地震のとき在館者を建物の外へ出すところまでは、どの建物でも訓練でやっています。
ところが逃げ遅れの有無を誰がどう確かめるのかまで決めている消防計画は多くありません。
自力避難困難者に誰を付けるのかも、当日その場で決められるものではありません。
消防庁のガイドラインは、避難誘導の活動要領に逃げ遅れの確認方法まで書くよう示しています。
訓練では全員を外へ出して点呼までやっています。
これ以上なにを決めておく必要があるのでしょうか。
決めておくのは点呼より前の段階です。
誰がフロアを見て回り、いつ退避するのかという手順です。
車いすの方や足の悪い方も入居テナントにいます。
その方たちの担当は当日その場で決めていました。
それを先に決めておくのが介助要員の指定です。
ガイドラインは支援体制が確立するまでの担当を計画に書かせています。
- 地震の避難誘導は消防法施行規則第51条の8第1項第二号ホが消防計画に定めさせる応急措置の一つです
- 避難先と誘導方法と誘導を開始する時期と誘導を実施する者の四つを定めます
- 誘導時に逃げ遅れの有無をどのように確認するかまで書くようガイドラインが示しています
- 自力避難困難者には支援体制が確立するまでの介助要員をあらかじめ指定します
- 避難誘導路は障害物の除去と照明の確保で事前に確保しておきます
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目次
地震のときの避難誘導は何を決めておくものなのか

地震の被害の軽減に関する事項として、省令が名指しで並べています。
避難先または一次待避の場所、誘導方法、誘導を開始する時期、そして誘導実施者。
このうち抜けやすいのが後ろの二つで、避難経路図は貼ってあるのに「誰がいつ声を出すのか」が空欄という計画をよく見ます。
省令の側は「避難誘導に関すること」としか書いていないので、この四つはガイドラインを見ないと出てきません。
自分の計画を開いて、この四つが文章になっているかを最初に確かめてください。
避難経路図を貼っておけば足りると思っていました。
誰がいつ動くかまで書くものなのですね。
図は経路を示すだけで人を動かしません。
動かすのは活動要領のほうです。
逃げ遅れの有無は誰がいつ確認するのか

確認の方法そのものを計画に書かせている項目があります。
外に出てからの点呼ではなく、担当区画を離れる直前に見て回って確かめる、という組み立てになっています。
書くべきなのは「確認する」という結論ではなく「どのように確認するか」という方法のほうです。
トイレ・更衣室・倉庫・会議室のように扉が閉まる部屋を担当ごとに列挙し、見終わった順に印を付ける、といった手順まで落とすと当日に迷いません。
あわせて、一度避難した人を建物へ戻さないことも同じ項目に書かれているので、避難先での引き止め役も決めておいてください。
忘れ物を取りに戻ろうとする人は実際にいます。
止める係まで決めておくということですね。
戻られると確認した結果が崩れます。
だから確認と引き止めはひと続きの手順として書きます。
自力避難困難者には誰を付けておくのか

ガイドラインは指定という強い言葉を使っています。
「必要に応じて付き添う」ではなく、氏名や役職で特定して計画に書く、という書き方が示されています。
期間の区切りも示されていて、支援体制が確立するまでの担当という位置づけです。
もう一つ見落としやすいのが後段で、支援を受ける本人にあらかじめ情報提供することまで計画に書くよう求められています。
掲示や案内文で「地震のときは誰がどう動くのか」を先に伝えておけば、当日に本人が動けずに待ち続ける事態を減らせます。
本人に先に伝えておくという発想がありませんでした。
伝えておけば本人も準備ができるということですね。
待っている側にも段取りが要ります。
掲示や案内パンフレットへの記載が例として挙げられています。
避難誘導路は本当に通れる状態なのか

だから確保の方法まで計画に書かせています。
2以上の経路を確保したうえで、さらに収容物や非構造部材が壊れても塞がらない経路を1以上確保する、という二段構えになっています。
地震では棚や間仕切りが倒れて廊下を塞ぐので、火災を前提にした経路がそのまま使えるとは限りません。
確保の方法として挙げられているのは障害物の除去と照明の確保で、どちらも平常時にやっておく仕事です。
避難経路図に線を引くだけでなく、その線の上に日ごろ何が置かれているかを一度歩いて確かめてください。
倉庫の前の廊下に段ボールを積んでいる階があります。
あれは避難誘導路の話にもなるのですね。
揺れれば崩れて経路が消えます。
自主検査の巡回ルートに避難誘導路を入れてしまうのが早いです。
明日からなにをすればよいのか

自衛消防組織を置く建物では、書かせている条文がもう一つあります。
まず誘導実施者をフロアや区画ごとに割り付け、代わりに立つ人まで含めて名簿にします。
次に、担当区画のうち扉が閉まる部屋を列挙し、誘導員が退避する直前にそこを見て回る手順を書き足します。
そのうえで自力避難困難者の介助要員を氏名か役職で特定し、本人へ知らせる方法まで書きます。
最後に、決めた誘導路を実際に歩いて障害物と照明を確かめ、訓練でそのとおりに動けるかを試してください。
名簿を作るところから始めればよいのですね。
訓練で試すところまでが一続きだと分かりました。
その順番で形になります。
まずは誘導実施者の一覧を一枚作るところからで十分です。
よくある質問
まとめ
外へ出すところで終わりにしていたと気づきました。
誘導実施者の一覧から作ってみます。
その一枚があるだけで訓練の質が変わります。
消防計画の見直しでお困りでしたら㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第36条第1項
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第45条・第46条・第48条第1項・第49条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第4条の2の10第1項・第51条の8第1項第二号ホ・第51条の10第1項第一号
- 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)本編第2 3⑶ク・別冊4
- e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





