大きな地震のあとに建物を動かしているのは、電気と水と通信と道路です。
どれかひとつ止まっただけで、決めておいたはずの活動が動かなくなります。
ところが消防計画を開くと、揺れがおさまったあとの手順だけが空欄のまま残っていることがあります。
インフラ等の機能不全への対応は消防計画に書いておく事項です。
訓練で停電を想定してみたら、非常電源があるから大丈夫だろうという話で終わってしまいました。
本当にそれでよいのか気になっています。
気になって正解です。
非常電源は設備を動かすために置かれたもので、活動のための電源ではありません。
水や電話のことまで書くとなると、どこまで広げればよいのでしょうか。
きりがない気がしています。
広げる範囲は決まっていて、停電と断水と通信障害と交通障害の四つです。
総務省消防庁のガイドラインがこの四つを並べています。
- 地震のあとのインフラの機能不全への備えは、停電と断水と通信障害と交通障害の四つで組み立てます
- 受け皿は消防法施行規則第51条の8第1項第二号ヘで、地震による被害の軽減に関し必要な事項を消防計画に置けます
- 停電と断水の備えは同項第二号ハの設備及び資機材の点検並びに整備につながります
- 通信障害への備えは連絡手段を複数にしておくことです
- 消防用設備等の非常電源は設備を動かす時間で容量が決まっているので活動用の電源とは分けて考えます
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目次
地震のあとのインフラの機能不全とはなにを指すのか

だから建物そのものが無事でも、外が止まれば活動は止まります。
停電への対応(非常電源の確保、携帯用照明器具等の確保、再通電に備えた対応)について記載する。
断水(消火用水等の確保、建物全体が保有している水量の把握・確保、漏水対応等)への対応について記載する。
通信障害への対応(緊急連絡方法の複数化、無線手段の確保等)について記載する。
交通障害への対応(一定期間の孤立化に備えた活動体制の整備、代替的移動手段の確保等)について記載する。
ガイドラインはこの四つを並べたうえで、それぞれ何を確保するのかまで例示しています。
停電なら非常電源と携帯用照明器具、断水なら消火用水と建物が持っている水量、通信障害なら連絡手段と無線、交通障害なら活動体制と移動手段です。
どれも設備を新しく買う話ではなく、いま建物にあるものを数えて書き出すところから始まります。
まずは消防計画を開いて、この四つに当たる記述があるかどうかを確かめてください。
四つと言われると、うちの計画には電気のことしか書いていない気がします。
水や道路まで思いつきませんでした。
電気から書いてある計画は多いです。
次は電気と水がどの条文にぶら下がるのかを見ていきましょう。
停電と断水にはなにを備えておくのか

どちらも建物のなかに実物があるので、数えることができます。
ハ 地震による被害の軽減のために必要な設備及び資機材の点検並びに整備に関すること。
条文が求めているのは、地震による被害の軽減のために必要な設備と資機材を点検し整備しておくことです。
停電についてガイドラインが挙げているのは、非常電源の確保と携帯用照明器具等の確保、そして再通電に備えた対応です。
断水については消火用水等の確保に加えて、建物全体が保有している水量の把握と確保、漏水への対応が挙げられています。
受水槽や高置水槽にどれだけの水量があり、その水を消火に回せるのかを一度確かめておくと、計画の書きぶりが具体的になります。
受水槽の水量なら、設備の担当者に聞けばすぐ分かりそうです。
点検の記録にも残っていると思います。
そこが早道です。
数字が出たら、そのまま消防計画の資機材の欄へ書き写してください。
通信障害と交通障害はどう書き分けるのか

外が切れたときに何で代えるのかを先に決めておきます。
消防法施行規則第4条の2の11第二号 情報の収集及び伝達並びに消防用設備等その他の設備の監視に関する業務
自衛消防組織の活動要領には関係機関への通報が含まれるので、その手段が使えなくなったときの代わりも同じ場所に置けます。
ガイドラインは緊急連絡方法の複数化と無線手段の確保を挙げ、固定電話や携帯電話は通話需要が増えると通話規制でつながりにくくなることを理由にしています。
交通障害のほうは、一定期間の孤立化に備えた活動体制の整備と代替的移動手段の確保です。
参集できない要員がいる前提で、建物のなかにいる人だけで回すための交代要員を書き出すところから始めてください。
つまり通信は活動要領のなかに、交通は要員のやりくりとして書けばよいのですね。
置き場所が見えてきました。
そのとおりです。
次はいちばん取り違えられやすい非常電源の話をします。
実務で見落としやすいのはどこか

ところが非常電源は、そのために置かれたものではありません。
消防法施行規則第12条第1項第四号ロ(イ)(屋内消火栓設備の非常電源) 容量は、屋内消火栓設備を有効に三十分間以上作動できるものであること。
自動火災報知設備の蓄電池設備は十分間、屋内消火栓設備の自家発電設備は三十分間以上という決め方になっています。
停電が長引いたときの照明や作業のための電源として設計されたものではありません。
ガイドラインも、非常電源は本来その設備を停電時に必要な間だけ動かす目的のものなので、地震時の活用は別途設備の性能や容量に応じて検討しておく必要があると述べています。
再通電のときに傷んだ配線がショートして火が出るおそれもあるため、ブレーカーを誰がいつ戻すのかまで決めておいてください。
非常電源で館内の照明をまかなうつもりで書いていました。
そこは書き直しが要りそうです。
そこに気づけたなら大きな前進です。
照明は携帯用の器具を数えて別に確保しておきましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

どれも紙と足だけでできることです。
消防法施行令第48条第2項 防災管理者は、前項の消防計画に基づいて、当該防災管理対象物について避難の訓練の実施その他防災管理上必要な業務を行わなければならない。
非常電源の容量と携帯用照明器具の数、受水槽の水量、無線機の台数を数えて、消防計画の記載と合っているかを見ます。
次に連絡手段が一本しかない部分を探して、もう一本をどこに置くかを決めます。
そのうえで自主検査の項目にインフラの確認を足し、消防法施行規則第51条の8第3項が求める年一回以上の避難訓練で停電を想定に入れてみてください。
書き換えた内容は管理権原者の指示を受けて確定し、消防計画を変更したときは所轄消防長または消防署長へ届け出ます。
数えるところからなら今週中に着手できそうです。
訓練の想定に停電を足すのも思いつきませんでした。
その順番がいちばん早く形になります。
照明を落とした状態で集合できるかを見ると、足りないものがはっきりします。
よくある質問
まとめ
四つに分けて考えれば書けそうです。
明日、資機材の欄から開いてみます。
それで十分に前へ進みます。
書き方や訓練の組み立てで迷われたら、㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- 消防法(昭和23年法律第186号)第36条
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第45条・第46条・第48条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条・第24条・第4条の2の11・第51条の8・第51条の10
- 総務省消防庁「大規模地震等に対応した消防計画作成ガイドライン」(平成31年)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





