防火対象物点検の日が近づくと、なにを揃えればよいのか分からなくなります。
消防用設備等の点検とは別物だと聞いても、では何が違うのかまでは説明されません。
見られる中身は点検基準として消防法施行規則に書き出されています。
この記事では防火対象物点検の点検基準が並べている項目を条文から解説します。
来月が防火対象物点検なのですが、なにを見られるのか分かりません。
見られる中身は点検基準という名前で省令に並んでいます。
先に読んでおけば当日あわてません。
消防計画を出してあれば大丈夫だと思っていました。
そこが分かれ目です。
条文は出したことと行われていることを別々に並べています。
この記事の結論
- 点検で見られる中身は消防法施行規則第4条の2の6が定めています。(消防法第8条の2の2第1項)
- 基準は号の数でいえば10あり、届出と管理と設置の三方向に分かれています。(消防法施行規則第4条の2の6第1項)
- 消防計画は届け出たうえで適切に行われていることまでが基準です。(同項第2号)
- 避難上必要な施設と防火戸の管理も点検基準のひとつに入っています。(同項第4号)
- 最後の号は市町村長が定める基準なので地域ごとに上乗せがあります。(同項第9号)
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目次
防火対象物点検の点検基準はどこで決まっているのか

消防法が総務省令に投げ、その省令が具体的な項目を書き出しています。
消防法第八条の二の二第一項 第八条第一項の防火対象物のうち火災の予防上必要があるものとして政令で定めるものの管理について権原を有する者は、総務省令で定めるところにより、定期に、(略)防火対象物点検資格者に、当該防火対象物における防火管理上必要な業務、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の設置及び維持その他火災の予防上必要な事項(略)がこの法律又はこの法律に基づく命令に規定する事項に関し総務省令で定める基準(略)に適合しているかどうかを点検させ、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
消防法第8条の2の2第1項は、点検の対象になる事項が総務省令で定める基準に適合しているかどうかを点検させると定めています。
この基準を条文の言葉で点検基準と呼び、中身を書き出しているのが消防法施行規則第4条の2の6です。
つまり点検は建物を漠然と見るのではなく、あらかじめ公開されている項目に照らして合否を出す作業になります。
点検を頼む前に規則第4条の2の6を一度読んでおけば、当日に何を出せばよいかが自分で分かります。
見られる項目が先に決まっているとは知りませんでした。
公開されている項目です。
次はその並びを見ていきましょう。
点検基準にはどんな項目が並んでいるのか

読み通すと届出と管理と設置の三方向に分かれていることが見えてきます。
消防法施行規則第四条の二の六第一項 法第八条の二の二第一項の総務省令で定める基準は、次の各号に掲げるものとする。 一 第三条第一項及び第三条の二第一項の届出がされていること。 一の二 令第四条の二の四に規定する防火対象物にあつては、法第八条の二の五第二項の届出がされていること。 二 防火管理に係る消防計画に基づき、消防庁長官が定める事項が適切に行われていること。 三 (略)その管理について権原が分かれているもの(略)にあつては、消防庁長官が定める事項が適切に行われていること。 四 法第八条の二の四に規定する避難上必要な施設及び防火戸について、適切に管理されていること。 五 (略)使用する防炎対象物品に、法第八条の三第二項、第三項及び第五項の規定に従つて、表示が付されていること。 六 圧縮アセチレンガス、液化石油ガス(略)を貯蔵し、又は取り扱つている場合(略)には、その旨の届出がされていること。 七 消防用設備等又は特殊消防用設備等が、消防庁長官の定めるところにより、法第十七条第一項及び第三項(略)の規定に従つて設置されていること。 八 法第十七条の三の二の規定に基づき、届出を行い、検査を受けていること。 九 前各号に定めるもののほか、法又は法に基づく命令に規定する事項に関し市町村長が定める基準を満たしていること。
第1号は防火管理者の選任と消防計画の届出、第1号の2は自衛消防組織の届出です。
第2号と第3号は消防計画に基づいて実際に行われているかどうか、第4号は避難上必要な施設と防火戸の管理を見ます。
第5号は防炎対象物品の表示、第6号は圧縮アセチレンガス等の届出、第7号と第8号は消防用設備等の設置と設置届および検査です。
最後の第9号が市町村長の定める基準なので、自分の建物にどの号が当たるかを一覧にしておくと準備が早く終わります。
つまり設備の話だけではないのですね。
半分近くが書類と管理の話です。
まず届出から押さえましょう。
届出がされていることまで点検基準に入るのか

実際には届出がされていることそのものが、いくつもの号で基準になっています。
消防法施行規則第四条の二の六第一項 一 第三条第一項及び第三条の二第一項の届出がされていること。 一の二 令第四条の二の四に規定する防火対象物にあつては、法第八条の二の五第二項の届出がされていること。(略) 六 圧縮アセチレンガス、液化石油ガスその他の火災予防又は消火活動に重大な支障を生ずるおそれのある物質(略)を貯蔵し、又は取り扱つている場合(略)には、その旨の届出がされていること。 (略) 八 法第十七条の三の二の規定に基づき、届出を行い、検査を受けていること。
第1号は消防計画と防火管理者の選任解任の届出、第1号の2は自衛消防組織を置く建物での消防法第8条の2の5第2項の届出です。
第6号は圧縮アセチレンガスや液化石油ガスを貯蔵し取り扱う場合の消防法第9条の3の届出を指します。
第8号は消防用設備等を設置したときの消防法第17条の3の2の届出と検査で、設置しただけでは足りません。
届出は過去に出していても控えが見当たらないと確認に時間がかかるので、点検の前に一式をひとつのファイルにまとめておいてください。
前任者が出した届出の控えが見つからない気がします。
先に探しておくのが早いです。
所轄消防署でも受付の記録を確認できます。
実務で見落としやすいのはどこか

第2号は届出の有無ではなく適切に行われていることを基準にしています。
消防法施行令第三条の二第二項 防火管理者は、前項の消防計画に基づいて、当該防火対象物について消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わなければならない。
消防法施行令第3条の2第2項は、防火管理者が消防計画に基づいて訓練の実施や点検整備や火気の監督を行わなければならないと定めています。
点検基準の第2号はこの実施の側を見るので、訓練の記録や自主検査の記録が残っていないと行われているとは判断されにくくなります。
もうひとつの見落としが第9号で、ここは市町村長が定める基準なので同じ規模の建物でも地域によって項目が増えます。
自分の建物を管轄する消防本部の公表資料を先に確認し、上乗せの有無を点検の前に押さえておいてください。
訓練はしていますが記録に残していませんでした。
今日からでも残せます。
日付と参加人数と内容の三つで足ります。
明日からなにを確認すればよいのか

基準に適合すると認められた建物には表示を付けられるので、そこまでを目標にできます。
消防法第八条の二の二第二項 前項の規定による点検(略)の結果、防火対象物点検資格者により点検対象事項が点検基準に適合していると認められた防火対象物には、総務省令で定めるところにより、点検を行つた日その他総務省令で定める事項を記載した表示を付することができる。
まず第1号と第1号の2にあたる消防計画と選任解任と自衛消防組織の届出の控えを集めます。
次に第2号のために訓練と自主検査の記録を日付の入った形で並べ、第4号のために廊下と階段と防火戸まわりを歩いて物件が置かれていないかを見ます。
第5号のカーテンやじゅうたんの防炎表示、第7号と第8号の設置届と検査済みの書類はここで一緒に確認しておきます。
そのうえで第9号の上乗せを所轄消防署に聞けば、点検当日に足りない書類を探し回らずに済みます。
号の順にそろえれば抜けが出ないということですね。
条文の並びが確認表そのものです。
印刷して壁に貼っておくと引き継ぎにも使えます。
よくある質問
Q点検基準に適合していないと認められたらどうなりますか?
A消防法第8条の2の2第2項の表示を付けることができなくなります。適合していると認められた防火対象物に限って表示を付することができると条文が定めているためです。是正したうえで改めて点検を受ける流れになります。
Q消防用設備等の点検と重ならないのですか?
A重ならないように条文で切り分けられています。消防法第8条の2の2第1項のただし書が、消防法第17条の3の3による点検及び報告の対象となる事項についてはこの限りでないと定めています。
Q特例認定を受けていれば点検基準は関係なくなりますか?
A認定の要件そのものに点検基準が出てきます。消防法第8条の2の3第1項第2号ニは、過去3年以内に点検対象事項が点検基準に適合していないと認められたことがないことを要件に挙げています。
Q市町村長が定める基準はどこで調べればよいですか?
A所轄の消防本部または消防署にご確認ください。消防法施行規則第4条の2の6第1項第9号が市町村長の定めに委ねている部分なので、全国一律の内容ではなく地域ごとに決められています。
まとめ
✔点検基準は消防法第8条の2の2第1項が総務省令に委ねたものです。
✔中身を書き出しているのは消防法施行規則第4条の2の6で、号の数でいえば10あります。
✔第1号と第1号の2は消防計画と自衛消防組織の届出を見ます。
✔第2号は計画に基づいて適切に行われていることを基準にしています。
✔第4号は避難上必要な施設と防火戸の管理を点検基準に入れています。
✔第7号と第8号は消防用設備等の設置と設置届および検査までを求めます。
✔第9号は市町村長が定める基準なので所轄消防署への確認が要ります。
まずは届出の控えを一式そろえるところから始めます。
そこがそろえば残りは現場の確認だけです。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2の2第1項・第2項・第8条の2の3第1項・第8条の2の4・第8条の2の5第2項・第8条の3・第9条の3・第17条の3の2・第17条の3の3
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第3条の2第2項・第4条の2の2・第4条の2の4
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条第1項・第3条の2第1項・第4条の2の6
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。




