防火対象物点検報告が必要かどうかは、収容人員と階段の数と用途の組み合わせで決まります。
ところが実際の建物では、事務室や倉庫が売場の上の階にあったり、斜面地に建っていたりと、判定に迷う形が少なくありません。
階段が二以上あれば対象から外れるのか、区画を設ければ点検基準が緩むのかも、条文だけでは読み取りにくい部分です。
質疑応答が示したのは用途と階段と区画をそれぞれの法令の考え方どおりに読み解くという判定の順序です。
うちのスーパーは3階が事務室と倉庫なんですけど、そこも点検の対象になるんですか。
用途の扱い次第で対象に入ります。
階段が2つあれば対象から外れると聞いたんですが。
そこも含めて5つの実務Q&Aを見ていきます。
- 売場の上階の事務室や商品倉庫は主たる用途に供される部分として扱われれば対象になります
- 斜面地に建つ建物でも避難階の直上階に特定用途があれば義務は生じます
- 消防法でいう階段は建築基準法令の階段と同一の概念とされます
- 上の階の非特定用途部分が一階段でも対象から外れる場合があります
- 点検基準が緩む区画は消防法施行令第8条の区画と同様に解してよいとされます
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目次
スーパーマーケットの事務室や商品倉庫は点検の対象になるのか

その階を売場と別の用途として数えるのか、それとも売場と一体で見るのかが判定の分かれ目になります。
事務室や商品倉庫は、それ自体を独立した用途として数えるのではなく、主たる用途に供される部分として売場と同じ扱いになります。その階も特定用途の階として数えることになるという意味です。
そうなると、収容人員が30人を超えていて避難階に直通する階段が1つしかない建物では、特定一階段等防火対象物として点検報告の対象に入ります。
ただし、どの部分が従属的な部分に当たるかは、昭和50年の通達で示された考え方に沿って判断することとされています。用途の判定を先に済ませないと、階段の数だけを見ても答えは出ません。
自分の建物の各階が何の用途として扱われているのかを、まず用途の一覧や過去の届出で確認してください。
倉庫だから別の用途、とは数えないんですね。
まず用途の判定から入ってください。
斜面地に建つ建物でも防火対象物点検報告の義務は生じるのか

避難階の直上階に特定用途があるかどうかで、点検報告の義務の有無が変わってきます。
斜面地に建つ建物では、低い側と高い側のどちらから出入りするかで避難階の位置が変わります。
避難階の直上階に特定用途があるなら、収容人員が300人未満で階段が一つしかない建物でも、点検報告の義務から外れることはありません。
迷いやすいのは、そもそもどの階が避難階なのかという入口の部分です。回答は、判定に疑義が生じたときは特定行政庁と協議して判断するようにと示しています。
斜面地に建物がある場合は、避難階がどこなのかを図面と現地で突き合わせてから、階の数え方を確認してください。
斜面地だと避難階がどこか分かりにくいです。
疑義があれば特定行政庁と協議します。
消防法でいう階段は建築基準法の階段と同じなのか

その「階段」という言葉が、消防法と建築基準法で同じものを指しているのかが問題になります。
消防法令の側で階段を独自に定義しているわけではなく、建築基準法令の考え方をそのまま持ち込むという整理になっています。
つまり、建築確認の図面で階段として扱われているものを数えれば、消防法上の階段の数と食い違いません。別の数え方をする必要はないということです。
それでも、現場では階段と呼べるかどうか判断に迷う造りが出てきます。その場合は特定行政庁と協議して判断するよう示されています。
階段の数が対象の境目にあたる建物なら、建築確認の図面で階段の扱いを確認しておいてください。
消防と建築で数え方が違うわけではないんですね。
建築確認の図面で階段の扱いを確認してください。
上の階が一階段でも点検の対象から外れることがあるのか

下の階に階段が二以上あって、上の階だけ一階段という建物はどう扱われるのでしょうか。
特定一階段等防火対象物の判定は、特定用途がある階から避難階までの階段を見て行います。その階から二以上の階段で避難階に降りられるなら、一階段には当たりません。
上の階が非特定用途で階段が一つしかなくても、その部分は判定に影響しないという整理です。収容人員が30人以上300人未満であっても、対象から外れます。
ただし、回答は問1への参照を付けています。上の階の非特定用途部分が特定用途に従属するとみなされれば、そこも特定用途の階として数え直すことになるためです。
上の階の用途が独立しているのか従属しているのかを、まず用途の判定で切り分けてください。
上の階も足して一階段と数えるのかと思っていました。
非特定用途なら判定には影響しません。
まず用途の従属関係を確かめてください。
点検基準が緩む区画とは消防法施行令第8条の区画と同じなのか

その区画が消防法施行令第8条の区画と同じものを指すのかどうかで、緩和を使えるかが変わります。
点検基準にある区画は独自の基準ではなく、消防法施行令第8条の区画と同じ考え方で読むことになります。
令第8条の区画は、消防用設備等の設置単位を分けるときに使われる区画です。設計や設置届の段階で判断されているはずなので、点検基準の緩和を検討するときに一から作り直す必要はありません。
逆に言えば、令第8条の区画として認められていない仕切りでは、点検基準の緩和は使えないということでもあります。壁があるからよいという話ではありません。
自分の建物に令第8条の区画があるかどうかは、設置届や消防用設備等の設計図で確認してください。
壁で仕切ってあればどれでもよいわけではないんですね。
令第8条の区画に当たるかを図面で確かめてください。
よくある質問
まとめ
うちは売場の上が事務室なので、用途の扱いから確認してみます。
階段の数だけ見ていたら判定を間違えていました。
用途と階段と区画を順に切り分けて
図面と届出で確かめてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 防火対象物定期点検報告制度に関する執務資料について(平成14年12月12日 消防安第122号 防火安全室長から各都道府県消防主管部長あて)
- 令別表第一に掲げる防火対象物の取り扱いについて(昭和50年4月15日 消防予第41号 消防安第41号)
- 消防法第8条の2の2
- 消防法施行令第1条の2・第4条の2の2・第8条
- 消防法施行規則第4条の2の6
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





