消防計画は一度作って届け出れば、それで終わりだと思われがちです。
ところが条文をよく読むと、作成と届出を義務づけた一文のすぐ後ろに短い一行が続いています。
テナントが入れ替わっても組織が変わっても古い計画のままにしていると、この一行に引っかかります。
変更の届出は作成の届出とまったく同じ重さで義務づけられています。
消防計画は前の担当者が出したきり、一度も触っていないのですが大丈夫でしょうか。
まさにそこが今日の話です。
条文には変更するときも同様とすると書かれています。
模様替えくらいなら出し直さなくてよいと聞いた覚えがあります。
境目は条文が挙げた事項が動いたかどうかです。
ひとつずつ確かめていきましょう。
- 消防法施行規則第3条第1項は消防計画の作成と届出を定めたうえで、防火管理に係る消防計画を変更するときも同様とすると続けている
- 届出に使うのは作成のときと同じ別記様式第1号の2で、出す先は所轄消防長又は消防署長になる
- 変更にあたるかどうかの手がかりは、条文が消防計画に定めよと挙げたイからヲまでの事項が実態と食い違ったかどうかにある
- 防火管理者そのものが代わったときは消防法第8条第2項の選任又は解任の届出が別に必要になるので二本立てで考える
- 防火管理業務の一部を外部に委託している建物では受託者の氏名及び住所まで消防計画に定めるため、委託先が変われば計画も動く
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目次
消防計画の変更の届出とはどんな義務なのか

その義務を書いた条文は、作成の話だけで終わっていません。
同様とするという言い方は、前の文の義務がそっくりそのまま働くという意味になります。
つまり管理権原者の指示を受けて計画を直すところから、様式を使って届け出るところまでが同じように求められます。
変更のときだけ簡略な扱いになるとは書かれていません。
まずは手元の消防計画に、いつ届け出たものかを示す受付の記録が残っているかを確かめておいてください。
作ったときと同じ手間がかかると考えればよいのですね。
そのとおりです。
次は何が動いたら変更にあたるのかを見ていきましょう。
どんなことが起きたら消防計画を変更するのか

条文が消防計画に定めよと挙げた事項が、そのまま判断の物差しになります。
たとえばイの自衛消防の組織は、班の編成や班長が代わればそのまま計画の記載と食い違います。
ニの避難施設は、間仕切りを立てて避難通路の取り方が変われば書き直しの対象になります。
ヘの定員の遵守は、席数や売場の構成を組み替えたときに効いてきます。
条文の柱書が位置、構造及び設備の状況並びにその使用状況に応じと書いていることからも、使い方が変われば計画も動くという構えが読み取れます。
組織図を差し替えただけのつもりでも、計画の中身が動いていたわけですね。
自衛消防の組織は条文のいちばん最初に置かれた事項です。
人事異動のたびに見直す癖をつけてください。
変更の届出はどこへどうやって出すのか

迷いやすいのは、誰に出すのかという相手先のほうです。
使う用紙は施行規則が名指しした別記様式第1号の2で、変更のための別の様式が用意されているわけではありません。
出す相手は所轄消防長又は消防署長ですが、規則の括弧書きは消防本部を置かない市町村においては市町村長と読み替えると定めています。
届け出るのは防火管理者であって、管理権原者ではない点も条文のとおりです。
提出の部数や添付を求める運用は市町村ごとに違うことがあるので、出す前に所轄消防署の窓口に確かめておくと二度手間になりません。
つまり作成のときに使った用紙をもう一度書けばよいということですね。
そのとおりです。
控えに受付印をもらって保管しておくと、あとで確認するときに助かります。
防火管理者が代わったときの届出とはどう違うのか

消防計画の変更と防火管理者の交代は、条文の根っこから別のものになります。
消防法施行規則第三条の二第一項 法第八条第二項の規定による防火管理者の選任又は解任の届出は、別記様式第一号の二の二による届出書によつてしなければならない。
消防計画の届出は防火管理者が出すもので、選任又は解任の届出は管理権原者が出すものです。
様式も別記様式第1号の2と別記様式第1号の2の2で分かれており、選任の届出には資格を証する書面を添えることとされています。
そして罰則の側を見ると、消防法第44条第8号が届出を怠った者として挙げているのは第8条第2項であって、消防計画の届出はそこに並んでいません。
ただし業務が法令の規定や消防計画に従って行われていないと認められれば第8条第4項の措置命令が出せ、その命令に違反した者は消防法第41条第1項第2号により1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金とされていますので、放置してよいという話にはなりません。
担当者が代わったら二種類の書類を考えないといけないのですね。
選任の届出と、計画に書いた名前の直しの両方です。
片方だけで済ませてしまう例がとても多いところです。
明日からなにを確かめればよいのか

どちらも消防計画の中身を外側の事情に結び付けている規定です。
同条第三項 その管理について権原が分かれている防火対象物にあつては、当該防火対象物の防火管理者は、第一項の消防計画に、当該防火対象物の当該権原の範囲を定めなければならない。
まず委託契約の相手先や業務の範囲が変わっていないかを、契約書と消防計画を並べて突き合わせてください。
次にテナントの入替えや区画の貸し方が変わっていないかを見て、権原の範囲の記載が今の実態と合っているかを確かめます。
そのうえで自衛消防の組織の名簿と、避難通路の取り方と、定員の考え方の三点を順に見ていくと、直すべき箇所がはっきりします。
直したら計画を差し替えて別記様式第1号の2で届け出て、最後に従業員へ周知するところまでを一組の作業として進めてください。
契約書と消防計画を並べて見るという発想がありませんでした。
受託者の氏名と住所まで書けと条文が求めているためです。
今日のうちに契約書の相手先だけでも見ておいてください。
よくある質問
まとめ
出し直す場面がはっきりしたので、今の計画を見直してみます。
まずは自衛消防の組織の名簿から確かめてみてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第8条第1項・第2項・第4項
- 消防法第41条第1項第2号
- 消防法第44条第8号
- 消防法施行令第3条の2第1項
- 消防法施行規則第3条第1項・第2項・第3項
- 消防法施行規則第3条の2
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





