消防計画というと訓練や点検の話ばかりが思い浮かびます。
ところが記載事項の中には建物そのものの造りを守る項目が混ざっています。
それが防火上の構造の維持管理で 防火壁や内装がここに入ります。
この記事では何を見て何を書くのかを条文から解説します。
消防計画の様式に防火上の構造という欄があって 何を書けばよいのか止まっています。
そこは消火器や感知器ではなく建物の造りそのものを書く欄です。
条文は防火壁と内装を名指ししています。
壁や天井は建てたときのままなので 管理のしようがない気がします。
そのままでいてくれない場面がひとつだけあって それが工事です。
壁に穴を開けたり仕上げを張り替えたりした日から管理の話になります。
- 消防計画には防火壁や内装といった建物そのものの維持管理を定めます。(消防法施行規則第3条第1項第1号ホ)
- これは同じ号のハが定める消防用設備等の点検とは別の項目です。(同号ハ)
- 根っこは避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理という業務です。(消防法第8条第1項)
- 防火壁は建築基準法第26条 内装の制限は同法第35条の2で決まっています。
- 工事で造りや仕上げが変わったら消防計画も出し直します。(消防法施行規則第3条第1項後段)
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目次
消防計画の防火上の構造の維持管理とはなにを指すのか

そこに設備の点検とは別の行として置かれています。
防火管理者は、令第3条の2第1項の規定により、防火対象物の位置、構造及び設備の状況並びにその使用状況に応じ、次の各号に掲げる区分に従い、おおむね次の各号に掲げる事項について、(略)防火管理に係る消防計画を作成し、(略)届け出なければならない。
一 (略)
ハ 消防用設備等又は法第17条第3項に規定する特殊消防用設備等(以下「特殊消防用設備等」という。)の点検及び整備に関すること。
ニ 避難通路、避難口、安全区画、防煙区画その他の避難施設の維持管理及びその案内に関すること。
ホ 防火壁、内装その他の防火上の構造の維持管理に関すること。
ハが消火器や感知器といった消防用設備等を見るのに対して ホは建物の躯体と仕上げそのものを見ます。
ニの避難施設が人の通り道を確保する項目なのに対し ホは火と煙を止める側の造りを保つ項目です。
上位にあるのは消防法第8条第1項が防火管理者に行わせるとした避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理という業務で 消防法施行令第3条の2第2項も同じ言葉を使っています。
自分の建物のどこが火と煙を止める造りなのかを知ることが 記載の第一歩になります。
設備の点検と同じ欄にまとめて書いていました。
条文はハとニとホで見るものを分けています。
ホの欄には建物の造りだけを書いてください。
どの建物の消防計画に定めなければならないのか

用途と収容人員で線が引かれています。
法第8条第1項の政令で定める防火対象物は、次に掲げる防火対象物とする。
一 別表第一に掲げる防火対象物(略)のうち、次に掲げるもの
イ 別表第一(6)項ロ、(16)項イ及び(16の2)項に掲げる防火対象物(略)で、当該防火対象物に出入し、勤務し、又は居住する者の数(以下「収容人員」という。)が10人以上のもの
ロ 別表第一(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項イ、ハ及びニ、(9)項イ、(16)項イ並びに(16の2)項に掲げる防火対象物(略)で、収容人員が30人以上のもの
ハ 別表第一(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項まで、(16)項ロ及び(17)項に掲げる防火対象物で、収容人員が50人以上のもの
消防法施行規則第3条第1項第1号は この令第1条の2第3項第1号の建物を対象として イからヲまでの事項を並べています。
福祉施設などが集まる(6)項ロの系統だけ収容人員10人以上と厳しく そのほかは30人以上か50人以上です。
いっぽう同条同項第2号は新築の工事中の建築物などを別の区分にしており そちらの列には防火上の構造の維持管理が入っていません。
まずは自分の建物が第1号と第2号のどちらの区分なのかを確かめてください。
工事中の建物の計画とは中身が違うのですね。
工事中の区分は危険物等の管理など別の項目が並びます。
建物が完成して使い始めたら第1号の列に移ります。
防火壁と内装はそれぞれ何を守っているのか

どちらも建築基準法の側に基準があります。
延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物は、防火上有効な構造の防火壁又は防火床によつて有効に区画し、かつ、各区画における床面積の合計をそれぞれ1,000平方メートル以内としなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。
一 耐火建築物又は準耐火建築物(略)
建築基準法第35条の2(抜粋)
別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物、階数が3以上である建築物、(略)又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたものは、(略)その壁及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならない。
防火壁は建物を1,000平方メートル以内ごとに区切るもので 耐火建築物や準耐火建築物には求められません。
内装の制限は用途や階数や火を使う室であることを理由にかかり 壁と天井の室内に面する仕上げを対象にします。
条文はその他の防火上の構造とも書いており 名指しの二つに限っていません。
自分の建物に何があるかは確認申請の図面や検査済証で分かるので 設計図書を一度開いてみてください。
消防計画なのに建築基準法を見ることになるとは思いませんでした。
造りの基準は建築基準法にあり それを保つ責任が消防計画の側にあります。
図面と現物が合っているかを見るのが管理の中身です。
実務で見落としやすいのはどこか

穴が開いたままになるか 仕上げが別物に替わります。
消防長又は消防署長は、防火対象物の位置、構造、設備又は管理の状況について、火災の予防に危険であると認める場合、消火、避難その他の消防の活動に支障になると認める場合、火災が発生したならば人命に危険であると認める場合その他火災の予防上必要があると認める場合には、権原を有する関係者(略)に対し、当該防火対象物の改修、移転、除去、工事の停止又は中止その他の必要な措置をなすべきことを命ずることができる。
いちばん多いのが 配線や配管を通すために区画の壁へ開けた穴を埋め戻さないままにしてしまう例です。
テナントの入れ替えで内装を張り替えたときに 制限のかかる室の仕上げが基準から外れてしまうこともあります。
造作の家具や掲示物で防火戸の前をふさぐ話は 消防法第8条の2の4が定める避難上必要な施設と防火戸の管理のほうに入るので混同しないでください。
工事を入れるときは着工前に図面を防火管理者へ回す運用にしておくと 事後に慌てずに済みます。
通信の配線を通したときの穴が そのままになっている気がします。
そこは真っ先に見るところで 隙間が残っていれば区画が切れています。
天井裏まで含めて工事の記録を追ってください。
明日からなにを確認すればよいのか

そのうえで消防計画の欄を埋め直します。
防火管理者は、前項の消防計画に基づいて、当該防火対象物について消火、通報及び避難の訓練の実施、消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備、火気の使用又は取扱いに関する監督、避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理並びに収容人員の管理その他防火管理上必要な業務を行わなければならない。
まず確認申請の図面を出し 防火壁や区画の位置と内装制限がかかる室に印を付けます。
つぎに印を付けた場所を歩き 貫通部の隙間や仕上げの張り替えがないかを目で確かめます。
確かめた結果を日付入りで残し 直すところがあれば管理権原者へ報告して工事の手配につなげます。
造りや仕上げが変わったときは 消防法施行規則第3条第1項の後段により消防計画の変更として届け出てください。
図面に印を付けてから回れば 見る場所がはっきりしますね。
印を付けた図面がそのまま自主検査の道具になります。
年に一度は同じ図面で回る運用にしてください。
よくある質問
まとめ
図面を出して壁と天井を見て回ればよいと分かりました。
まずは去年の内装工事のところから確かめます。
防火壁と内装その他の防火上の構造の維持管理が消防計画の記載事項です。
㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法第5条(火災の予防に危険であると認める場合等の措置命令)
- 消防法第8条(防火管理者の選任と防火管理上必要な業務)
- 消防法第8条の2の4(避難上必要な施設等の管理)
- 消防法施行令第1条の2(防火管理者を定めなければならない防火対象物等)第3項
- 消防法施行令第3条の2(防火管理者の責務)第1項・第2項
- 消防法施行規則第3条(防火管理に係る消防計画)第1項
- 建築基準法第26条(防火壁等)
- 建築基準法第35条の2(特殊建築物等の内装)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





