廊下の天井や扉の上で、緑色の誘導灯がいつも点いています。
電気代がもったいないので日中だけ消しておきたい、という相談を受けることがあります。
条文は誘導灯を常時点灯としたうえで、消してよい場合をわざわざ書き分けています。
この記事では誘導灯を消せるのはどんなときで停電したら何分間もつのかを解説します。
節電のために昼間だけ誘導灯を消したいと言われて困っています。
誘導灯は常時点灯が原則と決められています。
消してよい場合は条文がはっきり限っています。
条件さえ整えば消してもかまわないということでしょうか。
設備側の措置が要りますが、認められる場合はあります。
まずどうして常時点灯が原則なのかから見ていきましょう。
- 避難口誘導灯と通路誘導灯は常時点灯していることが原則です。(消防法施行規則第28条の3第4項第2号)
- 消灯できるのは無人のときと、外光で識別できる場所・暗さが必要な場所・関係者だけが使う場所に限られます。(同号ただし書イからハまで)
- 消灯するには自動火災報知設備の感知器と連動して点灯する措置が要ります。(同号ただし書)
- 誘導灯には非常電源を附置し、蓄電池設備で20分間作動できる容量が求められます。(消防法施行令第26条第2項第4号・同規則第28条の3第4項第10号)
- 誘導灯の周囲にまぎらわしい灯火や広告物を置くことは認められていません。(同項第8号)
▼

目次
誘導灯はどうして常時点灯が原則なのか

ところが火災が起きてから点けたのでは間に合わないため、条文は平常時の状態そのものを決めています。
令第26条第2項が避難口誘導灯も通路誘導灯も緑色の灯火と定義しているとおり、誘導灯は光そのものが本体になります。
消えている誘導灯は板に絵が描いてあるだけの状態で、避難口の位置も避難の方向も伝えません。
だから消防法施行規則第28条の3第4項第2号は、明るさの区分を満たしたまま常時点灯していることを求めています。
自分の建物で普段から消えているものがあれば、それは節電ではなく設備が働いていない状態だと考えてください。
灯火そのものが設備だと言われると納得できます。
消えていれば表示板と変わらなくなってしまいます。
次はその原則にどんな例外が置かれているかを見ましょう。
どんなときに誘導灯を消してよいのか

場所を並べたうえで、そこにさらに設備側の条件を重ねる書き方です。
挙げられているのは建物が無人である場合と、外光で避難口が分かる場所、映画の上映室のように暗さが要る場所、従業員だけが使う場所になります。
ただし場所が当てはまるだけでは足りず、自動火災報知設備の感知器の作動と連動して点灯する措置が講じられていることが重ねて求められています。
つまり火災を感知したら自動で点くようになっていない誘導灯は、どんな場所にあっても消してよい対象になりません。
節電のためにブレーカーや個別のスイッチで切るのは、この条文が想定している消灯とは別のものです。
つまり手で切るのではなく、自動で点く仕組みが要るのですね。
そこが条文のいちばん大事なところです。
次は停電したときにどれだけもつのかを見ましょう。
停電したとき誘導灯は何分間点いているのか

そのために誘導灯には非常電源が附置され、容量まで数字で決められています。
非常電源は蓄電池設備によることとされていて、誘導灯の器具の中に電池が組み込まれているのが一般的な形です。
消防庁長官が定める要件に当たる建物の直通階段や避難口などに設けるものについては、容量が60分間に引き上げられます。
どちらであっても点灯できる時間には限りがあるので、電池が寿命を迎えていれば規定の時間はもちません。
点検で器具の表示ランプが消えていたり点滅していたりしたら、それは電池の交換時期を知らせている合図です。
器具についている小さなランプにそんな意味があったのですね。
毎日見ていれば気づける数少ない合図です。
次は見落としやすいところを整理しましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

日々の使い方で基準から外れてしまう項目が、同じ条文の中に並んで置かれています。
第8号はさえぎるものだけでなくまぎらわしいものも禁じているので、緑色の装飾照明を近くに付けるのも避けたいところです。
のぼりやポスターは工事ではなく日常の掲示として増えていくため、設置のときは基準どおりでも後から外れてしまいます。
点滅機能や音声誘導機能を持つものも同じで、第6号イは地上へ通ずる出入口と直通階段の出入口の避難口誘導灯以外には設けてはならないとしています。
第9号が準用する第24条第3号は電源の開閉器にその設備用である旨を表示することを求めているので、分電盤の表示が消えかけていないかも見ておきます。
季節の掲示を貼るたびに基準から外れていたかもしれません。
掲示の位置は防火管理者がその場で直せる項目です。
最後に明日からの確認手順をまとめましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

確認するのは点いているかと、見えているかと、記録が残っているかの三つです。
まず消えている誘導灯と、器具の表示ランプが点滅しているものを拾い、電池の交換が要るものを業者に伝えます。
次に掲示物や商品の陳列で隠れているものを探し、その場でどけるか掲示の位置を変えます。
そのうえで消防法第17条の3の3に基づく点検の結果を維持台帳に記録し、消防法施行規則第31条の6が定める期間ごとに消防長又は消防署長へ報告します。
維持のため必要な措置を命じられて従わなければ30万円以下の罰金又は拘留が定められているので、指摘を受けたまま置かないことが大切です。
今日の見回りで消えているものと隠れているものを拾ってきます。
その二つで日常の維持はほぼ足ります。
最後によくある質問を見ておきましょう。
よくある質問
まとめ
節電のつもりで消すのは違うと社内に説明できそうです。
条文の言葉で伝えれば話が早く進みます。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条第1項・第17条の3の3・第44条第12号
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第26条第1項・第2項・第3項
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第24条第3号・第28条の3・第31条の6
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





