駐車場に電気自動車用の充電設備を置く施設が増えています。
ところが実際に設置しようとすると、消防から衝突防止措置や届出資料をどこまで求められるのかが読めず戸惑うことがあります。
消防庁は令和5年、この基準の解釈が市町村ごとにばらついていることを受けて運用を整理する通知を出しました。
この記事では、急速充電設備に求められる衝突防止措置と固定方法、そして届出で用意すべき資料の範囲を解説します。
うちの駐車場に電気自動車の充電器を置く計画があるんですが、消防には何を求められるんでしょうか。
衝突を防ぐ措置と堅固な固定、それに設置前の届出が要ります。
車止めを立てるように言われたんですが、縁石だけでは駄目なんでしょうか。
縁石でも認められます。
順番に確認していきましょう。
- 急速充電設備への衝突を防止する措置には、樹脂製ポールや鉄製パイプに加えて車止めや縁石等の措置も含まれるとされました。(令和5年 消防予第126号)
- こうした措置のうちいずれか一つが講じられていれば、防護措置の基準に適合したものとして扱って差し支えないとされています。
- 防護措置が求められるのは急速充電設備の本体であり、充電ケーブルはこの防護措置の対象ではないとされました。
- 堅固な固定は転倒による火災を防ぐための規定で、転倒しないものであれば固定の方法は問わないとされています。
- 設置の届出で提出を求められるのは、届出設備の仕様書や設置工事図面など火災予防上真に必要な資料に限られます。
▼

目次
急速充電設備の基準はなぜ解釈の統一が求められたのか

その一方で、消防が求める安全基準の解釈が市町村ごとにばらついているという指摘が出ていました。
きっかけは令和4年11月に内閣府の会議でとりまとめられた提言で、充電器の整備を進めるうえで安全基準の解釈の統一を図るよう要請がありました。
これを受けて消防庁が令和5年2月28日に発出したのが消防予第126号です。
通知は衝突防止措置・固定方法・届出及び立入検査・付帯する設備という4つの項目に分けて整理されています。
設置を検討している施設側にとっては、どこまで求められるのかの線引きが読み取れる内容になっています。
基準そのものが厳しくなったわけではないんですね。
はい、解釈を統一するための通知です。
次にどの設備が対象になるかを見てみましょう。
どの充電設備が消防法令上の急速充電設備になるのか

火災予防条例が対象にするのは、そのうち一定の出力を超えるものです。
変圧する機能を持つ本体と充電ポストが分かれている分離型のものは、充電ポストも含めて一つの急速充電設備として扱われます。
一方で、屋外に設けるときに建築物から3メートル以上の距離を保つ基準や、消防長への設置の届出が必要になるのは、火災予防条例(例)では全出力が50キロワットを超えるものとされています。
つまり設備の基準が適用される出力と、届出が必要になる出力は同じではありません。
自分の施設に入れる機種の全出力を、まず仕様書で確かめておきましょう。
うちに入れる機種は90キロワットなので、どちらの基準も対象になりますね。
そうなります。
次に衝突を防止する措置を見ていきましょう。
衝突を防止する措置として何が認められるのか

そのため衝突を防止する措置を講じることが基準として定められています。
基準が求めているのは決まった製品ではなく、衝突を防ぐという結果だからです。
樹脂製ポール・鉄製パイプ・車止め・縁石のいずれか一つが講じられていれば足りるとされ、重ねて設ける必要はありません。
駐車スペースより1段高い位置に設備を置く方法も、衝突を防ぐ手段として挙げられています。
守る対象は本体であって、充電ケーブルまで囲う必要はない点も押さえておきましょう。
縁石があるのに鉄製パイプまで足すよう言われて悩んでいました。
いずれか一つで足りるとされています。
次は固定と届出の話です。
固定方法や届出の資料はどこまで求められるのか

そして設置しようとする者には、あらかじめ消防長への届出が課されています。
床にアンカーで留める方法だけでなく、壁や支柱に固定する方法でも構いません。
届出のほうも同じ考え方で、求められるのは火災予防上真に必要な資料に限られます。
具体的には届出設備の仕様書と設置工事図面が挙げられており、消防庁は業界団体の標準仕様書を全国の消防本部へ共有したうえで、施工者に改めてその提出を求めないよう求めています。
設置状況の確認も火災予防のために必要な範囲で行うものとされ、事業者に必要以上の負担を課さないよう留意が示されました。
以前は標準仕様書を出してほしいと言われたことがありました。
今は消防本部側へ共有されているので改めて求められません。
最後に付帯する設備を確認しましょう。
付帯する変電設備まで含めてなにを確認すればよいのか

この通知は、そうした付帯する設備の扱いについても取扱いを示しました。
改正前の206号通知は、キュービクル式変電設備の外箱を「床に」容易にかつ堅固に固定できる構造と定めていました。
これが「床、壁、又は柱に」固定できる構造へ改められ、柱上設置が基準の枠内に入ったことになります。
この扱いは急速充電設備に電力を供給する目的以外の変電設備にも及ぶとされています。
計画を立てるときは充電設備の本体だけでなく、付帯する設備まで含めて所轄の消防本部に確認しておきましょう。
充電器だけを見ていては足りないんですね。
はい、その通りです。
次によくある質問を確認しましょう。
よくある質問
まとめ
求められる範囲がはっきりすると、計画が立てやすくなりますね。
届出や基準の判断に迷ったときは、まずご相談ください。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 急速充電設備等に係る運用について(通知)(令和5年2月28日 消防予第126号)
- 改正火災予防条例(例)の運用について(平成24年4月27日 消防予第163号)
- 改正火災予防条例準則の運用について(平成3年10月8日 消防予第206号)
- 対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具等の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令(平成14年総務省令第24号)第3条・第12条・第16条
- 火災予防条例(例)(昭和36年11月22日 自消甲予発第73号)第11条の2・第44条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





