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飲食店や喫茶店は消防法上どの用途になるのか|(3)項の収容人員の数え方と消火器具の基準を解説

飲食店の客席が並ぶ店内の写真に飲食店や喫茶店は消防法上どの用途になるのかというタイトルを重ねたアイキャッチ画像

飲食店を始めるときや店舗を引き継いだときに 消防署から用途を聞かれることがあります。
同じ料理を出す店でも 消防法の上では入る箱が分かれています。
その箱が令別表第一(3)項で 防火管理者の要否も消火器具の要否もここから決まります。
この記事では飲食店の用途区分と収容人員の数え方を条文から解説します。

小さな食堂を始めたのですが消防署から用途を確かめてくださいと言われました。

まず建物が令別表第一(3)項に当たるかを確かめます。
そこが決まらないと必要なものも決まりません。

うちは20席ほどの小さな店です。
それでも防火管理者は要るのでしょうか。

決め手は席の数ではなく収容人員です。
従業者の数と客席の人数を足して30人以上なら選任が必要になります。

この記事の結論
  • 飲食店は令別表第一(3)項ロで 待合や料理店は同項イに分かれています。
  • 収容人員は従業者の数と客席部分の人数を合算して数えます。(消防法施行規則第1条の3第1項)
  • 収容人員が30人以上になると防火管理者を定めなければなりません。(消防法施行令第1条の2第3項第1号ロ)
  • 火を使用する設備又は器具を設けた店は延べ面積に関係なく消火器具が必要です。(同令第10条第1項第1号ロ)
  • 自動火災報知設備は延べ面積300平方メートル以上から必要になります。(同令第21条第1項第3号イ)

飲食店が令別表第一(3)項に当たり収容人員30人以上で防火管理者が必要になる流れと消火器具の基準を示した図解

飲食店は消防法施行令別表第一のどこに入るのか

飲食店の建物と和室の座卓が並び防火管理者が立っている図
出発点は令別表第一という一覧表です。
飲食にかかわる店は(3)項にまとめられ その中で二つに分かれています。
消防法施行令別表第一(3)項
イ 待合、料理店その他これらに類するもの
ロ 飲食店
条文が挙げているのはこの二つだけです。
イには待合と料理店が並び ロには飲食店とだけ書かれています。
(3)項は特定用途に当たるため 同じ面積でも事務所や倉庫より基準が厳しくなります。
自分の店がイなのかロなのかが分からないときは 所轄消防署の予防担当に営業の中身を伝えて確かめるのが早道です。
用途がずれると このあとの収容人員も設備も全部ずれてしまうからです。

イとロで必要なものが変わるのですか。

この記事で扱う範囲ではイもロも同じ扱いです。
防火管理者も防炎規制も(3)項としてまとめて掛かります。

飲食店の収容人員はどうやって数えるのか

固定式のいす席が並ぶカウンターと床面積を測る図
収容人員は席数のことではありません。
従業者の数と客席部分の人数を足したものが収容人員です。
消防法施行規則第1条の3第1項(令別表第一(2)項及び(3)項に掲げる防火対象物のうちその他のもの)
次に掲げる数を合算して算定する。
一 従業者の数
二 客席の部分ごとに次のイ及びロによつて算定した数の合計数
イ 固定式のいす席を設ける部分については、当該部分にあるいす席の数に対応する数。この場合において、長いす式のいす席にあつては、当該いす席の正面幅を0.5メートルで除して得た数(1未満のはしたの数は切り捨てるものとする。)とする。
ロ その他の部分については、当該部分の床面積を3平方メートルで除して得た数
数え方は席の形で変わります。
ボックス席のように固定されたいすは その数をそのまま数えます。
ベンチのような長いすは正面幅を0.5メートルで割った数に置き換え 端数は切り捨てます。
固定していないテーブル席や立ち飲みの部分は床面積を3平方メートルで割った数になります。
厨房や事務室は客席の部分ではないので この床面積の計算には入りません。
店の平面図に客席部分だけを塗り分けておくと 毎年の見直しがぐっと楽になります。

厨房の広さは数えないのですね。

客席の部分ごとに数えると書かれています。
ただし厨房で働く人は従業者の数として合算します。

防火管理者は何人から選任しなければならないのか

飲食店の建物の前に従業員が並び机の上に修了証がある図
数えた収容人員をあてはめる先がここです。
(3)項は特定用途の列に入っているので 敷居が低く設定されています。
消防法施行令第1条の2第3項第1号ロ(抜粋)
別表第一(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項イ、ハ及びニ、(9)項イ、(16)項イ並びに(16の2)項に掲げる防火対象物(略)で、収容人員が30人以上のもの
境目は30人です。
事務所や倉庫のような非特定用途は50人以上ですから 飲食店はその半分を超えたところで義務が生じます。
定めるのは店長本人ではなく その建物や部分について管理について権原を有する者です。(消防法第8条第1項)
資格は延べ面積で分かれ (3)項では300平方メートル未満なら乙種でよく それ以上は甲種が必要になります。(同令第3条第1項第2号)
選任したら遅滞なく所轄消防長又は消防署長へ届け出るところまでが一組です。(消防法第8条第2項)

つまり従業者を足して30人を超えたら要るということですね。

そのとおりです。
席を増やす前に収容人員を計算し直しておくと慌てずに済みます。

消火器具が面積に関係なく必要になるのはどんな店か

厨房の調理器具の横に消火器が置かれ客席と並んでいる図
見落としが多いのがこの一点です。
消火器具は延べ面積で決まると思われがちですが (3)項には例外があります。
消防法施行令第10条第1項(抜粋)
一 次に掲げる防火対象物
ロ 別表第一(3)項に掲げる防火対象物で、火を使用する設備又は器具(防火上有効な措置として総務省令で定める措置が講じられたものを除く。)を設けたもの
二 次に掲げる防火対象物で、延べ面積が150平方メートル以上のもの
ロ 別表第一(3)項に掲げる防火対象物(前号ロに掲げるものを除く。)
火を使う設備があれば面積は問われません。
こんろやフライヤーを置いている店は 何平方メートルであっても消火器具の対象になります。
それ以外の(3)項の店は延べ面積150平方メートル以上から対象です。
除かれるのは調理油過熱防止装置や自動消火装置など 危険な状態の発生を防ぎ被害を軽減する安全機能を備えた装置を設けたものだけです。(消防法施行規則第5条の4)
延べ面積150平方メートル未満の店は小規模特定飲食店等と呼ばれ 消火器具までの歩行距離を火を使う設備のある階ごとに見る扱いになります。(同規則第6条第6項第2号)

家庭用のような小さなこんろでも対象になるのですか。

条文は火を使用する設備又は器具と書いており 大きさで区切っていません。
安全機能を備えた装置が付いているかどうかで扱いが分かれます。

明日どこから確かめればよいのか

カーテンのかかった壁と天井の感知器を防火管理者が確かめる図
残りの基準もまとめて押さえておきます。
(3)項に掛かるものは消火器具と防火管理者だけではありません。
消防法施行令第21条第1項(抜粋)
三 次に掲げる防火対象物で、延べ面積が300平方メートル以上のもの
イ 別表第一(1)項、(2)項イからハまで、(3)項、(4)項、(6)項イ(4)及びニ、(16)項イ並びに(16の2)項に掲げる防火対象物
十 別表第一(2)項イからハまで、(3)項及び(16)項イに掲げる防火対象物(略)の地階又は無窓階(略)で、床面積が100平方メートル(略)以上のもの
確かめる順番は四つです。
まず用途が(3)項であることを確かめ 次に収容人員を数えて30人以上かどうかを見ます。
三つめが消火器具で 火を使う設備があるなら面積に関係なく備えます。
四つめが自動火災報知設備で 延べ面積300平方メートル以上か 地階や無窓階で床面積100平方メートル以上なら必要です。
加えて(3)項は防炎防火対象物なのでカーテンやじゅうたんに防炎性能のあるものを使わなければなりません。(同令第4条の3第1項)
席を増やした 厨房機器を入れ替えた 地階へ店を広げた という変化があった日が見直しの合図です。

地階の店は面積が小さくても自動火災報知設備が要るのですね。

地階と無窓階は床面積100平方メートルで線が引かれています。
まず自分の階が無窓階に当たるかを所轄消防署に確かめてください。

よくある質問

Qセルフサービスの店も飲食店として扱われますか?
A令別表第一(3)項ロは飲食店とだけ定めており、料理の出し方や注文の受け方で区分を分ける規定は置かれていません。したがって注文と受け取りを客が自分で行う形の店も、飲食物を提供する店であれば(3)項の扱いを前提に考えることになります。判断に迷う業態のときは、営業の実態を所轄消防署に伝えて確かめてください。
Q収容人員に数えるのはお客さんの分だけですか?
A消防法施行規則第1条の3第1項は、従業者の数と客席の部分ごとに算定した数を合算すると定めています。厨房やホールで働く人も収容人員に入るので、客席が小さくても従業者が多い店は30人に届くことがあります。実際に勤務している人数で数え直してみてください。
Q自動消火装置を付ければ消火器具は要らなくなりますか?
A消防法施行規則第5条の4の措置が講じられた設備は、消防法施行令第10条第1項第1号ロの火を使用する設備又は器具から除かれます。ただし除かれた店も同項第2号ロの対象なので、延べ面積150平方メートル以上であればやはり消火器具が必要です。面積の小さい店だけが結果として対象から外れることになります。
Qテナントとして入っている場合はどう考えますか?
A一つの建物に複数の用途が入ると、建物全体としては令別表第一(16)項イなどの複合用途防火対象物として扱われます。消防用設備等をどの単位で判定するかは消防法施行令第9条のみなしの規定によるので、棟全体で見る設備と部分ごとに見る設備を分けて確かめる必要があります。複合用途になったときの判定は関連記事で詳しく解説しています。

まとめ

飲食店は令別表第一(3)項ロで待合や料理店は同項イです
収容人員は従業者の数と客席部分の人数を合算して数えます
長いす式のいす席は正面幅を0.5メートルで割った数に置き換えます
固定していない客席は床面積を3平方メートルで割った数になります
収容人員30人以上で防火管理者を定めなければなりません
火を使用する設備を設けた店は面積に関係なく消火器具が必要です
自動火災報知設備は延べ面積300平方メートル以上から必要になります

用途と収容人員から順に見ればよいと分かりました。
まず客席部分の図面を作って数え直します。

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参考・出典

  • 消防法第8条(防火管理者の選任及び届出)第1項及び第2項
  • 消防法第8条の3(防炎防火対象物における防炎対象物品の防炎性能)第1項
  • 消防法施行令別表第一(3)項
  • 消防法施行令第1条の2(防火管理者を定めなければならない防火対象物等)第3項第1号ロ及び第4項
  • 消防法施行令第3条(防火管理者の資格)第1項第2号
  • 消防法施行令第4条の3(防炎防火対象物の指定等)第1項
  • 消防法施行令第9条(複合用途防火対象物の取扱い)
  • 消防法施行令第10条(消火器具に関する基準)第1項第1号ロ及び第2号ロ
  • 消防法施行令第21条(自動火災報知設備に関する基準)第1項第3号イ及び第10号
  • 消防法施行規則第1条の3(収容人員の算定方法)第1項
  • 消防法施行規則第5条の4(防火上有効な措置)
  • 消防法施行規則第6条(大型消火器以外の消火器具の設置)第5項及び第6項

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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