建物に燃料電池を入れて電気と熱をまかなう計画が増えています。
電気をつくる装置だから消防は関係ないと考えると足元をすくわれます。
消防法はこれを火を使用する設備の側に置いているからです。
この記事では燃料電池発電設備にかかる位置と構造と管理の基準を条文から解説します。
敷地に燃料電池を入れる計画が出てきました。
それは消防法でいう対象火気設備等にあたります。
火を使う設備として基準がかかります。
電気をつくる装置なのに火を使う扱いなのですか。
燃料を改質するときに火を使うものだけが対象です。
まず定義の条文から見ていきましょう。
- 燃料電池発電設備は消防法第9条を受けた火災予防条例の対象火気設備等にあたります。
- 対象になるのは固体高分子型・リン酸型・溶融炭酸塩型・固体酸化物型の4つの方式で火を使用するものに限られます。(省令第3条第12号)
- 屋外に設けるものは建築物から3メートル以上の距離を保つのが原則です。
- 出力10キロワット未満で安全を確保する措置があるものなどはただし書で外れます。(同省令第16条第4号イ)
- 変電設備や蓄電池設備と違って基準の特例が置かれていません。(同省令第17条)
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目次
燃料電池発電設備とは消防法上なにを指すのか

ところが消防法の並びでは火を使う設備の側に入っています。
第3条は対象火気設備等を21種類挙げていて、燃料電池発電設備はその第12号にあります。
かっこ書きは方式を固体高分子型・リン酸型・溶融炭酸塩型・固体酸化物型の4つに限り、そのうえで火を使用するものに限ると書いています。
燃料を改質して水素を取り出す過程で火を使うため、電気の設備でありながら火気設備の側に置かれているわけです。
自分の建物に入る機器がどの方式なのかは、銘板か仕様書で先に確かめておいてください。
方式まで条文で決まっているとは知りませんでした。
火を使わないものはこの条の対象外です。
仕様書の方式名を先に押さえてください。
どの燃料電池発電設備が届出の対象になるのか

届出のほうは条例の届出の条に一覧で並んでいます。
第44条は届出のいる設備を号で列挙していて、燃料電池発電設備は第11号に置かれています。
かっこ書きで第8条の3第2項又は第4項に定めるものが除かれているので、条例の本体でその項を開かないと対象かどうかは決まりません。
届け出るのは設置しようとする者で、時期は設置の前です。
条例(例)はあくまで国が示したひな形なので、号の番号も除外の書きぶりも自分の市町村の条例で確かめてください。
除かれるものがあるとは見落としていました。
小さなものは除外されることがあります。
手元の条例の燃料電池発電設備の条を開いて確かめてください。
屋外に置くときはどれだけ距離を取るのか

条文はその距離まで具体的に決めています。
同じ号には変電設備や蓄電池設備も並んでいて、屋外に置くならいずれも3メートル以上を空けるのが原則になります。
ただし書のイは方式を固体高分子型と固体酸化物型に限ったうえで、出力10キロワット未満で異常時に安全を確保する有効な措置が講じられているものを外しています。
ロはキュービクル式のように延焼を防ぐ措置が講じられていて、消防長又は消防署長が支障がないと認めるものを外しています。
屋内に置く場合は不燃性の床等の上に設けることを要しないという緩和が同省令第6条第2号にあるので、屋外か屋内かで見る条そのものが変わります。
小型のものなら3メートルを空けなくてよいのですね。
ただし書に当たるかは方式と出力と措置で決まります。
配置図に距離を書き込んで所轄と確認してください。
実務で見落としやすいのはどこか

ほかの電気設備と扱いが違うところが残っています。
同省令第12条 (略) 三 燃料電池発電設備、変電設備、内燃機関を原動力とする発電設備及び舞台装置等の電気設備にあっては、その変圧器、コンデンサーその他の機器及び配線は、堅固に床、壁、支柱等に固定すること。 四 燃料電池発電設備及び内燃機関を原動力とする発電設備の発電機、燃料タンクその他の機器は、堅固に床、壁、支柱等に固定すること。
同省令第17条は変電設備や蓄電池設備やネオン管灯設備などについて適用しない規定を表で挙げていますが、燃料電池発電設備は表に出てきません。
火を使用する設備に当たる以上、消防法施行令第5条第1項の条例制定基準が丸ごとかかるという整理です。
そのうえで水が浸入し又は浸透するおそれのない位置に置くこと、機器と配線を堅固に固定することが求められます。
排気筒についても同省令第10条第10号が防火上有効なものとするよう求めているので、機器の本体だけを見て済ませないでください。
ほかの電気設備と同じつもりで見ていました。
特例が無いぶんだけ見る条文が多くなります。
点検のときは排気筒と固定まで見てください。
明日からなにを確認すればよいのか

そこが決まれば見る条が自然に絞れます。
固体高分子型や固体酸化物型なのか、出力が10キロワット未満かどうかで、ただし書に当たるかが変わります。
次に設置場所が屋外か屋内かを決め、屋外なら建築物までの距離を実測して配置図に残します。
そのうえで自分の市町村の火災予防条例を開き、届出の条で燃料電池発電設備の号と除外の書きぶりを見ます。
最後に基礎への固定と排気筒と周囲の排水を点検表に入れて消防計画の点検の項目に加えておきます。
銘板を見に行くところから始めます。
それが一番早い確認です。
方式と出力が分かれば所轄への相談も一度で済みます。
よくある質問
まとめ
電気の設備だと思って見落とすところでした。
火を使う設備という枠を覚えておけば十分です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第9条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第5条
- 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第6条・第10条・第12条・第16条・第17条
- 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日自消甲予発第73号消防庁長官)第8条の3・第44条
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





