かめられます。
次はその等級が建物によって限られる場合を見ましょう。
どの建物ならA級かB級に限られるのか

人が多く集まる建物や広い階では、条文が選べる等級の下限を引き上げています。
イは令別表第一(10)項の停車場や発着場と、(16の2)項の地下街・(16の3)項の準地下街を挙げています。
ロは(1)項から(4)項までと(9)項イ、それに(16)項イの階のうちこれらの用途に供される部分がある階で、床面積が1,000平方メートル以上のものです。
このときは等級だけでなく、避難口誘導灯なら表示面の明るさが20以上か点滅機能を持つもの、通路誘導灯なら25以上という条件も重なります。
自分の建物がここに当てはまるなら、C級の在庫が手元にあっても付け替えには使えないので発注の前に確かめてください。
地下街や広い売場の階では小さいものを選べないのですね。
明るさの条件も一緒に付いてくるので仕様書で確かめてください。
次は等級で届く範囲がどれだけ変わるかを見ましょう。
等級によって誘導灯が届く範囲はどれだけ変わるのか

有効範囲は誘導灯までの歩行距離という形で決められています。
第2項第1号の表は、避難口誘導灯のA級について避難の方向を示すシンボルのないものを60メートル、あるものを40メートルとしています。
B級はそれぞれ30メートルと20メートル、C級は15メートルで、通路誘導灯はA級が20メートル・B級が15メートル・C級が10メートルです。
第2号はこれとは別にD=khという式を置いていて、kの値は避難口誘導灯でシンボルのないものが150、あるものが100、通路誘導灯が50とされています。
どちらか一方の距離以下であればよい仕組みなので、同じ位置に等級の低いものを付け替えると有効範囲が縮み、廊下の途中に届かない部分が生まれます。
同じ場所でも等級を下げると届く範囲が半分近くになるのですね。
配置の前提そのものが変わってしまいます。
次は現場で見落としやすいところを見ておきましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

条文には見え方と取り付けの場所についての決まりも置かれています。
第2項のただし書は、容易に見とおすことができない場合や識別することができない場合の有効範囲を歩行距離10メートル以下に切り下げています。
柱や間仕切りや吊り看板でさえぎられていると、A級を付けていてもその誘導灯は10メートルまでしか働きません。
もうひとつ落としやすいのが第4項第3号の2で、(2)項ニのカラオケボックス等に設ける通路誘導灯は床面又はその直近に設けることとされています。
内装を変えたり間仕切りを足したりしたときは、等級だけでなく見え方と取り付けの高さも合わせて見直してください。
柱の陰に入っているものが何か所か思い当たります。
そこは有効範囲が10メートルまで縮んでいます。
位置を変えるか誘導灯を足すかの検討が要ります。
明日からなにを確認すればよいのか

交換の前後で等級が変わっていないかを見るのがいちばん確実です。
誘導灯の表示や設計図書から避難口誘導灯か通路誘導灯かと等級を拾い、避難の方向を示すシンボルの有無も併せて書き出します。
次に自分の建物が令別表第一のどの項に当たるか、その階の床面積が1,000平方メートル以上かどうかを確かめ、A級かB級に限られる場所を色分けします。
そのうえで柱や掲示物でさえぎられているものを歩いて拾い、交換のときは同じ等級以上を発注すると決めておきます。
消防法第17条第1項は設置と維持の両方を求めているので、等級を下げた付け替えは維持の側で問題になると考えて備えてください。
一覧に等級の欄を足すところから始めてみます。
それだけで発注の間違いはほとんど防げます。
最後によくある質問を見ておきましょう。
よくある質問
まとめ
等級を落とさずに発注するよう社内で決めておきます。
その取り決めがあるだけで現場の判断が揃います。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条第1項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第26条第1項・第2項・第3項
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第28条の3第1項・第2項・第3項・第4項
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





