11階建て以上のマンションの一部を、小さな老人ホームやグループホームとして使う建物が増えています。
地階を除く階数が11以上になると、消防法施行令はその建物にスプリンクラー設備を求めます。
ただし消防法施行規則は、居室を区画した建物のために対象から外れる階を用意しています。
用途が住宅と福祉施設だけで居室をきちんと区画すれば十階以下の階が外れます。
うちは12階建てのマンションで、2階に小さなグループホームが入っています。
スプリンクラーは1階から最上階まで全部に必要なのでしょうか。
建物の中身しだいで変わります。
用途が住宅と福祉施設だけで居室を区画していれば、十階以下の階が対象から外れます。
区画すればよいのですね。
その区画には決まった条件があるのでしょうか。
壁と内装と開口部と防火戸と広さの五つが決められています。
消防法施行規則第13条第1項第1号が、その五つをイからホまで順番に並べています。
- 消防法施行令第12条第1項第3号は地階を除く階数が11以上の建物にスプリンクラー設備を求めています
- そこから外れる部分を決めているのが消防法施行規則第13条第1項です
- 第1号と第1号の2は用途が住宅と福祉施設などに限られた建物のための規定です
- 区画の条件は壁の構造と内装と開口部と防火戸と床面積の五つです
- 外れるのは十階以下の階だけで11階以上の階は対象のまま残ります
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目次
11階建て以上の建物にスプリンクラー設備が要るのはどの条文なのか

そこには、外れる部分は総務省令が決めるとだけ書かれています。
令第12条第1項第3号は地階を除く階数が11以上の建物を丸ごとスプリンクラー設備の対象にしたうえで、そこから外れる部分の決め方だけを総務省令に委ねました。
その受け皿が規則第13条第1項で、第1号と第1号の2と第2号の三つが並んでいます。
このうち第2号は小規模特定用途複合防火対象物を扱う号で、用途の割合と面積で決まります。
残る第1号と第1号の2が、居室を区画するという工事でつくり出せる号です。
自分の建物がどれに当たるかは、まず用途の一覧を書き出すところから始まります。
令のほうには外れる部分が書いていないのですね。
どちらの号を見ればよいのか迷いそうです。
建物に入っている用途で見分けられます。
次はどんな用途の組み合わせなら第1号に乗れるのかを見ていきましょう。
十階以下の階が外れるのはどんな建物か

第1号と第1号の2は、そこだけが違います。
どちらの号も対象は令別表第一(16)項イの複合用途防火対象物で、そこに挙がった用途以外の部分が存在しないことを求めています。
第1号が認めるのは(5)項ロの共同住宅と、(6)項ロ及びハの福祉施設だけです。
第1号の2はここに(5)項イのホテルや旅館が加わります。
つまり事務所や店舗が一区画でも入っていれば、どちらの号にも乗れません。
建物の用途一覧に住宅と福祉施設以外の行が無いかどうかを、先に確かめてください。
1階にコンビニが入っている建物は、もう当てはまらないということですか。
思ったより入口が狭いのですね。
そのとおりで、用途がひとつ増えるだけで外れます。
入口を通った建物には、次に区画の条件がかかります。
準耐火構造の壁でも区画として認められるのか

なかでも壁の造りがこの号の特徴です。
イは居室を準耐火構造の壁及び床で区画することを求め、三階以上の階に存する場合だけ耐火構造まで引き上げます。
ロは内装で、地上に通ずる主たる廊下は準不燃材料、その他の部分は難燃材料と決まっています。
ハは開口部で、合計8平方メートル以下と一の開口部4平方メートル以下の両方を満たす必要があり、ニはその開口部に設ける防火戸の条件です。
ホは広さで、区画された部分は全て床面積100平方メートル以下でなければなりません。
図面を開いたら、この五つを順番に赤ペンで潰していくのが早道です。
広い部屋を一つ残しているだけでも外れてしまうのですね。
床面積の条件がいちばん厳しそうです。
広さは区画ごとに見るので、集会室のような大部屋が要注意です。
次は第1号の2との違いを押さえておきましょう。
第1号と第1号の2で条件はどう変わるのか

差が出るのは壁と防火戸と広さの数え方です。
第1号は準耐火構造でよかった壁が、第1号の2では階を問わず耐火構造になります。
防火戸も第1号は三階以上の階だけが特定防火設備でしたが、第1号の2は最初から特定防火設備である防火戸に限られます。
広さの数え方も違い、第1号は区画された部分全てを見るのに対し、第1号の2は(5)項イと(6)項ロ及びハの各独立部分を見ます。
どちらの号で説明するかによって求められる工事が変わるので、先に号を決めてから設計に入ってください。
同じ区画に見えても、根拠にする号で工事の中身が変わるのですね。
うちはホテルが無いので第1号でよさそうです。
その見立てで合っています。
最後に、現場で確かめる順番をまとめておきましょう。
明日からなにを確かめればよいのか

とくに防火戸は現場でしか確かめられません。
まず用途一覧を出し、住宅と福祉施設以外の行が無いことを確かめます。
次に平面図で区画の線を追い、開口部の寸法と各区画の床面積を書き込みます。
最後に現場で防火戸を見て、煙感知器の作動と連動して閉まる仕掛けになっているかを確かめます。
ここまで揃えば、届出や点検結果報告のときに根拠を自分の言葉で説明できます。
判断に迷う点が残ったら、図面を持って所轄消防署に相談してください。
用途と区画と防火戸の順番なら、私にも回れそうです。
まずは平面図を出してきます。
図面に条件を書き込んでおけば、次の点検でもそのまま使えます。
記録として残しておくことをおすすめします。
よくある質問
まとめ
用途一覧と平面図を並べて、十階以下の階から順に確かめます。
根拠が残っていれば説明できます。
区画の判定に迷う建物があれば㈱防災屋でもご相談を承っております。
参考・出典
- 消防法第17条第1項(消防用設備等の設置及び維持)
- 消防法施行令第12条第1項第3号(スプリンクラー設備を設置する防火対象物)
- 消防法施行令別表第一(防火対象物の用途区分)
- 消防法施行規則第13条第1項第1号(スプリンクラー設備を設置することを要しない階の部分)
- 消防法施行規則第13条第1項第1号の2(スプリンクラー設備を設置することを要しない階の部分)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。




