火災通報装置は押しボタンの操作等で消防機関へ通報できる設備です。
病院や福祉施設には設置が義務づけられていて 通報のあとには消防機関から折り返しの連絡が入ります。
その折り返しが受けられなくなる事象が固定電話のIP網移行で起きることが分かりました。
消防庁は令和元年に対応を求める通知を出しています。
うちの施設の火災通報装置は10年以上前に付けたものです。
固定電話がIPになると聞いて そのまま使えるのか心配になりました。
一部の装置で消防機関からの折り返しが受けられなくなる事象が判明しています。
消防庁の通知が出ているので順に見ていきましょう。
装置そのものが壊れるという話ではないんですよね。
だとすると なにを確かめればよいのかが分かりません。
見るのは装置の型式とつないでいる電話回線の2つだけです。
点検の機会に確かめられるしくみも通知に書かれています。
- 固定電話のIP網移行に伴い一部の火災通報装置で消防機関からの折り返しが受けられなくなります
- 火災通報装置を置いているのは消防法施行令第23条に掲げられた病院や福祉施設などの建物です
- NTTがリーフレットの送付や電話説明で設置者へ事象を周知し改善を促すことになっています
- 点検事業者は事象が発生する条件への該当の有無を点検報告書に記載することを依頼されています
- 建物の側が確かめるのは装置の型式と接続している加入電話回線の契約内容です
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目次
固定電話のIP網移行でなぜ消防庁の通知が出されたのか

消防機関が内容を確かめるために掛け直す連絡までが一続きの流れです。
今般、NTT東日本及びNTT西日本(以下「NTT」という。)が提供する固定電話サービスがIP網へ移行することに伴い、一部の火災通報装置において、今後、消防機関からの折り返しの連絡が正常に受けられなくなる事象が発生することが判明しました。
火災通報装置は一の押しボタンの操作等により消防機関へ通報することができる装置で 受けた側は内容を確かめるために掛け直します。
その折り返しが正常に受けられなくなると 消防機関は現場の状況を電話で確かめる手段を失います。
通知は NTTが火災通報装置設置者に対して事象の内容を周知し 該当する場合には改善策を講じるよう促す取組を進めることになったと説明しています。
その取組には設置者の情報を保有する消防機関の協力が必要なので 全国の消防本部あてに留意事項を示したのがこの文書です。
本通知は消防組織法第37条の規定に基づく助言として発出されました。
通報が届けばそれで終わりだと思い込んでいました。
掛け直しまでが一続きだというのは初めて知りました。
火災のときに現場の様子を伝えられるかどうかに関わる話です。
まずは自分の建物に火災通報装置があるかを確かめてみてください。
どの建物の火災通報装置が確認の対象になるのか

どんな建物に置かれているのかは消防法施行令が決めています。
消防機関へ通報する火災報知設備は、次に掲げる防火対象物に設置するものとする。ただし、消防機関から著しく離れた場所その他総務省令で定める場所にある防火対象物にあつては、この限りでない。
一 別表第一(6)項イ(1)から(3)まで及びロ、(16の2)項並びに(16の3)項に掲げる防火対象物
二 別表第一(1)項、(2)項、(4)項、(5)項イ、(6)項イ(4)、ハ及びニ、(12)項並びに(17)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が500平方メートル以上のもの
三 別表第一(3)項、(5)項ロ、(7)項から(11)項まで及び(13)項から(15)項までに掲げる防火対象物で、延べ面積が1,000平方メートル以上のもの
別表第一(6)項イ(1)から(3)までは入院させるための施設がある病院や診療所 入所施設がある助産所で ロは避難が困難な要介護者が入る老人ホームなどです。
これらと(16の2)項の地下街 (16の3)項の準地下街は 延べ面積にかかわらず設置することとされています。
劇場やホテル 物品販売店舗などは延べ面積500平方メートル以上 飲食店や共同住宅 事務所などは1,000平方メートル以上が目安になります。
ただし消防機関から著しく離れた場所にある建物は除かれ 消防法施行規則第25条第1項が建物の区分ごとにその場所を定めています。
病院や地下街などは消防機関が存する建築物内 それ以外の建物は消防機関からの歩行距離が500メートル以下である場所が これに当たります。
うちは特別養護老人ホームなので面積に関わらず対象ということですね。
建物の規模で決まると思い込んでいました。
避難に人手が要る建物ほど通報の確実さが求められるからです。
手元の点検結果報告書で設備の欄を見ると設置の有無がすぐ分かります。
通知は消防機関と設置者になにを求めているのか

けれども実際に動くことになるのは建物の側です。
2 火災通報装置設置者に対する事象の周知及び改善の促進について
(1) NTTにおいて、以下のホームページや別紙2のリーフレットにより、火災通報装置設置者に対して、事象の内容を周知し、改善策を講じるよう促すことが予定されていることを踏まえ、立入検査等の機会を捉え、これらの資料を活用しつつ事象の内容の周知等に協力されたいこと。
(2) 消防用設備等の点検事業者に対し、火災通報装置の点検の機会を捉え、火災通報装置設置者に対して、事象の内容等を周知するとともに、事象が発生する条件への該当の有無を点検報告書に記載すること等を依頼していることを踏まえ、(略)当該事象の発生やその対応の状況等について把握されたいこと。
1本目はNTTからで ホームページやリーフレットにより事象の内容を周知し改善策を講じるよう促すことが予定されています。
2本目は消防機関からで 立入検査等の機会にこれらの資料を活用して周知に協力することとされました。
3本目は点検事業者からで 点検の機会に事象を周知するとともに 事象が発生する条件への該当の有無を点検報告書に記載することが依頼されています。
さらに通知は 個別にリーフレットを送付して電話説明を行うなど対応を徹底する提案をNTTから受けていると書いています。
建物の側から見れば 立入検査でも点検でも同じ話が出てくるということになります。
知らせが来るのを待っていればよいということでしょうか。
順番が回ってくるまで放っておくのも落ち着きません。
待たずに次の点検のときに聞いてしまうのが早いです。
該当の有無を報告書に書いてもらえば記録としても残ります。
火災通報装置の電話回線で見落としやすいのはどこか

消防法施行規則は つなぐ相手の回線と接続する場所まで求めています。
一 火災通報装置は、消防庁長官が定める基準に適合するものであること。
二 火災通報装置の機能に支障を生ずるおそれのない電話回線を使用すること。
三 火災通報装置は、前号の電話回線のうち、当該電話回線を適切に使用することができ、かつ、他の機器等が行う通信の影響により当該火災通報装置の機能に支障を生ずるおそれのない部分に接続すること。
第2号は回線そのものを 第3号は回線のどの部分につなぐかを求めています。
交換機やビジネスホンの主装置を経由していたり ほかの電話機やファクスと同じ枝にぶら下がっていると 他の機器等が行う通信の影響を受けるおそれが出てきます。
通知も 新たに設置する旨の事前相談等を受けた場合の対応として 事象が発生する可能性のある型式の情報を踏まえて 加入電話回線の契約内容等を確認するよう指導することを求めています。
つまり装置の型式と回線の契約はひと組で見るということです。
回線の切替えやビジネスホンの入替えは電話の担当者だけで話が進みがちなので 着手の前に一声かけておいてください。
回線の見直しは総務の担当がひとりで決めていました。
火災通報装置につながっているとは思ってもいませんでした。
そこが分かれ目になりやすいところです。
回線を触る話が出たら防火管理者にも共有する決めごとにしておきましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

順番を決めておけば点検の機会にまとめて片づきます。
3 今後の火災通報装置の設置指導時の対応について
今後、新たに火災通報装置を設置する旨の事前相談等を受けた場合においては、事象が発生する可能性のある火災通報装置の型式の情報を踏まえ、事象が発生しないよう、火災通報装置と接続する加入電話回線の契約内容等を確認するように指導されたいこと。
火災通報装置の銘板には製造者名と型式が書かれているので 写真に撮って点検の記録と一緒に残しておきます。
つぎに電話回線の契約内容を確かめます。
加入電話のままなのか 光回線のサービスへ切り替えているのかで話が変わってきます。
そのうえで点検事業者に事象が発生する条件へ該当するかを見てもらい 点検報告書へ記載してもらいます。
火災通報装置は消防法施行令第7条第3項第3号の警報設備なので 法第17条の3の3による点検及び報告の対象になっています。
該当するときはNTTや工事業者と改善策を相談し 所轄消防署にも状況を伝えておくと立入検査のときに話が通ります。
つまり型式と回線の契約を控えて点検で見てもらえばよいわけですね。
次の点検の予定を今日のうちに確かめておきます。
その順番で十分に足ります。
銘板の写真は消防計画の資料に綴じておくと引き継ぎも楽になります。
よくある質問
まとめ
心配していたところがはっきりして助かりました。
まずは銘板の写真から始めてみます。
その一歩で通報の確実さが変わります。
迷われたら㈱防災屋でもご相談を承っています。
参考・出典
- NTT固定電話のIP網移行に伴い発生する事象への対応について(令和元年12月23日 消防予第274号・消防情第138号)
- 消防法第17条第1項(消防用設備等)・第17条の3の3(点検及び報告)
- 消防法施行令第7条第3項第3号(消防機関へ通報する火災報知設備)・第23条(設置基準)・別表第一
- 消防法施行規則第25条(消防機関へ通報する火災報知設備に関する基準)
- 消防組織法第37条(助言)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





