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発電機と燃料タンクはどれだけ離せばよいのか|内燃機関を原動力とする発電設備の2メートルと防振の基準を解説

発電機と燃料タンクはどれだけ離せばよいのかを表したアイキャッチ画像

非常用の発電機を機械室や屋上に置いている建物は珍しくありません。
消防用設備等の非常電源として見ている方が多いのですが、火災予防条例の側からも別に基準がかかります。
その入口になるのが内燃機関を原動力とする発電設備という対象火気設備等の一つです。
この記事では発電機と燃料タンクの距離と屋外に置くときの距離と防振の措置を条文から解説します。

うちの機械室の発電機にも消防の基準がかかるのですか。

かかります。
消防用設備等の非常電源としての話とは別の枠だと考えてください。

大きさで決まるのだろうと思っていました。

そこがこの設備の特徴です。
定義のかっこ書きに出力の下限が書かれていません。

この記事の結論
  • 内燃機関を原動力とする発電設備は消防法第9条を受けた火災予防条例の対象火気設備等の一つです。
  • 定義には変電設備や蓄電池設備と違って出力の下限が書かれていません。(省令第3条第17号)
  • 燃料タンクと内燃機関の間には2メートル以上の水平距離か防火上有効な遮へいが要ります。
  • 屋外に置くものは建築物から3メートル以上の距離を保ちます。(同省令第16条第4号)
  • 防振のための措置が講じられた床上又は台上に設けることも求められます。(同省令第12条第7号)

内燃機関を原動力とする発電設備は燃料タンクとの水平距離と建築物からの距離と防振の措置と水が浸入しない位置が求められることをまとめた図解

発電機はどこから消防の規制がかかるのか

事務所の建物とキュービクル式の発電設備と小型の可搬型発電機を並べた図
機械室に置かれた発電機は電気の設備のように見えます。
それでも消防法は火を使う設備の隣に、もう一つの受け皿を用意しています。
対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条 (略) 十六 変電設備(全出力二十キロワット以下のもの及び第二十号に掲げるものを除く。以下同じ。) 十七 内燃機関を原動力とする発電設備 十八 蓄電池設備(蓄電池容量が十キロワット時以下のもの及び(略)を除く。以下同じ。) (略)
出力の下限が書かれていません。
第3条は対象火気設備等を21種類挙げていて、発電設備はその第17号に出てきます。
すぐ前の第16号の変電設備は全出力20キロワット以下のものを除き、次の第18号の蓄電池設備は蓄電池容量10キロワット時以下のものを除いています。
ところが第17号にはそうしたかっこ書きが付いていませんので、大きさで対象から外れる仕組みがありません。
自分の建物の発電機は小さいから関係ないという判断は、この条文からは出てこないと考えてください。

小さい発電機なら関係ないと思っていました。

条文には大きさの線がありません。
まずは銘板で原動機の種類と出力を確かめてください。

小さなガスエンジンだけ別の扱いになるのはなぜか

壁のすぐ横に置いた小型の発電機と壁から離して置いた大型の発電設備を並べた比較
同じ発電設備でも条文の当たり方は一つではありません。
基準の特例を定めた表を見ると、この設備の欄だけが二段に割れています。
同省令第17条 令第五条第三項の規定により、次の表の上欄に掲げる対象火気設備等については、それぞれ同表の下欄に掲げる規定は適用しない。 (略) 内燃機関を原動力とする発電設備/第十六条第四号イに規定するものであって屋外に設けられるもの/令第五条第一項第三号及び第四号並びに(略) 内燃機関を原動力とする発電設備/その他のもの/令第五条第一項第一号、第三号及び第四号並びに(略)
違いは第一号ひとつだけです。
表の上欄が二段に割れているのは、21種類の対象火気設備等のうち内燃機関を原動力とする発電設備だけです。
第16条第4号イは気体燃料を使用するピストン式の内燃機関を原動力とする発電設備で、出力10キロワット未満のもののうち異常が発生した場合に安全を確保するための有効な措置が講じられているものを指します。
これに当たるものを屋外に置くときは、建築物から3メートル以上という第16条第4号の距離が求められません。
そのかわり令第5条第1項第一号の火災予防上安全な距離を保つ規定が残り、その他のものは逆にこの第一号が外れるという作りになっています。

ガスのエンジンかどうかで変わるのですね。

燃料の種類と出力と置き場所の三つで分かれます。
据付図をあわせて用意しておいてください。

燃料タンクと内燃機関はどれだけ離すのか

発電設備と横置きの燃料タンクの間に距離を示す物差しを置いた図
発電機の周りでいちばん問われるのは燃料まわりです。
条文は炉のたき口という言葉を、この設備向けにかっこ書きで読み替えています。
同省令第10条 (略) 三 燃料タンク(液体燃料を使用するものに係るものに限る。(略))とたき口(内燃機関を原動力とする発電設備にあっては、内燃機関。以下同じ。)との間には、二メートル以上の水平距離を保つか、又は防火上有効な遮へいを設けること。ただし、油温が著しく上昇するおそれのない燃料タンクにあっては、この限りでない。
距離か遮へいかの二択です。
たき口という言葉はかっこ書きで内燃機関に読み替えられているので、発電機の本体そのものが距離の起点になります。
求められるのは2メートル以上の水平距離で、それが取れないときは防火上有効な遮へいを設けるという道が用意されています。
かかるのは液体燃料を使うものに係る燃料タンクで、油温が著しく上昇するおそれのないものはただし書で外れます。
同じ第10条は燃料タンクの架台を不燃材料で造ることと、排気筒を防火上有効なものとすることも重ねて求めています。

つまりタンクを離すか遮へいを立てるかですね。

その二択です。
据付図に水平距離を書き込んでおくと検査のときの説明が早くなります。

実務で見落としやすいのはどこか

防振の台に載せて四隅を固定した発電設備と壁の下部に水位の帯を描いた図
距離の話が片づくと安心してしまいがちです。
ところがこの設備には距離とは別の系統の規定がいくつも残っています。
同省令第12条 (略) 四 燃料電池発電設備及び内燃機関を原動力とする発電設備の発電機、燃料タンクその他の機器は、堅固に床、壁、支柱等に固定すること。 (略) 七 内燃機関を原動力とする発電設備にあっては、防振のための措置が講じられた床上又は台上に設けること。 / 同省令第16条 (略) 五 燃料電池発電設備、変電設備、内燃機関を原動力とする発電設備及び蓄電池設備(建築設備を除く。)にあっては、水が浸入し、又は浸透するおそれのない位置に設けること。
揺れと水の二つが盲点です。
第12条第7号は防振のための措置が講じられた床上又は台上に設けよと求めていて、これは発電設備のために置かれた号です。
同じ条の第4号が発電機と燃料タンクその他の機器を堅固に固定せよと重ねて求めているので、防振と固定は別の話として両方が要ります。
第16条第5号の水が浸入し、又は浸透するおそれのない位置という要求は、機械室を地階に置いている建物ほど効いてきます。
点検のときは防振ゴムのへたりと基礎ボルトのゆるみと周囲の排水経路の三つをまとめて見ておくと、あとの手戻りがありません。

防振ゴムを入れてあれば固定は要らないのですか。

号が分かれているので両方が要ります。
防振の台に載せたうえで機器を堅固に固定してください。

明日からなにを確認すればよいのか

点検表を持った担当者とキュービクル式の発電設備と消防署の建物
条文の並びが分かれば確認の順番も決まります。
置くときの手続と、置いたあとの管理の両方を押さえます。
消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条第1項 (略) 十一 対象火気設備等については、必要な点検及び整備を行い、その周囲の整理及び清掃に努める等適切な管理を行うこと。 / 火災予防条例(例)第44条 火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生のおそれのある設備のうち、次の各号に掲げるものを設置しようとする者は、あらかじめ、その旨を消防長(消防署長)に届け出なければならない。 (略) (12) 内燃機関を原動力とする発電設備のうち、固定して用いるもの(第12条第4項に定めるものを除く。)
届出が要るのは固定して用いるものです。
火災予防条例(例)第44条は設置しようとする者にあらかじめの届出を課していて、その(12)がこの発電設備です。
かっこ書きで固定して用いるものに絞られているので、現場へ持ち込んで使う可搬型の発電機はこの号には入りません。
ただし除かれる範囲は同条例第12条第4項に委ねられているため、実際の号は市町村の条例で読む必要があります。
置いたあとは令第5条第1項第十一号の点検と整備と周囲の整理清掃が続くので、消防計画の点検の項目に発電設備を一行足しておくと抜けません。

持ち込みの発電機は届出の対象ではないのですね。

条例(例)の号はそう読めます。
ただし条文は市町村ごとに違うので所轄消防署に確かめてください。

よくある質問

Q発電機の燃料タンクの板厚に決まりはありますか?
Aあります。省令第13条第1号が燃料タンクの容量の区分ごとに板厚を表で定めていて、容量が1,000リットルを超え2,000リットル以下のものなら2.6ミリメートル以上の鋼板又はこれと同等以上の強度を有する金属板で気密に造ることとされています。同じ条はタンク直近の開閉弁とろ過装置と水抜きの構造とさび止めの措置も求めています。
Q屋外に置くときは必ず建築物から3メートル離さなければいけませんか?
Aいいえ。省令第16条第4号にはただし書があり、気体燃料を使用するピストン式で出力10キロワット未満のもののうち安全を確保するための有効な措置が講じられているものと、消防長又は消防署長が火災予防上支障がないと認める構造を有するキュービクル式のもの等の延焼を防止するための措置が講じられているものは、この距離を求められません。
Q消防用設備等の非常電源として届け出ていれば条例の届出は不要ですか?
A根拠が異なる手続です。消防用設備等の届出は消防法第17条の系統で行うものですが、火災予防条例の設置の届出は消防法第9条を受けたものです。一方を出したからもう一方が不要になるという関係にはないので、所轄消防署へまとめて確認してください。
Q屋内に置く燃料タンクの床に決まりはありますか?
Aあります。省令第16条第1号が、液体燃料を使用するものに係る燃料タンクを屋内に設ける場合は不燃材料で造られた床上に設けることとしています。屋外に設ける場合は第14条第1号が、通気管又は通気口の先端から雨水が浸入しないものとすることを求めています。

まとめ

内燃機関を原動力とする発電設備は火災予防条例の対象火気設備等の一つです。
定義に出力の下限が無いので大きさで対象から外れる仕組みがありません。
燃料タンクと内燃機関の間は2メートル以上の水平距離か防火上有効な遮へいです。
屋外に設けるものは建築物から3メートル以上の距離を保ちます。
基準の特例の表で二段に分かれているのはこの設備だけです。
防振のための措置をした床上又は台上に設けたうえで機器を堅固に固定します。
届出の対象は固定して用いるもので可搬型の発電機は含まれません。

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参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第9条・第17条
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条
  • 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第10条・第12条・第13条・第14条・第16条・第17条
  • 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日自消甲予発第73号消防庁長官)第12条・第44条

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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