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防災管理の自主検査は建物のどこを見るのか|火災予防の自主検査と分けて定める理由を解説

防災管理の自主検査は建物のどこを見るのか

防災管理の消防計画には、自分たちで建物を見て回る検査を定める欄があります。
火災を出さないための自主検査とは別に、地震に備えて建物と備品の状態を確かめるものです。
どこまで見ればよいのかが分からず、消防用設備等の点検と一緒くたになっている建物は少なくありません。
根拠になる号が別々に立っているので消防計画にも書き分けます

消防計画に自主検査の項目があるのですが、消火器の確認と同じことを書けばよいのでしょうか。
地震のための検査という言い方が引っかかっています。

その引っかかりが正解で、防災管理の自主検査は火災予防の自主検査とは別の号に置かれています。
見る相手も目的も違うので、同じ用紙で済ませてしまうと片方が抜けます。

別の号ということは、書く欄も分けなければいけないのですね。
うちの計画は一冊にまとまっているので不安になってきました。

一冊にまとめること自体は消防局のひな形でも行われているので心配は要りません。
大事なのは冊子の数ではなく、二つの検査が別の項目として残っているかどうかです。

この記事の結論
  • 防災管理の消防計画には地震による被害の軽減のための自主検査を定めます
  • 根拠は消防法施行規則第51条の8第1項第2号ロで見る相手は建築物その他の工作物です
  • 定める建物は消防法施行令第46条が指す防災管理対象物です
  • 火災予防上の自主検査は別の号が定めている別の検査です
  • 実施した状況を書いた書類は防災管理維持台帳に編冊して保存します

防災管理の自主検査で見るところとして建物の状態と備品の固定と結果の記録が並び自主検査の状況は防災管理維持台帳に編冊することを示した図解

防災管理の自主検査とは何を見る検査なのか

建物の横に用紙を持った担当者が立ち背の高いキャビネットが金具で壁につながれているイラスト
防災管理者が作る消防計画の記載事項は、施行規則が号ごとに並べています。
そのうち地震の被害を軽くするための固まりの中に、自主検査が置かれています。
消防法施行規則第51条の8第1項 防災管理者は、令第48条第1項の規定により、建築物その他の工作物の位置、構造及び設備の状況並びにその使用状況等に応じ、おおむね次に掲げる事項について、当該建築物その他の工作物の管理について権原を有する者の指示を受けて防災管理に係る消防計画を作成し、別記様式第一号の二の届出書によりその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。(略) 二 令第45条第一号に掲げる災害(以下この号において「地震」という。)による被害の軽減に関する事項として次に掲げる事項  ロ 建築物その他の工作物についての地震による被害の軽減のための自主検査に関すること。
見る相手は建物そのものです
条文が置いている言葉は建築物その他の工作物であって、消防用設備等でも消火器でもありません。
同じ第2号の中には、資機材の点検整備を定めるハと、家具やじゅう器の落下・転倒・移動の防止措置を定めるニが別に並んでいます。
つまりロが受け持つのは、地震で壊れたり倒れたりしそうな箇所を日頃から自分たちの目で見て回るという部分です。
まずは自分の消防計画を開いて、地震の固まりの中に自主検査という言葉が入っているかどうかを確かめてください。

設備ではなく建物を見る検査だったのですね。
資機材の点検とは別立てになっているのも初めて知りました。

号が分かれているということは、記録も分けて残す前提だという読み方になります。
次はこの義務がどの建物に掛かるのかを見ておきましょう。

どの建物でこの自主検査を定めるのか

背の高い高層ビルに青いチェックマークが付き小さな二階建ての店舗に赤い禁止マークが付いたイラスト
自主検査を定める義務は、防災管理そのものが必要な建物にだけ掛かります。
その範囲は消防法から政令へ、政令からさらに別の条へと送られています。
消防法第36条第1項 第8条から第8条の2の3までの規定は、火災以外の災害で政令で定めるものによる被害の軽減のため特に必要がある建築物その他の工作物として政令で定めるものについて準用する。(略) 消防法施行令第46条 法第36条第1項の政令で定める建築物その他の工作物は、第4条の2の4の防火対象物とする。
入口は防災管理対象物かどうかの一点です
令第46条が指す令第4条の2の4は、自衛消防組織の設置を要する防火対象物を階数と延べ面積で線引きしている条文です。
地階を除く階数が11以上なら延べ面積1万平方メートル以上、5以上10以下なら2万平方メートル以上、4以下なら5万平方メートル以上が目安になり、地下街は延べ面積1000平方メートル以上が対象です。
この線を越えていない建物には防災管理者を置く義務がないので、地震のための自主検査を消防計画に書く義務も生じません。
自分の建物が線の内側かどうかを先に確かめてから、記載事項の話に進んでください。

防火管理の対象かどうかとは別の線が引かれているのですね。
うちは階数と面積の両方で当たっていました。

それなら二つの自主検査が両方とも掛かっている建物です。
どこが違うのかを条文の言葉で並べてみます。

火災予防の自主検査とはどこが違うのか

左に消火器と扉が並び中央の仕切りをはさんで右に金具で固定されたキャビネットが置かれたイラスト
防火管理の消防計画にも自主検査という言葉が出てきます。
条文を並べて読むと、どこがずれているのかがはっきりします。
消防法施行規則第3条第1項 防火管理者は、令第3条の2第1項の規定により、防火対象物の位置、構造及び設備の状況並びにその使用状況に応じ、次の各号に掲げる区分に従い、おおむね次の各号に掲げる事項について(略)防火管理に係る消防計画を作成し(略)届け出なければならない。 一 (略)  ロ 防火対象物についての火災予防上の自主検査に関すること。  ハ 消防用設備等又は法第17条第3項に規定する特殊消防用設備等(以下「特殊消防用設備等」という。)の点検及び整備に関すること。
目的語が入れ替わっています
防火の側は防火対象物についての火災予防上の自主検査で、火が出ないか、出たときに広がらないかという観点で見ます。
防災の側は建築物その他の工作物についての地震による被害の軽減のための自主検査で、揺れたときに壊れないか、倒れないかという観点で見ます。
さらに防火の側は消防用設備等の点検及び整備をハとして分けているので、法定の点検とも自主検査とも別の枠がもう一つあることになります。
大阪市消防局は防火と防災を一冊にまとめた消防計画の作成例を公表していますが、一冊にまとめても項目そのものは別に立てておくのが読み違いを防ぐ書き方です。

火が出ないかを見る目と、倒れないかを見る目は確かに別物ですね。
同じ廊下を歩いても見るところが変わってきます。

まさにその感覚で、一度の見回りで両方を兼ねるなら確認する欄を二つ用意します。
ここでつまずきやすいのが記録の残し方です。

実務で見落としやすいのはどこか

机の上で開かれたバインダーへ担当者が用紙を差し出し右の棚にバインダーが並んでいるイラスト
見て回っただけでは義務を果たしたことになりません。
施行規則は、実施した状況を書いた書類を残すところまでを組み立てています。
消防法施行規則第51条の12第1項 (略)点検を行った結果を防災管理維持台帳(次に掲げるものを編冊したものをいう。)に記録するとともに、これを保存しなければならない。(略) 六 防災管理に係る消防計画に基づき実施される次のイからチまでに掲げる状況を記載した書類  ホ 建築物その他の工作物についての地震による被害の軽減のための自主検査の状況  ヘ 地震による被害の軽減のために必要な設備及び資機材の点検並びに整備の状況  ト 地震発生時における家具、じゅう器その他の建築物その他の工作物に備え付けられた物品の落下、転倒及び移動の防止のための措置の実施の状況
台帳の側でも三つが別々に並んでいます
自主検査の状況がホ、資機材の点検整備の状況がヘ、落下や転倒を防ぐ措置の状況がトという並びで、記載事項の号立てとそのまま対応しています。
ここを一枚の用紙にまとめてしまうと、どの号の実施記録なのかが後から判別できなくなり、防災管理点検の場で説明に手間取ります。
記録に残す最低限は、いつ・どこを・誰が見て・どうだったかの四つで、不備が見つかったときはその後の処置まで書いておくと一本の記録として読めます。
用紙を分けるのが手間なら、一枚の中でを三つに割り、それぞれに号の名前を見出しとして付けておく方法でも構いません。

うちは地震関係をひとまとめの一枚で残していました。
欄を三つに割るところから直してみます。

その直しだけで台帳の見通しがぐっとよくなります。
最後に着手の順番を整理しておきます。

明日からなにをすればよいのか

マス目の並んだ大きな板を担当者が指し示し右の机に小さなカードが三枚立てられているイラスト
自主検査は消防計画に書いてある内容がそのまま物差しになります。
点検の場で確かめられるのも、計画どおりに行われているかどうかです。
消防法施行規則第51条の14 法第36条第1項において準用する法第8条の2の2第1項の総務省令で定める基準は、次に掲げるものとする。(略) 三 防災管理に係る消防計画に基づき、消防庁長官が定める事項が適切に行われていること。
先に開くのは建物ではなく消防計画です
自主検査の項目が地震の固まりの中に立っているかを確かめ、無ければ変更の届出まで見込んで書き足す段取りを組みます。
次に、検査する箇所を建物の実態に合わせて洗い出し、天井や壁の傷み・書棚や自動販売機の固定・通路の上に置いた重い物といった具合に場所ごとに並べます。
そのうえで担当者と実施の時期を決め、記録の用紙を先に作ってから一回目を回すと、防災管理維持台帳へそのまま綴じられます。
実態と計画がずれていると点検の場で助言を受けることになるので、直す順番は計画・記録・現場の順が近道です。

現場を歩く前に計画を直すという順番だったのですね。
今週は計画の目次を洗い出すところから始めます。

その順番なら記録の形も自然に決まります。
書き足す文言で迷ったら所轄消防署に下相談してみてください。

よくある質問

Q自主検査は防災管理者が自分で行わなければなりませんか?
A条文は実施する人を特定していないので、消防計画に定めた体制で行います。防災管理上必要な業務の一部を関係者や従業員以外に委託している建物では、施行規則第51条の8第2項が準用する第3条第2項により、受託者の氏名や住所と業務の範囲及び方法を消防計画に定めることが求められます。誰に任せるかを決めたら計画に反映してください。
Q自主検査はどのくらいの間隔で行えばよいですか?
A施行規則は自主検査の間隔を定めていません。避難訓練のように年1回以上と条文で決められているものとは作りが違い、間隔は消防計画に定めるところによります。建物の規模や使い方に合わせて決め、所轄消防署に相談したうえで計画へ書き込むのが確実です。
Q消防用設備等の法定点検を受けていれば自主検査は不要ですか?
A別のものなので代わりにはなりません。法定の点検が対象にしているのは消防用設備等であるのに対し、施行規則第51条の8第1項第2号ロが対象にしているのは建築物その他の工作物です。見る相手が違うので、どちらか一方をもって他方を省くことはできません。
Q自主検査の記録は何年ぶん残せばよいですか?
A施行規則第51条の12第1項は防災管理維持台帳に記録して保存することを求めていますが、年数までは書かれていません。保存の期間について定めがない以上は捨てる時期も自分では決めにくいので、台帳に綴じたまま残しておくのが安全です。運用の目安は所轄消防署にご確認ください。

まとめ

防災管理の消防計画には地震のための自主検査を定めます
根拠は施行規則第51条の8第1項第2号ロです
見る相手は消防用設備等ではなく建築物その他の工作物です
義務が掛かるのは令第46条が指す防災管理対象物です
火災予防上の自主検査は施行規則第3条第1項第1号ロの別の検査です
実施した状況の書類は防災管理維持台帳へ編冊します
台帳では自主検査と資機材の点検整備と転倒防止措置が別の号です

二つの自主検査を混ぜていた理由がよく分かりました。
まずは消防計画の欄を分けるところから手を付けます。

そこが整えば記録も点検も一本の線でつながります。
消防計画の書き直しや届出でお困りでしたら、㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防法(昭和23年法律第186号)第36条第1項
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の4・第45条・第46条・第48条
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条第1項・第51条の8・第51条の12・第51条の14
  • 大阪市消防局「防火・防災管理に係る消防計画の作成例(ひな形)」
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※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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