消防用設備等の軽微な工事には、着工届を省略できる制度があります。
では、その軽微な工事を何度も繰り返したら、何回目かで届出が必要になるのでしょうか。
複数の工事を同時に行う場合の扱いも、単純ではありません。
質疑応答が示したのは省略できる範囲と義務が生じる範囲の境目を工事ごとに見極めるという考え方です。
軽微な工事を何度も繰り返したら届出が要るんですか。
回数では判断しません。
他の工事と同時に行う場合はどうなるんですか。
それも含めて5つの実務Q&Aを見ていきます。
- 軽微な工事を反復して行う場合も1回ごとが範囲内なら着工届を省略できます
- 同一設備内で軽微な工事と非該当の工事を同時に行うと省略は認められません
- 別の設備の工事と同時に行う場合はそれぞれ別に省略の可否を判断します
- 着工届を省略しても懈怠に係る罰則は適用されません
- 軽微な工事の着工届が出されたら受理しなければなりません
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目次
軽微な工事を反復して行う場合も着工届を省略できるか

積み重なった結果、大きな工事とみなされることはないのでしょうか。
軽微な工事を何度繰り返しても、1回ごとの工事が軽微な工事の範囲内であれば、そのつど着工届を省略できます。積み重ねた結果を通算して大きな工事とみなす、という扱いにはなりません。
ただし、短期間に反復される場合は、その理由や工事工程を確認しておく必要があるとされています。省略できるからといって、確認を一切省いてよいわけではありません。
同じ設備に何度も軽微な工事を行う予定があるなら、その都度の範囲だけでなく、反復する理由や全体の工程も記録に残しておいてください。
通算されずに毎回リセットされるんですね。
反復する理由も記録に残してください。
同一設備内で異なる区分の工事を同時に行う場合はどうなるか

この二つを同時に行うとき、着工届の省略はどこまで及ぶのでしょうか。
感知器の移設だけを見れば軽微な工事の範囲内でも、同じ自動火災報知設備について受信機の改造という非該当の工事を同時に行うと、その設備についての着工届省略は認められません。軽微な部分と非該当の部分を切り分けて、片方だけ省略するという扱いはできないということです。
一つの設備の中で複数の作業を同時に計画する場合は、その設備全体としてどう扱われるかを確認してください。
片方だけ省略にはならないんですね。
設備全体としての
扱いを確認してください。
別の設備の工事と同時に行う場合はどうなるか

では、対象がそもそも別々の設備であれば、扱いは変わるのでしょうか。
屋内消火栓設備と自動火災報知設備という別々の設備であれば、一方の工事が軽微な工事に非該当であっても、もう一方の設備の着工届省略には影響しません。前の問いとは違い、屋内消火栓設備側は独立して省略が認められます。
「同時に行う」という条件だけでは判断できず、対象になっている設備が同じか別かを見る必要があるということです。
複数の設備を並行して工事するなら、設備ごとに軽微な工事の範囲内かどうかを個別に確認してください。
前の問いと正反対の結論なんですね。
設備ごとに
個別に確認してください。
着工届を省略しても罰則の適用はあるか

制度として省略が認められている場合まで、この罰則の対象になってしまうのでしょうか。
192号通知に基づいて正当に省略された着工届については、懈怠に係る罰則の対象にはなりません。省略が認められている工事であるにもかかわらず、届出をしなかったことをとがめられる、ということにはならないわけです。
罰則の対象になるのは、あくまで本来必要な届出を怠った場合であり、制度として省略が認められる場合とは区別されています。
軽微な工事として着工届を省略する際は、その省略が192号通知の範囲内であることを確認しておけば、罰則面の心配は不要です。
省略したこと自体が違反になるのかと思っていました。
192号通知の範囲内かを確認してください。
軽微な工事の着工届は受理を拒否できるか

省略できる工事だからという理由で、その届出を受け取らないという対応は認められるのでしょうか。
省略が認められている工事であっても、届出者が実際に提出してきた以上、受理を拒否することはできません。あわせて、その機会を利用して、軽微な工事に関する運用を届出者に周知することも求められています。
省略できる制度があるからといって、届出という行為そのものを窓口で断ってよいわけではないということです。
着工届の窓口対応をする立場にあるなら、軽微な工事に該当する届出であっても、まずは受理したうえで運用の説明を行ってください。
窓口で断られることもあるのかと思っていました。
まずは受理したうえで
運用の説明を行ってください。
よくある質問
まとめ
同時に行う工事の組み合わせで結論が変わるのが面白いですね。
次の工事計画を立てるときに気をつけます。
省略できる範囲を
工事ごとに見極めてください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防用設備等に係る届出等に関する運用について(平成9年12月5日 消防予第192号 通称「192号通知」に基づく実務Q&A)
- 軽微な工事を反復して行う場合の取扱いについて(同通知に基づく質疑応答)
- 異なる区分の工事を同時に行う場合の取扱いについて(同前)
- 着工届の省略に係る罰則の適用について(同前)
- 軽微な工事に係る着工届の受理について(同前)
- 消防法第17条の5、第17条の14、第44条第6号
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答はそれぞれの発出当時のもので、通知番号や機関の名称等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





