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自衛消防組織の地区隊はどの単位で作ればよいのか|階と区画と管理権原ごとの分け方と小規模テナントの合同編成を解説

自衛消防組織の地区隊はどの単位で作るのか

大きな建物の自衛消防組織は、本部隊だけで動くものではありません。
火災や地震が起きたときに最初に動くのは、各階や各テナントに置かれた地区隊のほうです。
ところが、その地区隊をどの単位で区切るのかは消防法施行規則にはっきりとは書かれていません。
区切り方の目安を示しているのは消防庁のガイドラインで、実際に区切って消防計画に書くのは建物側の仕事です

うちのビルはテナントが20社ほど入っています。
地区隊はテナントごとに1隊ずつ作ればよいのでしょうか。

基本は管理権原ごとです。
ただし階や区画で区切ることもあるので、まずは目安を押さえましょう。

小さな事務所が1社だけの階もあります。
そこだけでは人が足りず隊になりません。

その場合は隣のテナントと合同の地区隊を組む形が示されています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 自衛消防組織は本部隊地区隊で組み立てるのが基本の形です
  • 地区隊は階と区画と主要な管理権原ごとに設けるのが目安とされています
  • 同じ階に複数の権原者がいるときは、それぞれの規模や人員の実状に応じて編成します
  • 単独で地区隊を組めない小規模な管理権原は隣接テナントと合同で編成します
  • 地区隊には地区隊長を置き、各班にはそれぞれ班長を置きます

地区隊を階ごと区画ごと管理権原ごとに区切り小規模は合同にする流れを並べた図解

自衛消防組織の地区隊は建物のどの範囲を受け持つのか

自衛消防組織の本部隊と各階に置かれた地区隊のつながりを示したイラスト
地区隊という言葉そのものは、条文には出てきません。
まずは自衛消防組織の中に隊を作るときの決まりを、政令と省令で確かめます。
消防法施行令第4条の2の8第2項 統括管理者は、自衛消防組織を統括する。 消防法施行規則第4条の2の10第3項 自衛消防組織にその業務を分掌する内部組織を編成する場合は、当該内部組織の業務の内容及び活動の範囲を明確に区分し、当該内部組織にその業務の実施に必要な要員を配置するとともに、当該内部組織を統括する者を置くものとする。
省令が求めているのは内部組織の三点です
業務の内容と活動の範囲を区分すること、必要な要員を配置すること、そして統括する者を置くことの三つがそろって内部組織になります。
この内部組織を、総務省消防庁のガイドラインは本部隊地区隊という名前で具体化しています。
本部隊は建物全体の指揮を執る隊で、地区隊は担当する範囲の初動を受け持つ隊という役割分担です。
つまり地区隊とは、建物を分けたその一区画をまるごと預かる単位のことだと考えてください。

省令には内部組織としか書かれていないのですね。
本部隊や地区隊という呼び方はどこから来たのでしょう。

消防庁のガイドラインが示している呼び名です。
まずは自分の建物の内部組織図に、この二層があるか見てください。

地区隊はどの単位で区切ればよいのか

地区隊を階ごとに分ける場合と区画で分ける場合を並べたイラスト
ここがこの記事の中心になります。
区切り方の目安は、消防庁のガイドラインの別冊にはっきり示されています。
「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年 総務省消防庁)別冊3 1⑴ 自衛消防組織は本部隊と地区隊からなり、地区隊は基本的には各事業所(管理権原単位毎)に編成し、当該編成について管理権原毎の消防計画及び全体の消防計画において明確化する。 同 1⑶イ 地区隊 (ア)地区隊は階・区画・主要な権原毎に設ける。(同一階・同一区画で複数管理権原の場合は、それぞれの規模・人員などの実状に応じて編成することもあり、また、複数階・区画でも管理が一体となっているときは同一の地区隊としてもよい。
区切り方の物差しは三つあります
階で区切る、区画で区切る、主要な管理権原で区切るという三つで、どれを使うかは建物の実状で決めます。
出発点になるのは管理権原単位で、テナントごとに権原が分かれているビルなら、まずは事業所ごとに一隊と考えるのが基本形です。
一方で、同じ会社が複数の階や区画をまとめて使っていて管理が一体になっているなら、それらを同一の地区隊にしてかまわないとされています。
ガイドラインは本編でも、物品販売店舗と事務所のような大きな用途区分ごと、あるいは棟や区画の区分ごとに地区隊を編成する場合はその構成を消防計画に書くよう求めていますので、区切った理由まで残しておいてください。

三フロアを借りている会社が一つあります。
あそこは1隊にまとめてよいということですね。

管理が一体ならその形が示されています。
ただし階をまたぐぶん、階ごとの連絡役は決めておいてください。

一つの地区隊にはどんな班と役職を置くのか

地区隊長と各班の班長が並ぶ地区隊の構成を示したイラスト
区切り方が決まったら、次はその隊の中身です。
隊の内側に置くものも、同じ別冊に並べられています。
「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年 総務省消防庁)別冊3 1⑶イ 地区隊 (イ)地区隊に地区隊を統括する者として地区隊長をおく。(ウ)地区隊長は、自衛消防組織の統括管理者の命を受け、担当地区隊の機能が有効に発揮できるよう隊を編成する。(略)(カ)地区隊は、各班(通報連絡班、初期消火班、避難誘導班など)で編成される。各班には班を統括する者(班長)を置く。
地区隊は隊長と班でできています
隊をまとめる地区隊長を置き、その下に通報連絡班や初期消火班などの班を置いて、班ごとにも班長を立てるという二段の構えです。
班ごとの人数についても、ガイドラインは1班あたり通報連絡班は3人程度、初期消火班は2人以上、安全防護班は5人以上という目安を示しています。
これは消防法施行規則第4条の2の11が定める業務ごとにおおむね2人以上という要員の基準とは別の、班を組むときの当てはめの目安です。
原則として各班の兼任はできないとされていますので、まずは自分の地区隊で班長の名前が全部埋まるかを確かめてください。

つまり隊長を決めただけでは足りず、班長まで要るということですね。
そこは名簿が空欄のままでした。

そこが抜けると当日に指示の出し手がいなくなります。
班長の欄から先に埋めてしまいましょう。

単独で地区隊を組めないテナントはどうするのか

小さなテナントが単独では隊を組めず隣接テナントと合同の地区隊を編成するイラスト
実務でいちばん詰まるのがここです。
人数の足りない小さな権原者について、ガイドラインは逃げ道を用意しています。
「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年 総務省消防庁)別冊3 1⑶イ 地区隊 (オ)自らのところだけでは地区隊編成が出来ない小規模管理権原の場合、隣接テナントと合同の地区隊を編成する。 同 2⑴イ 各事業所(各管理権原者)の消防計画で定める自衛消防の組織は、建物全体の地区隊等その部分をなすものとして位置付けられ、統括管理者及び本部隊の指揮下に入る。
足りないテナントは隣と組みます
一社では隊にならない小規模な管理権原は、隣接テナントと合同で一つの地区隊を編成する形が示されています。
見落としやすいのはもう一つのほうで、各テナントが自分の消防計画に書いた自衛消防の組織は、建物全体から見れば地区隊の一部として位置付けられ、統括管理者と本部隊の指揮下に入るとされています。
自分の計画に書いたから自分たちだけで動く、という読み方はできないということです。
合同で組むときは、どちらのテナントの誰が地区隊長になるのかを両社で決めて、双方の消防計画に同じ内容で書き込んでおいてください。

隣のテナントと組むとなると、隊長はどちらから出すのか揉めそうです。
決め方の決まりはありますか。

誰から出すかまでの定めはありません。
だからこそ協議会の場で決めて、双方の計画に同じ文言で残してください。

明日からなにをすればよいのか

フロア図を広げて地区隊の区切りを消防計画に書き込むイラスト
区切り方が決まっても、書き残さなければ形になりません。
書き込む先は、消防計画のこの欄です。
消防法施行規則第51条の8第1項第一号イ 自衛消防の組織に関すること。 消防法施行規則第51条の10第1項 防災管理者は、(略)自衛消防組織の業務に関し、おおむね次の各号に掲げる事項について、防災管理に係る消防計画に定めなければならない。 一 関係機関への通報、在館者が避難する際の誘導その他の火災以外の災害の被害の軽減のために必要な業務として自衛消防組織が行う業務に係る活動要領に関すること。
まずフロア図に線を引いてください
各階の平面図を広げ、管理権原の境目と防火区画の境目を書き入れて、どこからどこまでを一隊にするかを目で見える形にします。
次にその区切りごとに地区隊長と班長の氏名を割り当て、一社では組めないテナントには隣と合同にする相手を書き添えます。
できあがった編成表は、防災管理に係る消防計画では規則第51条の8第1項第一号イの自衛消防の組織に関する欄に、動き方は規則第51条の10第1項第一号の活動要領の欄に書き分けます。
書き終えたら消防計画の変更として所轄消防署へ届け出て、次の訓練でその区切りどおりに動けるかを試してください。

平面図に線を引くところから始めればよいのですね。
それなら今週中にできそうです。

そこまで進めば計画への書き込みは早いです。
線を引いた図は消防計画の別紙として綴じておいてください。

よくある質問

Q地区隊は必ず階ごとに作らなければならないのですか?
A階ごとは目安の一つです。ガイドラインは階・区画・主要な権原ごとと示しており、複数階でも管理が一体になっているときは同一の地区隊としてよいとされています。
Q地区隊の数に上限や下限はありますか?
A条文にもガイドラインにも数そのものの定めは置かれていません。ただし本部隊は1隊とされているので、建物の規模に応じて増えるのは地区隊のほうです。
Q地区隊長も自衛消防業務講習を修了している必要がありますか?
A講習の修了が資格として求められているのは統括管理者です。地区隊長についてそのような資格の定めは置かれていません。
Qテナントが自分の消防計画に書いた自衛消防の組織は建物全体とは別物ですか?
A別物ではありません。ガイドラインは各事業所の消防計画で定める自衛消防の組織を建物全体の地区隊等その部分をなすものと位置付け、統括管理者及び本部隊の指揮下に入るとしています。

まとめ

自衛消防組織の内部組織には業務の区分と要員の配置と統括する者の三点が省令で求められています
地区隊は階と区画と主要な権原ごとに設けるのが目安とされています
同じ階に複数の権原者がいるときは、それぞれの規模や人員の実状に応じて編成します
複数の階や区画にまたがっていても管理が一体なら同一の地区隊としてよいとされています
単独で組めない小規模な管理権原は隣接テナントと合同の地区隊を編成します
地区隊には地区隊長を置き、通報連絡班などの各班にはそれぞれ班長を置きます
区切った編成は消防計画に書き込み変更の届出まで済ませます

区切り方に決まった正解が無いぶん、書き残しておく大事さがよく分かりました。
まずは平面図を出してきます。

その一歩で編成表はぐっと形になります。
迷うところがあれば㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2の5第1項
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の4・第4条の2の6・第4条の2の8
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第4条の2の10第3項・第4条の2の11・第51条の8第1項第一号イ・第51条の10第1項
  • 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)本編3⑴及び別冊3
  • e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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