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防災管理点検の報告を怠ったらどうなるのか|虚偽報告も同じ号で法人も罰せられる仕組みを解説

防災管理点検の報告を怠った場合の罰則をテーマにした、消防職員が報告書を確認する場面のアイキャッチ画像

防災管理者を選任して点検を実施していても、報告書の提出まで済んでいますか。
点検をしたという事実だけでは、法律上の義務を果たしたことにはなりません。
実は報告を怠った場合だけでなく、内容を偽って報告した場合にも罰則が定められています。
この記事では防災管理点検の報告義務を怠った場合の罰則と、法人まで処罰される仕組みを条文で確認します

うちの防災管理点検、点検自体はもう終わっているんですが。
報告書の提出はまだなんです。

はい、報告をしていないと罰則の対象になります。
条文で確認していきましょう。

点検さえ済ませておけば、報告は多少後回しでも大丈夫だと思っていました。

いいえ、点検と報告は別々の義務です。
虚偽の報告をした場合も同じ扱いになります。

この記事の結論
  • 防災管理点検の結果を消防長又は消防署長に報告しないと、30万円以下の罰金又は拘留の対象になります
  • 根拠は消防法第44条第11号で、消防法第36条第1項が第8条の2の2第1項を読み替えて防災管理点検に準用しています
  • 報告をしないことと虚偽の報告をすることは同じ号でまとめて処罰の対象になります
  • この号は防火対象物点検の報告義務ともつながっており、両罰規定(第45条第3号)の対象にも含まれるため法人も罰せられます
  • 防災管理者の選任・解任の届出懈怠(第44条第8号)とは異なり、この違反は会社自体にも罰金が科される点に注意が必要です

防災管理点検の報告を怠るとどうなるのか

防災管理者が点検結果の報告書を消防署の窓口へ提出する様子を表したイメージ
防災管理点検を実施しても、結果を消防署へ報告するところまでが法律上の義務です。
この報告を怠った場合の扱いを、まず条文で確認します。
消防法第8条の2の2第1項(第36条第1項において読み替えて準用) (略)建築物その他の工作物の管理について権原を有する者は、総務省令で定めるところにより、定期に、(略)防災管理点検資格者に、当該建築物その他の工作物における防災管理上必要な業務その他火災以外の災害で政令で定めるものによる被害の軽減のために必要な事項が点検基準に適合しているかどうかを点検させ、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない
点検をしただけでは義務は終わりません
消防法第36条第1項は第8条から第8条の2の3までを読み替えて防災管理対象物に準用しており、その中の第8条の2の2第1項が報告義務の根拠になります。
点検の実施主体は防災管理点検資格者で、点検の結果は消防長又は消防署長に報告しなければなりません。
点検の頻度や記録の保存については消防法施行規則第51条の12・第51条の14で別途定められています。
この報告義務を怠った場合の扱いを、次に確認します。

報告先は消防署だけでいいんでしょうか。

はい、消防長又は消防署長への報告です。
次は罰則の中身を見ていきます。

罰則の対象になるのは報告をしない行為だけなのか

報告書を提出しない行為と内容を偽った報告書を提出する行為の両方が処罰の対象になる様子を表したイメージ
報告を怠る行為だけでなく、内容を偽って報告する行為も罰則の対象です。
条文でどちらも同じ号に定められているかを確認します。
消防法第44条 次のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金又は拘留に処する。(略)第11号 第8条の2の2第1項(第36条第1項において準用する場合を含む。)(略)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
報告をしないことと虚偽の報告をすることは、条文上まったく同じ号で扱われています
第44条第11号は「報告をせず、又は虚偽の報告をした者」と一文でまとめており、片方だけを軽く見る条文構成にはなっていません。
点検の結果が思わしくなかったからといって内容を書き換えて報告することは、報告そのものを怠るのと同じ30万円以下の罰金又は拘留の対象になります。
「報告さえしておけば内容は多少調整してもよい」という考え方は条文上通りません。
この号がどこまでの範囲をカバーしているのか、次に確認します。

報告をしないのと、内容を少し良く見せて報告するのとでは、扱いが違うんじゃないですか。

いいえ、同じ号でまとめて処罰の対象になります。
次にこの号の範囲を確認しましょう。

この罰則は防火対象物点検の報告義務ともつながっているのか

防火対象物点検と防災管理点検の両方の報告義務が同じ罰則の号でまとめて定められている様子を表したイメージ
第44条第11号は、防災管理点検専用の号ではありません。
防火対象物点検の報告義務まで、もともと一つの号でまとめて定められています。
消防法第44条第11号 第8条の2の2第1項(第36条第1項において準用する場合を含む。)又は第17条の3の3の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
この号は最初から防火対象物点検と防災管理点検の両方を一つの号でカバーする作りになっています
第8条の2の2第1項は防火対象物点検の報告義務そのものの根拠条文で、括弧書きの「第36条第1項において準用する場合を含む」がそのまま防災管理点検側にも同じ号を及ぼしています。
つまり防火対象物点検の報告懈怠・虚偽報告防災管理点検の報告懈怠・虚偽報告は、別々の号ではなく同じ第11号で処罰されます。
条文中の第17条の3の3は消防用設備等点検の報告義務で、こちらは第36条系ではないため防災管理点検とは関係がありません。
一つの号が二つの制度をまとめて担っている分、法人までその責任が及ぶのかどうかが次の落とし穴になります。

この罰則は防災管理点検専用のものだと思っていました。

いいえ、防火対象物点検の報告義務とも共通の号です。
会社まで責任が及ぶかを次に見ていきます。

この違反は会社まで罰せられるのか

建物と担当者の両方に印が付き法人と個人の両方が両罰規定の対象になる様子を表したイメージ
防災管理者の選任・解任の届出懈怠は、行為者個人だけが罰せられ会社は対象外でした。
点検報告の懈怠・虚偽報告は、この点が違います。
消防法第45条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。(略)第3号 (略)前条第1号、第3号、第11号、第12号若しくは第22号 各本条の罰金刑
第44条第11号は、両罰規定(第45条第3号)の対象条文の一覧に含まれています
以前に扱った届出懈怠(第44条第8号)は、この一覧に入っておらず罰せられるのは行為者本人だけでした。
これに対して点検報告の懈怠・虚偽報告(第11号)は一覧に含まれるため、行為者本人に加えてその法人にも同じ30万円以下の罰金刑が科されます。
同じ第44条の中でも号によって両罰の扱いが分かれている点は見落としやすく、届出の話と点検報告の話を同じ感覚で扱うと判断を誤ります。
会社としてどう備えればよいか、最後に手順として確認します。

個人が罰せられるだけなら、会社としてはそこまで心配しなくてもいいでしょうか。

いいえ、この違反は会社にも罰金刑が科されます
最後に実務での対応を確認しましょう。

実務ではどこに気を付ければよいのか

防災管理点検資格者が正確な点検記録をまとめて消防署へ提出する様子を表したイメージ
罰則を避ける方法は、点検の実施と正確な報告を淡々と続けることに尽きます。
実務で確認すべき点を整理します。
消防法施行規則第51条の12第1項 法第36条第1項の建築物その他の工作物の管理について権原を有する者は、同項において準用する法第8条の2の2第1項の規定により点検を行った結果を防災管理維持台帳(略)に記録するとともに、これを保存しなければならない
点検資格者に点検を任せきりにせず、報告書の提出状況を会社としても把握することが実務の基本です
報告書は消防長又は消防署長へ提出したら終わりではなく、防災管理維持台帳への記録・保存も義務付けられています。
点検の結果が基準に適合していない場合でも、内容をそのまま正直に報告することが虚偽の報告を避ける唯一の方法です。
提出期限そのものは条文に明確な日数が定められていないため、点検を終えたら速やかに提出する運用にしておくと安全です。
届出懈怠とは異なり法人も処罰の対象になる以上、報告の管理は担当者任せにせず会社としての確認体制を持つことが望まれます。

点検資格者に任せきりにしていたんですが、それで大丈夫でしょうか。

任せきりにせず、報告の内容と提出状況を会社としても確認してください。
これで一通り確認できました。

よくある質問

Q報告を怠ったことに気づいて後から提出すれば罰則を免れますか?
A条文上、報告が遅れたこと自体を自動的に免責する規定はありません。気づいた時点で速やかに正しい内容の報告書を提出することが実務上の対応になります。
Q点検自体を実施していれば、報告書の提出が多少遅れても問題ありませんか?
A点検の実施と報告は別々の義務です。条文は報告をしなかった場合にも罰則を定めているため、点検を終えたら速やかに所定の様式で報告する必要があります。
Q虚偽の報告とは、どの程度の食い違いを指しますか?
A条文は「虚偽の報告」とだけ定めており、食い違いの程度についての基準は示されていません。点検基準に適合していないことを知りながら適合していると報告するなど、事実と異なる内容を報告する行為が対象になると考えられます。
Q両罰規定で法人が罰せられる場合、行為者本人の罰則はどうなりますか?
A両罰規定は行為者本人の罰則に加えて法人にも罰金刑を科す仕組みです。第45条は「行為者を罰するほか」と定めており、法人が罰せられても行為者本人の罰則がなくなるわけではありません。

まとめ

防災管理点検の結果は消防長又は消防署長に報告しなければなりません
報告を怠ると消防法第44条第11号により30万円以下の罰金又は拘留の対象になります
根拠は消防法第36条第1項が第8条の2の2第1項を読み替えて準用する仕組みです
報告をしないことと虚偽の報告をすることは同じ号でまとめて処罰されます
この号は防火対象物点検の報告義務ともつながっている共通の号です
この違反は両罰規定(第45条第3号)の対象に含まれ、法人にも罰金刑が科されます
届出懈怠(第44条第8号)とは扱いが異なる点を踏まえ、点検のたびに正確な報告を徹底しましょう

報告を後回しにしないよう、点検のたびにきちんと提出します。

それが一番確実です。
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参考・出典

  • 消防法第36条第1項・第44条第11号・第45条第3号
  • 消防法第8条の2の2第1項
  • 消防法施行規則第51条の12第1項・第51条の14
  • e-Gov法令検索(消防法・消防法施行規則)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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