ガソリンスタンドの片隅にEV用の急速充電器が置かれているのを見かけることが増えてきました。
しかし給油取扱所は可燃性蒸気が滞留するおそれがあり、電気設備は原則として防爆構造が求められる場所です。
防爆構造にすることが難しい急速充電設備を、どこに置けば安全なのか。この線引きを全国で統一するために消防庁が出したのが今回の通知です。
急速充電設備そのものの安全対策と、給油取扱所内での設置場所の考え方を整理します。
うちのスタンドでもEVの充電スポットを増やしてほしいという要望が来てるんですが、置く場所って自由に決めていいんでしょうか。
防爆構造にできない急速充電設備は、ガソリン等の可燃性蒸気が滞留するおそれのある範囲の外に置く必要があります。
まずはその範囲がどう決まるかを確認しましょう。
具体的にどのくらいの出力の充電器が対象になるんですか。
全出力20キロワットを超え50キロワット以下の急速充電設備が対象です。
この記事で設備の技術基準と設置場所の考え方を一緒に整理していきます。
- 急速充電設備は防爆構造にできないため、可燃性蒸気が滞留するおそれのある範囲の外に設置する必要があります
- 通知が対象とする急速充電設備は全出力20キロワットを超え50キロワット以下のもの
- 設備の筐体・接続確認・絶縁確認・異常検知など11項目の安全対策が定められています
- 緊急遮断装置の有無で、避けるべき可燃性蒸気滞留範囲の広さが変わります
- 平成24年3月16日より前に旧基準で設置済みの設備には経過措置があります
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目次
給油取扱所にEV急速充電設備を置く動きはなぜ通知になったのか

しかし給油取扱所ならではの事情が、この設備選びを難しくしています。
ガソリンスタンドは可燃性蒸気が滞留しやすく、通常は電気設備に防爆構造を求めていますが、急速充電設備には同じ発想をそのまま当てはめられません。
そこで消防庁は「電気自動車用急速充電設備の安全対策に係る調査検討会」を開催し、検討結果を踏まえて設置のあり方を取りまとめました。
背景にあるのはEV普及という今後さらに進む変化であり、この通知は一過性のものではなく実務が長く付き合っていく基準です。
まずは自分のスタンドで急速充電設備を検討する際に、どの範囲が使えるのかという視点を持つことが出発点になります。
防爆構造にできない設備を置くのが難しいという理由、よく分かりました。
通知が対象にする急速充電設備の範囲を、次に確認していきましょう。
通知が対象にする急速充電設備とはどんなものか

出力の大きさによって扱いが変わる点を押さえておきましょう。
20キロワット以下の普通充電に近い設備や、50キロワットを超える大出力の設備は、この通知が直接定義する急速充電設備には含まれません。
ただし政令第17条第1項第21号により、急速充電設備は給油取扱所の電気設備の一種として位置づけられており、防爆構造を原則とする電気設備の基準がベースになっています。
出力の数字だけを見て対象外と判断せず、まずは自分が置こうとしている設備の出力を確認することが最初の一歩です。
20キロワット以下・50キロワット超の設備も、後述のとおり同じ考え方で安全対策を講じることが求められています。
うちが検討しているのは30キロワットの充電器なんですが、対象になりますか。
20キロワットを超え50キロワット以下なので、まさに今回の通知が対象にする急速充電設備です。
次はその設備自体に求められる安全対策を見ていきましょう。
急速充電設備そのものに求められる安全対策とは何か

11項目にわたる基準のうち、実務で特に押さえておきたい点を見てみましょう。
不燃性の金属筐体・確実な固定・防水措置に加え、車としっかり接続され絶縁が確認できてから初めて充電を始める仕組みが必須です。
漏電や制御異常、異常な高温を自動で検知した場合には、急速充電設備そのものを停止させる措置も求められています。
さらに手動で緊急停止できる操作を用意することまで含めて、11項目がひとつのセットになっています。
これらは充電器メーカー側の仕様に関わる部分が多いため、導入前に該当する仕様を満たした製品かどうかをカタログで確認しておくと安心です。
充電器を選ぶときにチェックすべきポイントが具体的に分かりました。
仕様書に11項目の基準が反映されているか、導入前にメーカーへ確認しておきましょう。
次は置き場所の考え方です。
設置場所を決めるうえで見落としやすいのはどこか

特に緊急遮断装置の有無で結論が変わる点が、見落としやすい落とし穴です。
緊急遮断装置がある場合は比較的狭い範囲(別紙1)で済みますが、設けない場合は固定給油設備からの水平距離がより広い範囲(別紙2)を避ける必要があります。
また、従業員等が目視で急速充電設備の使用状況を常時監視できない配置になっている場合は、監視カメラの設置等で監視体制を補う必要があります。
屋内給油取扱所のうち一方または二方だけが開放されているタイプは、壁の影響で滞留範囲が通知の想定より広がるおそれがあるため、個別に消防庁危険物保安室へ相談することとされています。
「敷地が狭いから遮断装置は省略しよう」という判断は、かえって避けるべき範囲を広げてしまう点に注意してください。
うちは敷地が狭いので、遮断装置なしで置けないかと思っていました。
遮断装置を省くとむしろ避けるべき範囲が広がります。
設置スペースに余裕がないほど、遮断装置を設けたほうが現実的です。
明日から確認すべき手順は何か

今日からできる確認を順番に見ていきましょう。 急速充電設備の出力と設置場所を、今日のうちに確認しましょう。
まず検討している充電器の全出力を確認し、20キロワットを超え50キロワット以下かどうかを確かめます。
次に、緊急遮断装置を設けるかどうかを決め、それに応じた可燃性蒸気滞留範囲(別紙1または別紙2)の外に設置場所を選びます。
目視で常時監視できない配置になる場合は、監視カメラの設置と、監視体制・緊急遮断装置の操作方法を予防規程に明記する準備を進めます。
既に旧基準(平成6年消防危第29号)で設置済みの設備がある場合は経過措置の対象になるため、増設や更新を検討する際に所轄消防署へ確認しておくと安心です。
出力の確認と設置場所の順番、整理できました。
それが一番確実な進め方です。
よくある質問もまとめておきます。
よくある質問
まとめ
急速充電設備を置くときに何を確認すればいいか、順番がはっきりしました。
まずは検討中の充電器の出力から確認してみます。
設備の基準と設置場所、両方確認すれば実務は回ります。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 「給油取扱所に電気自動車用急速充電設備を設置する場合における技術上の基準の運用について」(平成24年3月16日付け消防危第77号 消防庁危険物保安室長)
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第17条第1項第21号
- 「可燃性蒸気流入防止構造等の基準について」(平成13年3月30日付け消防危第43号)
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





