太陽光発電の普及とともに、施設に据え置き型の蓄電池設備をまとめて置く事例が増えています。
消防庁は令和4年、複数台接続する場合とコンテナに収容する場合の取扱いを、それぞれ通知で整理しました。
容量の数え方や換気設備の要件を誤ると、届出の要否や基準の適用そのものが変わってきます。
この記事では、複数台接続とコンテナ収容それぞれの判定基準、そして設置前に確認すべき手順を解説します。
うちの施設でも太陽光と一緒に蓄電池をいくつか置く計画があるんですが、まとめて設置すると届出や基準は変わるんでしょうか。
複数台をどうつなぐか、コンテナに収めるかどうかで判断が変わります。
屋外に置くタイプとコンテナに入れるタイプでも扱いが違うんですか。
はい、違います。
順番に確認していきましょう。
- 蓄電池設備を複数台接続して設置する場合、蓄電池及びその他の機器が1の箱に収納され、出火防止措置及び延焼防止措置に関する基準に適合するものは、当該箱ごとに1台の蓄電池設備として扱われます。(令和4年消防予第155号)
- コンテナ等(輸送用コンテナその他の不燃材料で造られた室)の内部に設置する蓄電池設備は、対象火気省令が定める屋外に設けるものには該当しないものとして扱われます。(令和4年消防予第156号)
- コンテナ等の換気設備は、開口面積が床面積の概ね20分の1以上あり、蓄電池設備の異常を外部で検知できる構造でなければ「有効な換気設備」と認められません。
- 令和5年の改正(消防予第332号)で、蓄電池容量20キロワット時以下の蓄電池設備は消防長(消防署長)への設置届出が不要になりました。
- 複数台をまとめて1台として扱われる場合は、合算した容量で届出の要否が判断される点に注意が必要です。
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目次
蓄電池設備の基準はなぜ見直されたのか

その一方で、容量の数え方が市町村によってばらついているという課題がありました。
背景には脱炭素社会に向けた蓄電池設備の普及拡大と大容量化、材料・構造の多様化があります。
規制対象を指定する単位も、アンペアアワー・セルからキロワット時に改められました。
さらに複数台を接続して設置する事例やコンテナに収容する事例が増えたことを受け、消防庁は令和4年に個別の通知で取扱いを整理しています。
まずはこの2つの通知が何を対象にしているかを確認しましょう。
太陽光と一緒に蓄電池を導入するとき、複数台まとめて置く施設が多いって聞きました。
そのため消防庁も令和4年に取扱いを整理する通知を出しています。
次に対象になる設備を見てみましょう。
どんな蓄電池設備が対象になるのか

今回の2つの通知が対象にしているのは、市町村の火災予防条例で規制される蓄電池設備です。
容量の小さな蓄電池は対象外とされており、一定の容量を超えるものが規制の対象になります。
規制の根拠は消防法施行令そのものではなく、対象火気省令を踏まえて市町村が定める火災予防条例である点も押さえておきましょう。
今回取り上げる2つの通知は、この蓄電池設備を「複数台まとめて置く場合」と「コンテナに収める場合」にどう当てはめるかを整理したものです。
自分の施設の蓄電池設備がどちらに当たるか、次の章で具体的に確認しましょう。
うちは家庭用より大きい産業用の蓄電池を検討しているので、対象になりそうですね。
容量次第では対象になります。
次は複数台接続とコンテナ収容、それぞれの扱いを見ていきましょう。
複数台接続とコンテナ収容はどう扱われるのか

複数台をつなぐ場合とコンテナに収める場合、それぞれの判定基準を確認しましょう。
複数台接続では、蓄電池と周辺機器が1の箱に収納され、出火防止・延焼防止の基準に適合していれば、箱ごとに1台の蓄電池設備として扱われます。
コンテナ収容では、輸送用コンテナなど不燃材料で造られた室に収めることで、屋外に設けるものには該当しないという扱いになります。
屋外設置扱いにならないということは、屋外設置に求められる建築物からの離隔距離の基準がそのまま適用されるわけではなくなるということです。
ただしコンテナに収めれば無条件で安心というわけではなく、次の章で見る換気設備の要件を満たす必要があります。
コンテナに入れれば屋外扱いから外れるって、そんなに簡単でいいんですか。
換気設備の要件を満たすことが条件です。
次はその中身を見てみましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

現場で見落としやすいポイントを確認しましょう。
自然換気方式なら、開口部がコンテナ等の床面積の概ね20分の1以上で、外部から容易に開放できる構造であることが必要です。
さらに、蓄電池設備の温度上昇や電気的な異常をコンテナの外部で検知できる機能も欠かせません。
複数台接続の側でも、届出の要否は容量で線引きされているため、まとめて1つの箱として扱われた結果、合算した容量が届出の基準を超えていないかを見落としがちです。
「コンテナに入れたから安心」「小さい蓄電池を並べているだけだから大丈夫」という思い込みが、いちばんの落とし穴になります。
うちは小さい蓄電池を何台か並べるだけだから、届出なんて要らないと思ってました。
まとめて1つの箱として扱われると、合算した容量で判断されることがあります。
最後に確認の手順を見ましょう。
設置前になにを確認すればよいのか

基準に沿って、順番に見ていきましょう。
複数台を1の箱にまとめる場合は、箱ごとの合算容量を出し、20キロワット時以下かどうかで届出の要否を確認します。
コンテナに収める場合は、開口面積が床面積の20分の1以上あるか、異常を外部で検知できる構造かを確認します。
標準規格への適合は第三者試験機関の確認に限らず、メーカーや輸入代理店の自己確認でも差し支えないとされています。
判断に迷う点があれば、設置前に所轄の消防本部へ相談しておくと安心です。
容量の合算と換気、適合証明を順番に確認すればいいんですね。
はい、その通りです。
次によくある質問を確認しましょう。
よくある質問
まとめ
蓄電池をまとめて置くだけでも、こんなに細かい基準があるんですね。
はい。
設置や届出の判断に迷ったときは、まずご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 蓄電池を複数台接続して設置する場合の取扱いについて(通知)(令和4年3月31日 消防予第155号、令和5年5月31日 消防予第332号により一部改正)
- コンテナ等の内部に設置する蓄電池設備の取扱いについて(通知)(令和4年3月31日 消防予第156号)
- 蓄電池設備の出火防止措置及び延焼防止措置に関する基準(令和5年消防庁告示第7号)
- 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第16条
- 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日 自消甲予発第73号)第11条・第13条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





