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警備や清掃を任せた分は消防計画に書くのか|受託者の記載事項と法定点検が除かれる理由を解説

防火管理業務の一部委託で消防計画に受託者を記載することを示したアイキャッチ画像

警備や清掃や設備管理を外部の会社に任せている建物は珍しくありません。
その任せている部分について 消防計画に何をどこまで書くのかは意外と知られていません。
消防法令は業務の一部を委託したときに受託者のことを消防計画へ書くよう求めています。
この記事では記載義務が生じる相手と書くべき中身を解説します。

夜間の巡回を警備会社に任せているのですが 消防計画には何も書いていません。

防火管理上必要な業務の一部を外の人に任せているなら受託者の氏名及び住所を消防計画に定めることになっています。
業務の範囲と方法も一緒に書きます。

点検業者にも出していますが そちらも書くのでしょうか。

そこが分かれ目で 消防用設備等の法定点検の委託はこの記載義務から外されています。
同じ委託でも扱いが違います。

この記事の結論
  • 防火管理上必要な業務の一部を外の人に委託したら消防計画に受託者のことを定めます。(消防法施行規則第3条第2項)
  • 書くのは受託者の氏名及び住所と受託業務の範囲及び方法です。(同項)
  • 法人に任せているときは名称と主たる事務所の所在地を書きます。(同項の括弧書き)
  • 消防用設備等の法定点検の委託はこの記載義務から除かれています。(同項の括弧書き)
  • 委託しても防火管理の責任そのものは管理権原者と防火管理者に残ります。(消防法第8条第1項)

防火管理業務の一部委託で消防計画に受託者の氏名住所と業務の範囲を書く手順を示した図解

防火管理業務の一部委託とはどこまでを指すのか

事務所ビルの前で防火管理者が警備員と清掃員に業務を渡している図
出発点は消防法第8条第1項が並べている業務です。
その一部を外の人に任せている状態が一部委託にあたります。
消防法第8条第1項(抜粋)
……防火対象物で政令で定めるものの管理について権原を有する者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、政令で定めるところにより、当該防火対象物について消防計画の作成、当該消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わせなければならない。
ここに並ぶ業務の一部を外に出した状態です。
夜間の巡回や火気の点検や避難施設の見回りを警備会社や設備管理会社に任せているなら 立派な一部委託です。
まぎらわしいのが防火管理者そのものを外部に頼む制度で こちらは消防法施行令第3条第2項の別の話です。
一部委託は防火管理者が建物側にいたままで 手足の部分だけを外に出す形をいいます。
自分の建物がどちらなのかを 契約書の業務内容から先に確かめてください。

防火管理者は自分なので 委託という言葉と結びついていませんでした。

防火管理者が建物側にいるままでも 業務の一部を外に出していれば一部委託です。
まずは契約している業務の中身を並べてみてください。

どんな相手に任せると消防計画への記載義務が生じるのか

建物の中で働く人と外から来る業者を柵で分けて示した図
条文は相手を線引きしています。
建物の関係者とそこで働いている従業員か それ以外かで分かれます。
消防法施行規則第3条第2項(抜粋)
防火管理上必要な業務の一部が当該防火対象物の関係者(所有者、管理者又は占有者をいう。以下同じ。)及び関係者に雇用されている者(当該防火対象物で勤務している者に限る。)以外の者に委託されている防火対象物にあつては、当該防火対象物の防火管理者は、前項の消防計画に、当該防火管理上必要な業務(略)の受託者の氏名及び住所(略)並びに当該受託者の行う防火管理上必要な業務の範囲及び方法を定めなければならない。
外の人に任せたときだけ記載義務が生まれます。
自社の社員が自分の建物で行っている業務なら この記載は要りません。
見落とされやすいのが括弧書きの当該防火対象物で勤務している者に限るという限定です。
同じ会社の社員でも 本社から出向いてくるだけで常時その建物で勤務していない人は この括弧から外れます。
グループ会社に任せている場合も相手は別法人なので 契約先の顔ぶれを一度洗い出してください。

系列の管理会社なら身内なので 書かなくてよいと考えていました。

条文が見ているのは資本の関係ではなくその建物で勤務しているかです。
系列でも別法人から来ているなら書く側になります。

消防計画には受託者について何を書くのか

名刺立てと開いたバインダーとペンを並べて消防計画への記載を示した図
書く中身は二つに分かれます。
相手が誰かと その相手が何をどうやるかです。
消防法施行規則第3条第2項(抜粋)
……当該防火対象物の防火管理者は、前項の消防計画に、当該防火管理上必要な業務(略)の受託者の氏名及び住所(法人にあつては、名称及び主たる事務所の所在地。)並びに当該受託者の行う防火管理上必要な業務の範囲及び方法を定めなければならない。
相手の特定と業務の中身の両方が要ります。
会社に任せているなら個人名ではなく名称と主たる事務所の所在地を書きます。
範囲は消防法施行規則第3条第1項が並べる項目に沿って 自主検査なのか訓練の支援なのかを具体的に切り分けます。
方法まで求められているので 巡回の時間帯や記録の残し方や誰へ報告するかを書き添えると計画として通ります。
契約書の業務仕様書をそのまま横に置いて 消防計画の言葉に置き換えるのがいちばん早い進め方です。

会社名だけ書いておけばよいと思っていました。

条文は住所と業務の範囲及び方法まで書けと言っています。
契約書の仕様を写せば大半が埋まります。

実務で見落としやすいのはどこか

本社の建物から現場のビルへ書類を持った担当者が歩いて向かう図
つまずくのは相手の線引きと 除かれている業務です。
どちらも括弧書きの中に隠れています。
消防法施行規則第3条第2項(抜粋)
……当該防火管理上必要な業務(法第17条の3の3の規定による消防用設備等又は特殊消防用設備等についての点検を除く。以下この項において同じ。)の受託者の氏名及び住所……
法定点検の委託はこの記載義務から外れています。
点検業者に出していること自体は 消防法第17条の3の3の点検結果の報告のほうで消防機関に伝わるからです。
逆に 日常の自主検査や巡回を同じ業者に頼んでいるなら そちらは記載義務の側に入ります。
権原が分かれている建物では 消防法施行規則第3条第3項により自分の権原の範囲も消防計画に書きます。
建物全体の計画については同規則第4条第1項第2号に別の定めがあるので 統括の側と二重に書き漏らさないよう気をつけてください。

点検も巡回も同じ会社に頼んでいるので どちらも書くところでした。

同じ相手でも業務ごとに扱いが分かれます。
契約の明細を業務ごとに割って考えてください。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストを持った担当者が受付カウンターで書類を提出している図
手順そのものは短くて済みます。
契約を並べて 消防計画と突き合わせるだけです。
消防法施行規則第3条第1項(抜粋)
防火管理者は、令第3条の2第1項の規定により、防火対象物の位置、構造及び設備の状況並びにその使用状況に応じ、次の各号に掲げる区分に従い、おおむね次の各号に掲げる事項について、当該防火対象物の管理について権原を有する者の指示を受けて防火管理に係る消防計画を作成し、別記様式第1号の2の届出書によりその旨を所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。防火管理に係る消防計画を変更するときも、同様とする。
受託者が変わったら消防計画も出し直します。
まず今の契約書をすべて出し 防火管理に関わる業務が入っているものを選び出します。
選んだ契約ごとに 相手の名称と主たる事務所の所在地 業務の範囲 実施の方法を書き出します。
書き出した内容を消防計画の該当欄と突き合わせ 足りない行があれば管理権原者の指示を受けて追記します。
業者を入れ替えた年度や契約内容を変えた年度は 変更の届出を忘れずに所轄消防署へ出してください。

業者を替えたときは消防計画も直すという発想がありませんでした。

受託者の名称や住所は消防計画の記載事項なので 変わればそこも変更です。
契約更新の時期に見直す運用にすると漏れません。

よくある質問

Q防火管理の業務を全部まとめて委託してもよいのですか?
A消防法施行規則第3条第2項が想定しているのは業務の一部の委託です。消防法第8条第1項は管理権原者が防火管理者を定めて業務を行わせる形を求めており、消防法施行令第3条の2は防火管理者自身が消防計画を作り業務を行うと定めています。丸ごと外へ出す形は条文の組み立てから外れます。
Q受託者が別の会社へ再委託したときは誰を書けばよいですか?
A条文が挙げているのは業務が委託されている先の受託者です。実際に業務を行う相手が変われば消防計画の内容も実態に合わなくなるので、契約の形と現場の実態の両方を所轄消防署に示して確認するのが確実です。
Q委託していれば火災が起きたときの責任も移るのですか?
A消防法第8条第1項の義務は管理について権原を有する者に向けられています。同条第4項では業務が消防計画に従って行われていないと認める場合に、消防長又は消防署長が権原を有する者へ必要な措置を命ずることができるとされています。委託先に手を動かしてもらっても義務の名あて人は変わりません。
Q乙種防火対象物でも受託者を書く必要はありますか?
A消防法施行規則第3条第2項は第1項の消防計画について定めており、区分を限っていません。第1項第2号の区分にあたる建物でも、防火管理上必要な業務の一部を外の人へ委託していれば受託者のことを定めることになります。

まとめ

防火管理上必要な業務の一部を外の人に委託したら消防計画に定めます
線引きはその建物で勤務している者かどうかで決まります
書くのは受託者の氏名及び住所と業務の範囲及び方法です
法人に任せているときは名称と主たる事務所の所在地になります
消防用設備等の法定点検の委託はこの記載義務から除かれています
権原が分かれている建物では権原の範囲も同じ計画に定めます
受託者や業務内容が変わったら消防計画の変更として届け出ます

契約書を並べて消防計画と突き合わせればよいとわかりました。
今日のうちに警備の契約から見てみます。

受託者の氏名及び住所と業務の範囲及び方法が消防計画の記載事項です
㈱防災屋でもご相談を承っています。

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参考・出典

  • 消防法第8条(防火管理者の選任と防火管理上必要な業務)
  • 消防法第17条の3の3(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
  • 消防法施行令第3条(防火管理者の資格)
  • 消防法施行令第3条の2(防火管理者の責務)
  • 消防法施行規則第3条(防火管理に係る消防計画)第1項・第2項・第3項
  • 消防法施行規則第4条(防火対象物の全体についての防火管理に係る消防計画)第1項第2号

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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