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消防用設備等の点検は自分でやってもよいのか|消防設備士等に頼まなければならない建物の基準を解説

消防用設備等の点検を自ら行えるか消防設備士等に依頼するかの判断を示したアイキャッチ画像

消防用設備等の点検は業者に頼むものだと思われがちです。
ところが消防法は建物によっては関係者が自ら点検することを前提に書かれています。
どちらになるかは用途と延べ面積と階段の数で決まります。
この記事では消防法施行令第36条第2項が定める4つの区分を条文に沿って解説します。

うちは小さな事務所ビルなのですが点検も業者に頼まないと違反になりますか。

点検そのものは省けませんが誰が点検するかは建物ごとに違います。
事務所は消防署の指定が無ければ自ら点検してよい側に入ります。

指定されているかどうかは どこを見ればわかるのでしょうか。

指定は消防長又は消防署長が行うので所轄消防署に確かめるのが早いです。
建物の用途と延べ面積を控えてから問い合わせてください。

この記事の結論
  • 消防法は消防設備士等に点検させる建物とそれ以外で自ら点検する建物を分けています。(消防法第17条の3の3)
  • 百貨店や飲食店などの特定用途は延べ面積が1,000平方メートル以上になると消防設備士等の点検になります。(消防法施行令第36条第2項第1号)
  • 事務所や共同住宅は同じ面積でも消防長又は消防署長の指定を受けたものだけが対象です。(消防法施行令第36条第2項第2号)
  • 階段が実質1つしかない建物は延べ面積を問わず消防設備士等の点検になります。(消防法施行令第36条第2項第3号)
  • 二酸化炭素を放射する全域放出方式の設備がある建物も面積に関係なく対象です。(消防法施行規則第31条の6の2)

消防用設備等の点検を自ら行えるか消防設備士等に依頼するかを判断する流れを示した図解

消防用設備等の点検は誰が行うことになっているのか

事務所ビルとクリップボードを持って自ら点検する関係者
出発点は消防法の本体にあります。
点検の義務そのものと 誰が点検するかが同じ条文の中に書かれています。
消防法第17条の3の3
第17条第1項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(略)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
条文は2つの道を並べています。
一方が消防設備士等に点検させる建物で もう一方が関係者が自ら点検する建物です。
どちらに入るかを決めているのが消防法施行令第36条第2項で ここに第1号から第4号まで4つの区分が並んでいます。
なお点検そのものが要らない防火対象物は同条第1項の(20)項すなわち舟車だけで それ以外の建物はすべて点検の対象です。
まず自分の建物がどちらの道に入るのかを確かめるところから始めてください。

自ら点検してよいというのは 誰がやってもよいという意味ですか。

条文が求めているのは関係者が自ら点検して報告することです。
点検の方法と報告書の様式は消防庁長官が定めているので それに沿って行う必要があります。

消防設備士等に点検させなければならないのはどんな建物か

大きな店舗ビルと工具を持った有資格の点検者
まず第1号が正面から並べている用途があります。
不特定多数の人が出入りする建物が中心です。
消防法施行令第36条第2項第1号
別表第一(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ、(16の2)項及び(16の3)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの
特定用途は面積だけで自動的に決まります。
劇場や飲食店や物品販売店舗 旅館やホテル 病院や社会福祉施設 それに地下街と準地下街が並んでいて 延べ面積が1,000平方メートル以上なら例外なく消防設備士等の点検になります。
ここには消防署の判断が入る余地がありません。
複合用途の建物のうち特定用途を含む(16)項イも同じ列にあるので テナントに飲食店が入っている雑居ビルはこちらで読むことになります。
自分の建物の用途区分と延べ面積を確認して この列に載っていればもう業者に依頼する側だと考えてください。

テナントの飲食店だけで見れば小さいのですが 建物全体で数えるのですか。

条文は防火対象物の延べ面積と書いているので棟の全体で見ます。
テナントの床面積だけで判断しないでください。

事務所や共同住宅はなぜ指定されるまで自ら点検してよいのか

事務所ビルと共同住宅の前で書類を確かめる関係者
第2号は第1号と面積の線は同じです。
違うのは末尾に条件がもう1つ付いている点です。
消防法施行令第36条第2項第2号
別表第一(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項まで、(16)項ロ、(17)項及び(18)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもののうち、消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するもの
面積を満たしても指定がなければ自ら点検できます。
ここに並ぶのは共同住宅や寄宿舎 学校 図書館 事務所 工場 倉庫 神社仏閣といった非特定用途の建物です。
不特定多数が出入りしないぶん第1号より緩く組まれていて 消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定したものだけが有資格者の点検に切り替わります。
指定の基準は市町村ごとに火災予防規程などで定められていることが多く 建物の側からは公表資料や所轄消防署への照会で確かめることになります。
指定を受けているかどうかを確かめないまま自ら点検を続けると 気づかないうちに資格要件を外していることがあります。

指定されたときは通知が来るものなのでしょうか。

取扱いは市町村で異なるので消防法令からは一律に言えません。
立入検査の機会に指定の有無を聞いて記録に残しておくのが確実です。

延べ面積が小さくても消防設備士等の点検になる建物はあるのか

階段が1つだけの小さな建物と二酸化炭素消火設備のボンベ室
第3号と第4号には面積の線がありません。
ここを見落とすと小さな建物で判断を誤ります。
消防法施行令第36条第2項第3号
前二号に掲げるもののほか、別表第一(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項又は(9)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が避難階以外の階に存する防火対象物で、当該避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段が二(当該階段が屋外に設けられ、又は総務省令で定める避難上有効な構造を有する場合にあつては、一)以上設けられていないもの
階段の数だけで有資格者の点検に変わります。
2階に飲食店が入っていて上へ通じる屋内階段が1つしかない建物は これに当たるので延べ面積が小さくても消防設備士等の点検になります。
第4号はさらに用途も面積も問わず 消防法施行規則第31条の6の2が二酸化炭素を放射する全域放出方式の不活性ガス消火設備が設置されているものを名指ししています。
駐車場や電気室にこの設備を持つ建物は それだけで有資格者の点検が必要になります。
階段の数と消火設備の種類は図面を見れば確かめられるので 用途と面積だけで結論を出さないでください。

屋外に付いている非常階段でも 階段の数に入れてよいのですか。

条文は屋外に設けられた階段なら1つで足りると書いています。
屋内だけなら2つ必要になるので図面で位置を確かめてください。

明日から何を確認すればよいのか

平面図と電話で用途と面積を確かめる関係者
誰が点検するかが決まれば次は期限です。
点検の間隔と報告の間隔は別々に定められています。
消防法施行規則第31条の6
法第17条の3の3の規定による消防用設備等の点検は、種類及び点検内容に応じて、一年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行うものとする。
3 防火対象物の関係者は、(略)維持台帳に記録するとともに、次の各号に掲げる防火対象物の区分に従い、当該各号に定める期間ごとに消防長又は消防署長に報告しなければならない。
一 令別表第一(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(16)項イ、(16の2)項及び(16の3)項に掲げる防火対象物 一年に一回
二 令別表第一(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項まで、(16)項ロ、(17)項及び(18)項までに掲げる防火対象物 三年に一回
点検の周期と報告の周期は同じではありません。
点検は種類ごとに1年以内で消防庁長官が定める期間ごとに行い 報告は特定用途なら1年に1回 非特定用途なら3年に1回です。
確かめる順番は 建物の用途区分を調べる 延べ面積を図面で測る 所轄消防署に指定の有無を聞く 階段の数と消火設備の種類を見る の4つで足ります。
そのうえで点検結果を維持台帳に記録して期限までに報告してください。
報告をしなかったり虚偽の報告をしたりすると消防法第44条第11号により30万円以下の罰金又は拘留の対象になり 同法第45条第3号で法人にも罰金刑が科されます。

点検はしていても報告を出していなければ意味が無いということですね。

条文は点検と報告を並べて義務づけています。
前回の報告日を維持台帳で確かめて次の期限を先に決めておきましょう。

よくある質問

Q総務省令で定める資格を有する者とは誰のことですか?
A消防法施行規則第31条の6第7項が定める消防設備点検資格者です。消防設備士や電気工事士や一級建築士など同項各号のいずれかに該当する者が、消防庁長官の登録を受けた法人の講習を修了して免状の交付を受けることで資格者になります。
Q自ら点検してよい建物でも業者に頼んで構いませんか?
A消防法施行令第36条第2項は有資格者の点検を義務づける建物を定めた規定であり、それ以外の建物で有資格者に依頼することを禁じてはいません。点検の方法と報告書の様式は消防庁長官が定めたものに従う必要があるので、内容を満たせるかどうかで選んでください。
Q建物に消防用設備等が何も無ければ点検も報告も不要ですか?
A消防法施行令第36条第1項が点検を要しないと定めているのは別表第一(20)項の舟車だけです。消防用設備等が設置されていない建物であれば点検すべき対象がありませんが、消火器一本でも設置義務があるならその設備は点検と報告の対象になります。
Q増築して延べ面積が基準を超えたらすぐ切り替わりますか?
A消防法施行令第36条第2項は現在の用途と延べ面積で読む規定なので、基準を超えた時点で有資格者の点検が必要な建物になります。非特定用途であれば指定を受けるかどうかも改めて確かめる必要があるので、工事の計画段階で所轄消防署に相談してください。

まとめ

消防法は有資格者に点検させる建物と自ら点検する建物を分けています
境目を決めているのは消防法施行令第36条第2項の4つの号です
特定用途は延べ面積1,000平方メートル以上で自動的に有資格者の点検になります
事務所や共同住宅は消防長又は消防署長の指定があるかどうかで分かれます
階段が実質1つの建物と二酸化炭素の消火設備がある建物は面積を問いません
報告の周期は特定用途が1年に1回で非特定用途が3年に1回です
報告を怠ると30万円以下の罰金又は拘留の対象になります

用途と面積と階段の数で見ればよいとわかりました。
まず図面を出して延べ面積から確かめます。

誰が点検するかは建物の側の条件で決まります
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防法第17条の3の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
  • 消防法第44条(罰則)
  • 消防法第45条(両罰規定)
  • 消防法施行令第36条(消防用設備等又は特殊消防用設備等について点検を要しない防火対象物等)
  • 消防法施行令別表第一
  • 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
  • 消防法施行規則第31条の6の2(消防設備士等による点検が特に必要である防火対象物)
  • 総務省消防庁「消防用設備等の点検報告制度」

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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