泡消火設備の消火薬剤が減ってきたとき、同じ薬剤をそのまま補充できないケースがあることをご存じでしょうか。
平成22年、化学物質の規制でPFOSを含む泡消火薬剤の新規製造・輸入が原則禁止されたことを受け、消防庁は異なる薬剤を混ぜて補充する場合の扱いを通知にまとめました。
補充のたびに必要な手続きが変わることを見落とすと、届出の要否を勘違いしたまま工事を進めてしまうおそれがあります。
この記事では、PFOS含有泡消火薬剤の混合使用がどんな条件で認められ、どんな手続きが必要になるのかをわかりやすく解説します。
うちの建物の泡消火設備、古い薬剤のままなんですが、補充するときに違う薬剤を混ぜてもいいんでしょうか。
条件を満たせば、PFOSを含む泡消火薬剤に別の薬剤を混ぜて補充することが認められています。
まずは、なぜこの通知が出されたのかを見てみましょう。
薬剤を混ぜるだけなら、届出とかは特に要らないってことですよね。
いいえ、初回の補充と2回目以降とで扱いが変わります。
通知の中身を順番に確認していきましょう。
- 平成22年、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の改正でPFOS又はその塩が第一種特定化学物質に指定され、PFOS含有泡消火薬剤の新規製造・輸入が原則禁止されたことを受けて、消防庁は補充時の混合使用について通知をまとめました。
- 混合できるのは、規格省令の基準に適合し、既存の泡ヘッドとも所要の性能を発揮することが確認された泡消火薬剤に限られます。
- 最初の補充は工事のうち「改造」に該当しますが、軽微な工事とみなされ着工届は不要で、設置届に伴う消防検査も現場確認を省略できます。
- 2回目以降の補充は「整備」とみなされ、着工届・設置届・消防検査のいずれも不要です。
- 混合した泡消火薬剤はPFOS含有消火剤として取り扱う必要があり、点検事業者にもその旨を明確に伝えておくことが求められます。
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目次
PFOS入りの泡消火薬剤はなぜ補充に困るのか

なぜ補充に条件が付くようになったのか、通知の背景から確認しましょう。
PFOSは残留性が高い化学物質として国際的に規制対象となり、国内でも化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)の改正で第一種特定化学物質に指定されました。
古い泡消火設備の中には、この規制以前に製造されたPFOS含有の泡消火薬剤を使い続けているものが少なくありません。
在庫が尽きたあとに点検や放射で薬剤が減っても、同じ型式の薬剤をそのまま補充できない可能性が出てきたため、消防庁が運用の指針をまとめました。
まずは、この通知がどの設備のどんな補充を対象にしているのかを見ていきましょう。
環境規制が消防設備の薬剤補充にまで関係してくるとは思いませんでした。
この規制は既存の設備にも影響します。
次は対象になる範囲を確認しましょう。
どの設備のどんな補充が対象になるのか

通知が想定している場面を確認しましょう。
具体的には、点検や火災等による放射で薬剤の量が減り、同じ型式の在庫がすでに無いという状況を想定しています。
薬剤をPFOSを含まないものへまるごと入れ替える工事や、新設時の薬剤選定はこの通知の対象ではありません。
あくまで既存設備の薬剤を減った分だけ異なる型式の薬剤で補い足す場面が対象になります。
次は、補充する薬剤にどんな条件が求められるのかを見ていきましょう。
うちの設備も古いので、薬剤が減ったときにこの話が関係してきそうです。
その場合は、補充する薬剤の条件を先に押さえておくと安心です。
次は条件の中身を確認しましょう。
混合するにはどんな条件を満たす必要があるのか

通知が示す条件を確認しましょう。
補充する薬剤は、既存のPFOS含有泡消火薬剤と任意の割合で混ぜても消火薬剤の規格省令の基準を満たすことが確認されている必要があります。
さらに、設備に使われている泡ヘッドが、既存薬剤・補充薬剤のどちらと組み合わせても所要の性能を発揮できることも確認されていなければなりません。
この2つの適合確認は薬剤メーカーの試験結果に基づくもので、現場の判断だけで異なる薬剤を混ぜてよいわけではありません。
次は、実際に補充する際の届出の扱いを確認しましょう。
薬剤どうしの相性だけじゃなくて、ノズルとの相性も見るんですね。
はい、両方の確認が必要です。
次は補充が工事と整備のどちらに当たるのかを見てみましょう。
初回と2回目以降で必要な手続きはどう変わるのか

初回と2回目以降で扱いが分かれる点を確認しましょう。
最初の補充は「改造」という工事に当たりますが、この行為に限って軽微な工事とみなされるため、着工届は不要とされています。
ただし設置届までは省略されず、通常求められる試験結果報告書に代えて条件への適合を確認した資料を添付すれば足り、消防検査についても現場での確認を省略できるとされています。
すでに混合された薬剤へさらに補充する2回目以降は「整備」とみなされ、着工届・設置届・消防検査のいずれも不要になります。
「初回だから全部不要」あるいは「毎回同じ届出が必要」と思い込むと、実際の扱いとずれてしまいます。
初回だけ設置届が残るなんて、言われないと気づかないところでした。
そこが今回の一番の落とし穴です。
最後に、明日から確認すべき手順を整理しましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

順番に見ていきましょう。
設置年や薬剤の銘柄は、設置時の届出書類や点検報告書に記載されています。
薬剤が減ってきたら、補充可能な適合薬剤があるかを薬剤メーカーや点検業者に確認し、初回補充では適合確認資料を添えて設置届を提出します。
混合後は、その泡消火薬剤がPFOS含有消火剤であり混合使用している旨を維持台帳等に明確に記録し、点検事業者にもその旨を伝えておくことが欠かせません。
迷ったときは、所轄消防署や点検業者に早めに相談してください。
まずは、うちの設備の薬剤がPFOSを含むかどうかを点検業者に確認してみます。
それが確実な進め方です。
これでよくある質問を確認しましょう。
よくある質問
まとめ
薬剤の補充だけでもこんなに細かく手続きが分かれているとは知りませんでした。
今度の点検のときに、うちの薬剤がPFOSを含むか確認してみます
はい。
薬剤の補充や届出の進め方でお困りのことがあれば、㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- PFOSを含有する泡消火薬剤の混合使用について(平成22年9月15日 消防予第416号 消防庁予防課長)
- 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)及び同法施行令(昭和49年政令第202号)
- 消防法第17条の14・消防法施行令第36条の2
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





