機械室の図面を開くと見慣れない名前の設備が載っていることがあります。
屋内消火栓設備でもスプリンクラー設備でもなく、消防用設備等の一覧のどこにも出てきません。
点検の見積書だけが毎年届き、根拠になっている条文は誰も説明してくれません。
この記事では通常の消防用設備等に代えて用いる特殊消防用設備等を条文から解説します。
設備の一覧に載っていない名前が図面にあります。
それは特殊消防用設備等かもしれません。
普通の設備とは別の条文で動いています。
勝手に別のものを付けてよいものなのでしょうか。
国の認定を受けたものだけが代わりになれます。
順に見ていきましょう。
この記事の結論
- 特殊消防用設備等は通常の消防用設備等に代えて用いることができる設備です。(消防法第17条第3項)
- 代わりに使えるのは総務大臣の認定を受けたものに限られます。(消防法第17条第3項)
- 認定の前に日本消防検定協会か登録を受けた法人の性能評価を受けます。(消防法第17条の2第1項)
- 認定の土台になるのが設備等設置維持計画で記載事項は9つです。(消防法施行規則第31条の3の2)
- 点検の期間も報告の期間もこの計画に書いた期間で決まります。(消防法施行規則第31条の6第2項)
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目次
特殊消防用設備等とはどんな設備なのか

その並びに無い設備を代わりに置いてよいと定めた項が、消防法の中にあります。
消防法第十七条第三項 第一項の防火対象物の関係者が、同項の政令若しくはこれに基づく命令又は前項の規定に基づく条例で定める技術上の基準に従つて設置し、及び維持しなければならない消防用設備等に代えて、特殊の消防用設備等その他の設備等(以下「特殊消防用設備等」という。)であつて、当該消防用設備等と同等以上の性能を有し、かつ、当該関係者が総務省令で定めるところにより作成する特殊消防用設備等の設置及び維持に関する計画(以下「設備等設置維持計画」という。)に従つて設置し、及び維持するものとして、総務大臣の認定を受けたものを用いる場合には、当該消防用設備等(略)については、前二項の規定は、適用しない。
消防法第17条第1項は、政令で定める技術上の基準に従って消防用設備等を設置し維持することを関係者に義務づけています。
その消防用設備等の種類は消防法施行令第7条が定めており、消火設備と警報設備と避難設備、それに消防用水と消火活動上必要な施設に分かれます。
第3項はこの並びに無い設備であっても、同等以上の性能があり、設備等設置維持計画に従って設置し維持するものとして総務大臣の認定を受けたものなら代わりに用いてよいとしています。
認定を受けた特殊消防用設備等を用いる部分については、第1項と第2項の規定が適用されません。
図面や届出書に見慣れない設備名があったら、まずこの第3項の認定を受けたものかどうかを確かめてください。
政令の一覧に無くても置けるのですね。
ただし認定という関門が付いています。
次はその受け方を見ましょう。
総務大臣の認定はどうやって受けるのか

先に通らなければならない手続が条文で決められています。
消防法第十七条の二 前条第三項の認定を受けようとする者は、あらかじめ、日本消防検定協会(略)又は法人であつて総務大臣の登録を受けたものが行う性能評価(略)を受けなければならない。
消防法第17条の2第1項は、認定を受けようとする者はあらかじめ性能評価を受けなければならないとしており、これを行うのは日本消防検定協会か総務大臣の登録を受けた法人です。
評価の申請には設備等設置維持計画その他総務省令で定める書類を添え、評価が終わると評価結果が申請者へ通知されます(同条第2項・第3項)。
評価結果の通知を受けた者は、設備等設置維持計画と評価結果を記載した書面を添えて総務大臣に申請します(消防法第17条の2の2第1項)。
総務大臣はその書面により、通常設置し維持しなければならない消防用設備等と同等以上の性能を有しているかどうかを審査し、有していると認めるときは認定をしなければなりません(同条第2項)。
認定しようとするときは関係消防長又は関係消防署長へ通知され、消防長側は認定に関し意見を申し出ることができます(同条第3項)。
試験を通ってから国へ出すという流れですか。
そのとおりです。
提案を受けたらどちらまで済んでいるか聞いてみてください。
設備等設置維持計画にはなにを書くのか

何を書くのかは省令が一つずつ挙げています。
消防法施行規則第三十一条の三の二 法第十七条第三項に定める設備等設置維持計画には、次の各号に掲げる事項について記載するものとする。
一 防火対象物の概要に関すること。
二 消防用設備等の概要に関すること。
三 特殊消防用設備等の性能に関すること。
四 特殊消防用設備等の設置方法に関すること。
五 特殊消防用設備等の試験の実施に関すること。
六 特殊消防用設備等の点検の基準、点検の期間及び点検の結果についての報告の期間に関すること。
七 特殊消防用設備等の維持管理に関すること。
八 特殊消防用設備等の工事及び整備並びに点検に従事する者に関すること。
九 前各号に掲げるもののほか、特殊消防用設備等の設置及び維持に関し必要な事項に関すること。
消防法施行規則第31条の3の2は記載事項を9つ並べており、建物の概要と消防用設備等の概要から始まって、特殊消防用設備等の性能と設置方法と試験の実施へ進みます。
第六号は点検の基準だけでなく、点検の期間と点検の結果についての報告の期間まで計画の中で決めさせています。
第七号は維持管理を、第八号は工事と整備と点検に従事する者を書かせるので、誰が触ってよい設備なのかも計画に現れます。
一般の消防用設備等なら省令や告示を見れば分かることが、特殊消防用設備等では計画を見ないと分かりません。
維持台帳の中に計画の写しがあるかどうかを、まず探してみてください。
点検のやり方まで計画に書いてあるのですね。
だから計画の写しが手元に要るのです。
ここが落とし穴にもつながります。
実務で見落としやすいのはどこか

計画から外れた状態が続くと、認定そのものが揺らぎます。
消防法第十七条の二の三 総務大臣は、第十七条第三項の規定による認定を受けた特殊消防用設備等について、次の各号のいずれかに該当するときは、当該認定の効力を失わせることができる。
一 偽りその他不正な手段により当該認定又は次項の承認を受けたことが判明したとき。
二 設備等設置維持計画に従つて設置され、又は維持されていないと認めるとき。
2 第十七条第三項の規定による認定を受けた者は、当該認定に係る特殊消防用設備等又は設備等設置維持計画を変更しようとするときは、総務大臣の承認を受けなければならない。ただし、総務省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
まず点検の周期です。通常の消防用設備等は1年以内で消防庁長官が定める期間ごとに点検しますが(消防法施行規則第31条の6第1項)、特殊消防用設備等は計画に定める点検の期間ごとになります(同条第2項)。
報告の期間も同じで、同条第3項ただし書により計画に定める報告の期間ごとに消防長又は消防署長へ報告します。
次に変更です。設備や計画を変えようとするときは総務大臣の承認が要り、総務省令で定める軽微な変更のときは消防長又は消防署長へ届け出ます(消防法第17条の2の3第2項・第4項)。
計画どおりに設置され又は維持されていないと認められれば認定の効力を失わせることができ、消防長又は消防署長は計画に従って設置すべきことや維持のため必要な措置を命ずることができます(消防法第17条の4第2項)。
なおパッケージ型消火設備のように消防法施行令第29条の4で消防長又は消防署長が認めるものは別の仕組みで、特殊消防用設備等とは判断する人も条文も違います。
改修のついでに手を入れるのは危ないということですか。
触る前に計画と照らし合わせてください。
最後に手元で確かめる順番をまとめます。
明日からなにを確認すればよいのか

手がかりは届出のときに添えた書類のほうにあります。
消防法施行規則第三十一条の三第一項 法第十七条の三の二の規定による検査を受けようとする防火対象物の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等の設置に係る工事が完了した場合において、その旨を工事が完了した日から四日以内に消防長又は消防署長に別記様式第一号の二の三の届出書に、次の各号に掲げる区分に応じて、当該各号に定める書類を添えて届け出なければならない。(略)二 特殊消防用設備等 当該設置に係る特殊消防用設備等に関する図書で前号イ及びロに掲げるもの、設備等設置維持計画並びに特殊消防用設備等試験結果報告書
消防法施行規則第31条の6第3項は、設置の届出に係る書類の写しや検査済証などを編冊したものを維持台帳と呼び、点検の結果をここに記録するよう求めています。
その中の設置届に設備等設置維持計画と特殊消防用設備等試験結果報告書が添えられていれば、その建物には特殊消防用設備等が入っています。
工事の前に出す着工届のほうにも、計画と評価結果を記載した書面、認定を受けた者であることを証する書類が付きます(消防法施行規則第33条の18第2号)。
東京消防庁は消防用設備等(特殊消防用設備等)設置計画届出書について、工事に着手しようとする10日前までに管轄消防署へ届け出るとしています。
まず維持台帳を開いて計画の写しがあるかを探し、あればその第六号に書かれた点検の期間と報告の期間を控えておいてください。
台帳をめくれば自分の建物のことが分かるのですね。
見当たらなければ所轄消防署に相談してください。
写しを取り寄せるところから始まります。
よくある質問
Q自分の建物に特殊消防用設備等が入っているか確かめる方法はありますか?
A消防法施行規則第31条の6第3項の維持台帳を開いてください。同規則第31条の3第1項第2号により、特殊消防用設備等の設置届には設備等設置維持計画と特殊消防用設備等試験結果報告書が添えられます。台帳の中にこの二つが見当たらないときは、所轄消防署にご確認ください。
Qパッケージ型消火設備も特殊消防用設備等に当たりますか?
A別の仕組みです。消防法施行令第29条の4第1項は、通常用いられる消防用設備等に代えて消防長又は消防署長が防火安全性能を同等以上と認める設備等を用いることができるとしています。特殊消防用設備等は消防法第17条第3項により総務大臣が認定するものなので、拠りどころにする条文も判断する人も異なります。
Q設備を少し変えるだけでも総務大臣の承認が要りますか?
A消防法第17条の2の3第2項は、認定に係る特殊消防用設備等又は設備等設置維持計画を変更しようとするときは総務大臣の承認を受けなければならないと定めています。ただし総務省令で定める軽微な変更は除かれ、その場合は同条第4項によりその旨を消防長又は消防署長に届け出ます。どちらに当たるかの判断は所轄消防署にご確認ください。
Q点検や報告の周期は通常の消防用設備等と同じですか?
A同じとは限りません。消防法施行規則第31条の6第1項は通常の消防用設備等の点検を1年以内で消防庁長官が定める期間ごととしていますが、同条第2項は特殊消防用設備等の点検を計画に定める点検の期間ごととしています。報告も同条第3項ただし書により計画に定める報告の期間ごとです。
まとめ
✔特殊消防用設備等は通常の消防用設備等に代えて用いることができます。
✔根拠は消防法第17条第3項です。
✔認定するのは消防長ではなく総務大臣です。
✔その前に性能評価を受けます。
✔計画の記載事項は消防法施行規則第31条の3の2に並びます。
✔点検と報告の期間は設備等設置維持計画で決まります。
✔計画から外れると認定の効力を失うことがあります。
あわせて読みたい
今日のうちに維持台帳を出してきます。
それだけで次の点検の話が変わります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条第1項・第2項・第3項・第17条の2・第17条の2の2・第17条の2の3・第17条の3の2・第17条の4第2項・第17条の14
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第7条・第29条の4
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の3・第31条の3の2・第31条の6・第33条の18
- 総務省消防庁「平成30年版 消防白書」消防用設備等に係る技術基準の性能規定
- 東京消防庁「消防用設備等(特殊消防用設備等)設置計画届出書」
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





