大きな店舗の屋上に出ると、遊具や季節の売場や室外機が並んでいることがあります。
ところがその屋上は、もともと避難のための空間として設けることを法令が求めている場所かもしれません。
根拠は消防法ではなく建築基準法施行令の側にあり、階段の本数や幅の計算までひとつづきで決められています。
屋上広場は余った場所ではなく逃げ場として確保された場所です。
うちの店の屋上はずっと資材置き場に使っているのですが、まずかったでしょうか。
その屋上が屋上広場として設けられたものなら話が変わります。
まずどんな建物に義務があるのかから見ていきましょう。
屋上に逃げても行き止まりのような気がしてしまいます。
だからこそ屋上へ通じる階段も2以上求められています。
条文はひとそろいの仕組みとして書かれています。
- 建築基準法施行令第126条第2項は建築物の5階以上の階を百貨店の売場の用途に供する場合について避難の用に供することができる屋上広場を設けなければならないと定めている
- 同条第1項により屋上広場や2階以上の階にあるバルコニーの周囲には安全上必要な高さが1.1メートル以上の手すり壁さく又は金網が必要になる
- 同令第122条第2項は3階以上の階を物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物について各階の売場及び屋上広場に通ずる2以上の直通階段を避難階段又は特別避難階段とすることを求めている
- 階段の幅は同令第124条第1項第1号により床面積が最大の階の100平方メートルにつき60センチメートルの割合で計算し同条第3項では屋上広場は階とみなすとされている
- 消防法第8条の2の4は避難上必要な施設に避難の支障になる物件が放置されないよう管理することを求めており屋上広場の使い方はここにも関わってきます
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目次
百貨店の屋上広場とはなにを指すのか

条文は屋上広場を、手すりで囲うべきものと、避難のために設けるべきものの両面から書いています。
2 建築物の五階以上の階を百貨店の売場の用途に供する場合においては、避難の用に供することができる屋上広場を設けなければならない。
第2項は設けなければならないという書き方をしているので、屋上に空きがあるからついでに使っているという性質のものではありません。
条文が付けている条件は避難の用に供することができるという条件だけで、これが屋上の使い方をずっと縛り続けます。
第1項の手すり壁さく又は金網は、人が屋上へ避難してくることを前提にした墜落防止の規定です。
自分の建物の屋上がこの第2項で設けられたものかどうかを、まず確認申請の図面で確かめてみてください。
屋上広場という名前が図面に書いてあるかどうかで判断すればよいのですね。
図面と実際の使われ方の両方を見るのが確実です。
次はどの建物に義務がかかるのかを整理します。
どの建物に屋上広場を設けなければならないのか

ここで注意したいのは、条文が2つの言葉を使い分けていることです。
二 物品販売業を営む店舗(床面積の合計が千五百平方メートルを超えるものに限る。第百二十二条第二項、第百二十四条第一項及び第百二十五条第三項において同じ。)の用途に供する階でその階に売場を有するもの
屋上広場そのものを求める第126条第2項は百貨店の売場と書き、階段の本数や幅を決める第121条第1項第2号や第122条第2項は物品販売業を営む店舗と書いています。
そして後者には床面積の合計が1,500平方メートルを超えるものに限るというかっこ書きが付いていて、そのかっこ書きは第122条第2項と第124条第1項と第125条第3項にも及ぶと明記されています。
一方で第126条第2項はその読替えの対象として挙げられていないので、屋上広場の設置義務のほうは階数と売場の用途で読むことになります。
自分の建物がどちらの言葉に当てはまるのかを、面積と階数を並べて確かめてみてください。
同じ売場の話なのに条文ごとに言葉が違うのですね。
かっこ書きがどこまで及ぶかが読み分けの鍵になります。
次は階段の側の基準を見ていきましょう。
屋上広場へ通じる階段にはどんな基準があるのか

そこへたどり着く階段の数と幅まで、条文はひとつづきで決めています。
3 前項の直通階段で、五階以上の売場に通ずるものはその一以上を、十五階以上の売場に通ずるものはその全てを次条第三項の規定による特別避難階段としなければならない。
売場と並べて屋上広場が書かれているので、屋上へ通じる経路も2以上用意し、それを避難階段又は特別避難階段にすることが求められます。
幅の側は同令第124条第1項第1号にあり、各階における避難階段及び特別避難階段の幅の合計は、その直上階以上の階のうち床面積が最大の階における床面積100平方メートルにつき60センチメートルの割合で計算した数値以上とされています。
そして同条第3項は屋上広場は階とみなすと書いていて、幅の計算のうえでも屋上が1つの階として扱われます。
階段室の扉が開くかどうかまで含めて、屋上へ上がる経路を実際に歩いて確かめてみてください。
つまり屋上も一階分として数えて幅を出すということですね。
そのとおりです。
ここからは日々の管理で外しやすいところに移ります。
実務で見落としやすいのはどこか

ここからは建築基準法ではなく消防法の側の条文が効いてきます。
この条文の対象は消防法施行令第4条の2の3により別表第一に掲げる防火対象物とされていて、(18)項から(20)項までを除くほぼすべての建物が入ります。
屋上そのものを名指しした語は条文に出てきませんが、屋上広場へ通じる階段や避難口は廊下階段避難口として正面から書かれています。
また消防法施行規則第3条第1項第1号ニは、避難通路避難口安全区画防煙区画その他の避難施設の維持管理及びその案内に関することを消防計画に定めるべき事項として挙げています。
屋上を季節の売場や資材置き場に使っているなら、階段室の前と扉の周りだけでも今日のうちに空けてみてください。
屋上に置いた物が階段の出口をふさいでいたら、そこで引っかかるわけですね。
立入検査でも見られやすいところです。
最後に確認の順番をまとめておきます。
明日からなにを確認すればよいのか

条文の順に見ていけば、どこを見ればよいかは自然に決まります。
はじめに確認申請の図面で、自分の建物に屋上広場が置かれているかと、屋上へ通じる直通階段が2以上あるかを見ます。
次に現場へ上がり、屋上の周囲の手すり壁さく又は金網が途切れていないかと、階段室の扉が実際に開くかを確かめます。
そのうえで屋上に置いてある物を洗い出し、階段室の前や避難の経路にかかっているものから先に外します。
最後に消防計画の避難施設の維持管理及びその案内の欄に屋上広場が書かれているかを見て、抜けていれば追記して所轄消防署へ届け出てください。
図面から入って現場を歩くという順番が分かりやすいです。
図面が見当たらないときは特定行政庁にも相談できます。
迷ったところは所轄消防署に確かめてください。
よくある質問
まとめ
明日の朝いちばんで屋上へ上がって階段室の前から片付けます。
片付けた状態を写真に残しておくと次の点検が楽になります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第121条第1項第2号
- 建築基準法施行令第122条第2項・第3項
- 建築基準法施行令第124条第1項第1号・第3項
- 建築基準法施行令第126条第1項・第2項
- 消防法(昭和23年法律第186号)第8条の2の4
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第4条の2の3
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条第1項第1号ニ
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





