百貨店やスーパーマーケットは、来店する人の数が日によって大きく変わります。
それでも防火管理者を置くかどうかは、収容人員という一つの数で決まります。
とくに(4)項の数え方は、売場と飲食や休憩の部分で床面積を除する数が違うので、面積をひとまとめにすると答えがずれます。
この記事では、百貨店やスーパーが消防法令でどう扱われ、収容人員をどこの床面積で数えるのかを解説します。
食品スーパーの防火管理を任されたのですが、売場とイートインで数え方が違うと聞きました。
そのとおりです。
消防法施行規則が(4)項だけ二つの除数を書き分けています。
バックヤードや事務室の床面積も足して計算していたのですが、それでよいのでしょうか。
そこが分かれ目です。
床面積を拾うのは主として客が使う部分なので、順に確かめていきましょう。
- 百貨店やマーケットその他の物品販売業を営む店舗と展示場は令別表第一(4)項に掲げられています。(消防法施行令別表第一)
- (4)項は特定防火対象物なので既存の建物にも改正後の基準が及びます。(消防法第17条の2の5第2項第4号・消防法施行令第34条の4第2項)
- 収容人員は従業者の数と客が使う部分の床面積を除した数の合算で数えます。(消防法施行規則第1条の3)
- 売場などは4平方メートルで、飲食や休憩の用に供する部分は3平方メートルで除します。(消防法施行規則第1条の3)
- 防火管理者が必要になるのは収容人員が30人以上になったときです。(消防法施行令第1条の2第3項第1号ロ)
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目次
百貨店やスーパーは消防法令でどの用途に区分されるのか

まず令別表第一のどこに載っているかを確かめます。
令別表第一(四)項は百貨店とマーケットのほか、その他の物品販売業を営む店舗と展示場を並べているので、売場の広さや取扱品目で区分が変わることはありません。
一方で消防法第8条第1項は、防火管理者を置くべき建物の例として百貨店を名指しし、その括弧書きで「これに準ずるものとして政令で定める大規模な小売店舗」を含めています。
その中身を定めているのが消防法施行令第1条の2第1項で、延べ面積が1,000平方メートル以上の小売店舗で百貨店以外のものとされています。
つまり看板が百貨店でなくても、規模が大きい小売店舗は条文の上では百貨店と同じ言葉で読まれます。
自分の建物がどの項なのかは、消防用設備等の点検結果報告書の表紙にある用途の欄で確認できます。
うちは小さな路面店なので別の扱いだと思っていました。
用途の区分に面積の線はありません。
まずは点検結果報告書の用途欄を開いてみてください。
収容人員は売場と飲食の部分で数え方が変わるのか

条文は従業者の数と床面積の按分を分けて組み立てています。
まず従業者の数を人数として数え、そのうえで床面積の按分を足します。
床面積を拾う対象は主として従業者以外の者の使用に供する部分に限られており、そのうち飲食又は休憩の用に供する部分は3平方メートル、その他の部分は4平方メートルで除します。
客が飲食できる席を置いた部分や客用の休憩スペースは前者に、売場や客が通る通路は後者に当たります。
逆にバックヤードや事務室のように主として従業者が使う部分は、床面積の按分から外れます。
明日やることは一つで、平面図を客が使う部分と従業者が使う部分に塗り分け、前者をさらに飲食休憩とそれ以外に分けることです。
倉庫の面積を足していたので、かなり多めに出していたようです。
多めでも少なめでも根拠が説明できないと困ります。
図面のうえで線を引き直して所轄消防署に確かめてください。
防火管理者は収容人員何人から必要になるのか

(4)項は早い段階で義務がかかる側です。
同じ条文の第1号ハは倉庫や事務所などを50人以上としているので、(4)項はそれより早い段階で防火管理者の選任が必要になります。
選任したときは、消防法第8条第2項により遅滞なく所轄の消防長又は消防署長へ届け出なければならず、解任したときも同じです。
資格の別も面積で分かれ、消防法施行令第3条第1項第2号は(1)項から(4)項までなどについて延べ面積が300平方メートル未満のものを乙種防火対象物としています。
裏を返せば300平方メートル以上の店舗は甲種防火対象物として扱われます。
届出が済んでいるかどうかは、控えに押された受付印で確かめるのが早道です。
つまり非特定の用途より早く義務がかかるということですね。
従業者の数と客の按分の両方で積み上がります。
増床や改装のたびに数え直すのが確実です。
防炎規制と遡及適用で見落としやすいのはどこか

とくに防炎と遡及の二つは費用に直結します。
消防法施行令第4条の3第1項の並びに(1)項から(4)項までが入っているので、店舗も展示場も高さや階数に関係なく防炎物品を使わなければなりません。
対象になる物品には売場のカーテンやじゆうたん等のほか展示用の合板も並んでおり、催事コーナーの造作で見落としやすいところです。
もう一つの落とし穴が遡及で、消防法施行令第34条の4第2項が(1)項から(4)項までを特定防火対象物としているため、基準が改正されると既存の建物でも改正後の規定に合わせることになります。
消防法第17条の2の5第2項第4号は、その特定防火対象物の例として百貨店を条文の中に名指ししています。
改装の見積りを取るときは、防炎の表示が付いた物品かどうかを納品前に確かめておくと手戻りがありません。
催事の背板まで対象になるとは考えていませんでした。
条文が物品の名前を挙げているところが要点です。
発注書の仕様欄に防炎と書き入れておきましょう。
明日からなにを確かめればよいのか

順番に当てはめれば自分の店の位置がわかります。
消火器具は消防法施行令第10条第1項第2号イにより延べ面積150平方メートル以上、自動火災報知設備は同令第21条第1項第3号イにより延べ面積300平方メートル以上が(4)項の目安になります。
点検結果の報告は消防法施行規則第31条の6第3項第1号により1年に1回で、非特定用途の3年に1回とは周期が違います。
さらに消防法施行令第4条の2の2は、収容人員が300人以上の場合などに防火対象物点検を求めています。
同条第2号は、売場が避難階以外の階にあって直通階段が二つ以上ないときも対象にしているので、階数が少ない店でも安心はできません。
まずは点検結果報告書の控えを開き、用途の欄と延べ面積と報告の年月日を突き合わせてください。
報告を三年おきだと思い込んでいたので、すぐ確かめます。
そこが特定用途と非特定用途で最も分かれるところです。
前回の報告日から一年を超えていないか見てください。
よくある質問
まとめ
どこの床面積をどの数で割るのかがはっきりしました。
さっそく平面図から拾い直してみます。
収容人員の数え直しが出発点になります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第8条第1項及び第2項/第8条の3第1項
- 消防法第17条の2の5第2項第4号/第17条の3の3
- 消防法施行令第1条の2第1項及び第3項第1号/第3条第1項
- 消防法施行令第4条の2の2/第4条の3第1項及び第3項/第34条の4第2項
- 消防法施行令第10条第1項/第21条第1項
- 消防法施行令別表第一
- 消防法施行規則第1条の3/第31条の6第3項
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





