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防災管理の教育を受けるのは従業員だけなのか|管理権原者から教育担当者まで消防計画に定める5つの層を解説

研修室の机と椅子が白いスクリーンに向かって並んだ写真に防災管理の教育を受けるのは従業員だけなのかという見出しを重ねたアイキャッチ画像

防災管理の消防計画に教育の欄はあるのに、誰が教えるのかまでは書いていない。
そういう計画は珍しくありません。
条文が求めているのは教育に関することであって、従業員に配る資料の話だけではないからです。
この記事では教育を受ける側が誰なのかを条文と消防庁のガイドラインから整理します

消防計画の教育の欄には、年に一度の講話をすると書いています。
これで足りているのでしょうか。

回数だけでは足りないことが多いです。
ガイドラインは教える側の教育まで消防計画に書くよう求めています。

教える側というのは、わたしのことでしょうか。

防災管理者だけではありません。
現場で教える従業員教育担当者も、その上の管理権原者も対象に入ります。

この記事の結論
  • 消防計画に定める事項の一つが防災管理上必要な教育に関することです
  • ガイドラインは教育を受ける側を5つの層に分けて記載を求めています
  • 管理権原者自身の普段からの教育と自己啓発も記載する対象です
  • パートタイム従業者等の教育体制も消防計画に書く項目として挙がっています
  • 従業員教育担当者が習得すべき専門知識とその修得手段まで定めます

管理権原者も学び防災管理者は講習へ行き教える人を育ててパートにも行き渡らせる流れを並べた図解

防災管理の教育を受けるのは従業員だけなのか

低いビルの右に高さの違う五つの台が並びそれぞれの上に人が一人ずつ立っているイラスト
はじめに、消防計画に教育を書けという定めがどこにあるのかを確かめます。
条文はごく短い一句で、教育の中身も相手も指定していません。
消防法施行規則第51条の8第1項第1号 防災管理に関する基本的な事項として次に掲げる事項
ニ 防災管理上必要な教育に関すること。
条文は相手を限っていません
教育に関することと書いてあるだけなので、誰に何をどうやって教えるかは消防計画を作る側が埋めることになります。
その埋め方の手がかりが、総務省消防庁の大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドラインです。
このガイドラインは教育訓練の章で、教育を受ける側を5つに分けて並べています。
管理権原者・防火防災管理者・自衛消防組織の構成員・従業員・従業員教育担当者の順です。

うちの計画は、従業員への教育しか書いていませんでした。

よくある形です。
まずは計画の教育の欄に、受ける側が何通り書かれているかを数えてみてください。

管理権原者と防災管理者自身の教育はどこまで書くのか

演台に立つスーツの人と白い掲示板があり右の椅子にスーツと作業服の人が座っているイラスト
次に、いちばん上の層から順に見ます。
教育は下へ流すものだと考えると、この二つが抜けます。
消防法施行規則第51条の7第2項 防災管理新規講習は、次に掲げる事項に係る知識及び技能の修得を目的として行うものとし、その講習時間はおおむね4時間30分とする。
一 防災管理の意義及び制度に関すること。
二 防災管理上必要な構造及び設備の維持管理に関すること。
三 避難の訓練その他防災管理上必要な訓練に関すること。
四 防災管理上必要な教育に関すること。
五 消防計画の作成に関すること。
防災管理者は講習で教育の仕方そのものを習っています
第四号がそれで、防災管理新規講習の柱の一つに教育が置かれているという構成です。
ガイドラインはこれを受けて、防火防災管理者の普段からの教育と自己啓発、講習と再講習の受講について消防計画に記載するよう求めています。
さらにその上の管理権原者についても、普段からの教育や自己啓発を記載する項目が立てられています。
消防訓練には必ず参加すること、防災管理者や自衛消防組織の統括管理者と定期的に情報交換を行うことを明確化して書く、という例まで添えられています。

経営層に訓練へ出てくださいとは、なかなか言いにくいです。

だからこそ計画に書いておく意味があります。
個人へのお願いではなく、計画に定めた事項として持っていけます。

従業員への教育はどんな体制で行うのか

受付台の冊子の束を作業服の人が差し出し右に別々の制服を着た人が並んでいるイラスト
ここからが人数のいちばん多い層です。
条文は業務を行えとしか言っていないので、体制の中身はガイドラインで補います。
消防法施行令第48条第1項 防災管理者は、総務省令で定めるところにより、当該防災管理対象物についての防災管理に係る消防計画を作成し、所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。
同条第2項 防災管理者は、前項の消防計画に基づいて、当該防災管理対象物について避難の訓練の実施その他防災管理上必要な業務を行わなければならない
従業員の教育は4つの項目に分かれています
ガイドラインが挙げているのは、教育を受けた従業員教育担当者等による教育体制、従業員への地位と役割に応じた教育、パートタイム従業者等の教育体制、そして防火防災に関する啓発用資料を作成し配布することの4つです。
どれも消防計画に記載すると書かれているので、実施の有無ではなく計画上の定めとして問われます。
とくに落としやすいのがパートタイム従業者等で、勤務時間が短い人ほど訓練の日に居合わせません。
入店時の説明に組み込むのか、掲示で伝えるのかを決めて、計画に書いておいてください。

短時間の勤務の方は、訓練の日にほとんど来られません。
どう伝えればよいでしょうか。

方法までは定めがありません。
ガイドラインが啓発用資料の作成と配布を挙げているので、そこに寄せるのが素直です。

教える側の教育が抜けるとどこでつまずくのか

ホワイトボードの横で作業服の人が指し棒を持ち中央の台に一枚のカードが置かれ右の机で人が冊子を前に座っているイラスト
ここが今回の記事の核です。
教育を担当する人そのものへの教育に、ガイドラインは独立した項目を立てています。
消防法施行令第3条の2第4項 防火管理者は、消防の用に供する設備、消防用水若しくは消火活動上必要な施設の点検及び整備又は火気の使用若しくは取扱いに関する監督を行うときは、火元責任者その他の防火管理の業務に従事する者に対し、必要な指示を与えなければならない。
防災管理の側にはこれに当たる項がありません
防災管理者の責務を定める令第48条は第3項までで終わっていて、業務に従事する者へ指示を与えるという規定は置かれていません。
だから防災管理では、誰が誰に教え、その人がどこで知識を得るのかを消防計画の側で組み立てるほかありません。
ガイドラインが求めているのは、従業員教育担当者が習得すべき専門知識とその修得手段を記載することです。
修得手段として講習受講等が例示されているので、社外の講習に出すのか社内で伝えるのかを計画に落としてください。

担当していた社員が異動したら、教える人がいなくなりました。

個人に付いていた体制だとそうなります。
役職や係で書いておけば、人が代わっても教育体制は残ります。

明日からなにを確かめればよいのか

立てかけたバインダーと開いたとじ込みと予定表が並び右に作業服の人が立っているイラスト
最後に、いまの消防計画を開いてする作業をまとめます。
書き足すことになった場合は、届出の扱いも一緒に確かめてください。
消防法施行規則第51条の8第1項 防災管理者は、令第48条第1項の規定により、建築物その他の工作物の位置、構造及び設備の状況並びにその使用状況等に応じ、おおむね次に掲げる事項について、当該建築物その他の工作物の管理について権原を有する者の指示を受けて防災管理に係る消防計画を作成し、別記様式第一号の二の届出書によりその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。防災管理に係る消防計画を変更するときも、同様とする。
書き足したら届け出るところまでが一続きです
まず教育の欄を開いて、受ける側が5つの層ぶん書き分けられているかを数えてください。
次に教育担当者を役職か係の名で特定し、その人の知識をどこで補うかを一行足します。
パートタイム従業者等への伝え方と、配る啓発用資料を誰が作るかも同じ欄に置きます。
そのうえで、変更にあたるかどうかを所轄消防署に確かめてから届出書を用意してください。

教育の欄に一行足すだけでも、変更の届出は要るのでしょうか。

線引きは所轄の運用によります。
条文は変更するときも同様とだけ書いているので、迷ったら消防署に確かめてください。

よくある質問

Q従業員教育担当者は消防法で置くことが決まっているのですか?
A条文にその名の役職は出てきません。消防計画に定めるのは防災管理上必要な教育に関することで、その体制の作り方をガイドラインが具体化しているという関係です。
Q教育担当者は防災管理者が兼ねてもよいのですか?
A兼任を禁じる定めは見当たりません。ただしガイドラインは教育を受けた担当者等による体制と書いているので、兼ねる場合でも代わりの人を決めておくほうが計画は途切れません。
Q管理権原者の教育まで本当に書くのですか?
Aガイドラインは管理権原者の教育を独立した項目として挙げ、普段からの教育と自己啓発について記載すると書いています。防災講演会への定期的な参加を明確化する例も添えられています。
Q派遣で来ている人にも教育は要るのですか?
A雇用の形で線を引く定めは条文にありません。ガイドラインはパートタイム従業者等の教育体制を挙げているので、建物で働く人に届く形を計画で決めることになります。

まとめ

消防計画に定める事項の一つが防災管理上必要な教育に関することです
ガイドラインは教育を受ける側を5つの層に分けています
防災管理新規講習の柱の一つが教育に関することです
管理権原者自身の普段からの教育と自己啓発も記載する対象です
従業員への教育は地位と役割に応じて書き分けます
パートタイム従業者等の教育体制と啓発用資料の配布も項目です
教育担当者は個人の名ではなく役職や係で計画に書いてください

教育は下へ流すだけのものではないとわかりました。
まずは教育担当者を誰にするか決めます。

そこが決まれば教育体制は書けます。
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参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第8条第1項・第36条第1項
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第3条の2第4項・第46条・第48条
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第51条の7第2項・第51条の8第1項
  • 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)別冊4 教育訓練
  • e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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